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スーパーとの取引契約書(農産物)の無料テンプレート(Excel・PDF)|取引基本契約書と個別合意書の書き方・記入例つき

更新日 2026年9月27日|登録不要・無料

農家がスーパーなどの小売業者と野菜を継続して取引するときの、取引基本契約書と個別合意書(品目・数量・価格)のテンプレートです。返品・値引き・協賛金・店頭応援など、スーパーから求められやすい条項の確認ポイントを、公正取引委員会の大規模小売業告示や食料システム法をもとにまとめた表も付けました。Excel(入力用)と手書き用PDFを登録不要でダウンロードできます。

無料でダウンロード

Excel には「記入用」と「記入例」のシートが入っています。

スーパーとの取引契約書(農産物)の記入例
記入例(サンプルです。実在の商品名・人名ではありません)

この契約書でわかること

スーパーと継続して取引を始めるときに、毎回変わらない約束(注文の成立・検品・返品・支払・費用の負担など)と、作期や品目ごとに変わる約束(規格・数量・価格・納品)を分けて書面に残すためのものです。

  • スーパーから「取引口座を開くので契約書を」と言われたとき
  • 相手から渡された契約書の中身を、署名の前に確かめたいとき
  • 口約束で続けてきた取引の条件を、書面にして確かめ直すとき

Excel には3枚のシートがあります。

  1. 取引基本契約書: 条項の構成と記入例
  2. 個別合意書: 品目・規格・数量・価格・納品の条件を、作期や品目ごとに書く
  3. 求められやすい条項と確認ポイント: 相手の契約書や要請を確かめる表

見積もりの段階の条件のすり合わせには見積書、規格の書面には商品規格書が使えます。

各欄の書き方

取引基本契約書(主な条項)

条項 決めること 記入例
目的・適用範囲 基本契約と個別合意書のどちらを優先するか 個別合意書で違うことを定めたら、個別合意書を優先
個別の売買(注文) 注文がいつ成立するか、断るときの期限 発注を受けた時に成立。応じられないときは2時間以内に連絡
納品・検品 納品書の添付、検品と連絡の期限 受け取った日に検品し、不足・不良は当日中に連絡
欠品・代替品 欠品の連絡、代替品の了承の取り方 わかった時点で連絡。代替品は買主の了承を得た場合だけ
返品 返品できる場合と費用の負担 売主の責めによる不良・注文違いを検品で見つけた場合に限る
代金の支払 締め日・支払日・振込手数料 月末締め翌月末払い、手数料は買主負担
価格の見直し 費用が変わったときの協議 どちらからでも根拠を示して協議を申し出られる
費用の負担 協賛金・センター使用料などの扱い 事前に額・算出根拠・目的を書面で合意したものに限る
不可抗力 天候で納められないときの扱い 予定数量より3割以上減るときは速やかに知らせる
有効期間・更新 期間と、やめるときの申し出 1年。満了1か月前までに申し出がなければ更新

このほか、所有権の移転、品質の不具合、秘密保持、反社会的勢力の排除、解除、協議・管轄、署名の欄があります。記入例は架空の取引です。

個別合意書(品目・数量・価格)

項目 記入例
品目・品種 キャベツ(寒玉系)
規格・選別の基準 L〜2L、外葉1枚付き。割れ・病害のあるものは出荷しない
荷姿・入数 段ボール 8玉入り
取引期間 2026年11月1日〜2027年3月31日
数量と幅 週100ケース(±20%)
予定と確定の連絡 翌週の予定を木曜日までに、確定数量を納品の2日前までに
価格 1ケース1,200円(税抜)、店舗着
価格を固める期間 1か月ごとに見直す
不作のとき 予定数量の3割以上減るときは不可抗力とし、わかった時点で連絡

業務用の契約で決めておきたいこと

農林水産省の調査分析委託事業として作られた「加工・業務用野菜標準基本契約取引ガイドライン」は、農産物は天候で規格・品質・数量・時期がばらつくので、調整が起きそうな項目と許容範囲を文書にしておくことが最も大事だとしています。そして、取引条件(支払方法など)とクレーム対応は基本契約書で、商品・期間と数量・物流条件は品目ごとの個別契約書(覚書)で決める形を示しています。

不可抗力については、「一定以上の減少」のような基準を、できるだけ具体的な数字(例: 過去の平均より何%以上の減少)や状態で書いておくよう勧めています。このテンプレートもこの形にならっています。

出典: 農林水産省 調査分析委託事業・日本施設園芸協会「加工・業務用野菜標準基本契約取引ガイドライン」2023 / 農研機構「事例にならってすすめる業務用野菜の契約取引導入」(参考資料1 契約書の案)

法令・制度上の位置づけ

農産物の売買の契約書を作ることを義務づけた法令はありません。ただし、スーパーとの取引には次の決まりが関わります。どれも当てはまるかどうかは取引先の規模や取引の実態で変わるので、判断は弁護士などの専門家や所管の窓口に確かめてください。

大規模小売業告示(独占禁止法)

公正取引委員会は、前年度の売上高が100億円以上、または一定以上の店舗面積の店を持つ小売業者(大規模小売業者)が納入業者に対して行う次の行為を、不公正な取引方法として指定しています。

  • 不当な返品、購入後の不当な値引き、不当な委託販売取引
  • 特売商品などの買いたたき、特別注文品(専用の規格など)の受領拒否
  • 自社の指定する商品の購入・サービスの利用の押し付け
  • 納入業者の従業員の派遣の要請(事前に条件を合意し、費用を負担する場合などを除く)
  • 協賛金など、本来提供する必要のない経済上の利益の提供の要請
  • 要求を断ったこと、公正取引委員会に知らせたことを理由とする不利益な取扱い

運用基準では、協賛金・物流センター使用料・欠品ペナルティなどについて、額や算出根拠を十分に協議せず一方的に負担させることが問題となる例として挙げられています。返品の条件を合意で定める場合も、商品を購入する前に、十分な協議の上で合意している必要があるとされています。

告示の対象にならない小売業者との取引でも、取引上の地位が優越している事業者が不当に不利益を与えることは、独占禁止法の「優越的地位の濫用」として禁止されています。

出典: 公正取引委員会「大規模小売業者による納入業者との取引における特定の不公正な取引方法」 / 同 運用基準 / 公正取引委員会「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」

食料システム法(価格の協議の努力義務)

食品等流通法(食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律)は改正により「食料システム法」となり、取引の適正化の部分は令和8年(2026年)4月1日に施行されました。飲食料品等の取引をする事業者(農業者を含む)には、次の努力義務があります。

  1. 持続的な供給に要する費用などの考慮を求める理由を示して協議を申し出られたら、誠実に協議する
  2. 商慣習の見直しなど、持続的な供給に役立つ取組の提案があったら、検討・協力する

省令で定められた判断基準には、協議を速やかに始めること、公的統計やコスト指標などの資料を尊重すること、一方的に決めないこと、協議を申し出たことだけを理由に不利益に扱わないこと、検討結果を説明することが挙げられています。野菜はコスト指標を作る指定品目の1つです。農林水産省は、協議を申し出たことが記録に残るよう書面で行うことが有効としています。契約書の「価格の見直し」の条項は、この協議の入口として使えます。

出典: 農林水産省「食料システム法」 / 農林水産省「食品等の取引適正化に関するリーフレット」 / 農林水産省「努力義務・判断基準ガイドブック」

取適法(旧下請法)は青果の取引に当たるか

2026年1月1日に、下請法は「中小受託取引適正化法(取適法)」に変わりました。公正取引委員会の Q&A では、農耕のような原始的生産は取適法の「製造」「加工」に含まれないため、小売業者が野菜や果物の生産を依頼しても製造委託には当たらないとしています。一方、カットするサイズやパッケージを指定して鍋用野菜セット・サラダセットなどを作らせる場合は、製造委託に当たるとしています。製造委託に当たっても、取適法の対象になるかは発注者と受注者の資本金・従業員数の基準によります。

出典: 公正取引委員会「取適法」 / 公正取引委員会「よくある質問コーナー(取適法)」Q20

収入印紙

売買取引基本契約書など、継続的取引の基本となる契約書(第7号文書)に当たる場合は、1通につき4,000円の印紙税がかかります(契約期間が3か月以内で更新の定めがないものは除く)。当たるかどうかは契約の内容や当事者によって変わるので、税務署や税理士に確かめてください。

出典: 国税庁 タックスアンサー No.7104「継続的取引の基本となる契約書」

合意した単価を、受注の初期値に

ミノリス受注なら、取引先ごとの単価(カスタム単価)を登録しておくと、その取引先の注文を登録するときに単価が最初から入ります。受けた注文から納品書・請求書を発行できます。契約書を作る機能はありません。無料で使えます。

よくある間違い

  • 相手の契約書を読まずに署名する: 取引口座の開設書類に、返品・協賛金・センター使用料の条件が含まれていることがあります。3枚目の確認表で1つずつ確かめます。
  • 「売れ残りは返品可」に近い条項をそのまま受ける: 返品できるのは、自分に原因のある不良や、購入前に合意した条件に当たる場合などに限られます。条件を具体的に書いてもらいます。
  • 不可抗力を「天候不順のとき」だけで済ませる: どの程度減ったら不可抗力とするのかが書いていないと、欠品のたびにもめます。数字で書きます。
  • 価格を一度決めたらそのまま: 資材費や燃料費が上がったときに見直しを申し出る条項を入れておき、申し出は書面で行います。

よくある質問

スーパーから渡された契約書があります。これを使う必要はありますか?

相手の契約書がある場合は、多くはそれを使うことになります。このテンプレートは、相手の契約書と見比べて抜けている約束を見つけたり、個別合意書で品目ごとの条件を補ったりするために使えます。直してほしい条項は、署名の前に理由を添えて相談します。

契約書のひな形は、ほかにありますか?

「加工・業務用野菜標準基本契約取引ガイドライン」に、売買基本契約書と個別売買契約書(覚書)の案と、品目別の提案書のサンプルが載っています。ガイドラインも、そのまま使わず関係者の実情に合わせて直すよう注意しています。

協賛金や店頭応援を頼まれたら、断れないのですか?

大規模小売業告示では、要求に応じないことを理由に、代金の支払を遅らせたり取引を減らしたりする不利益な取扱いも禁止されています。困ったときは、公正取引委員会の相談窓口や、食料システム法に関しては農林水産省の情報受付窓口に相談できます。個別の判断は弁護士などの専門家に確かめてください。

あわせて使うテンプレート

このテンプレートは自由に使い、書き換えてかまいません。提出先(JA・部会・取引先・認証機関など)に指定の様式がある場合は、そちらを優先してください。 掲載している制度・法令の説明は更新日時点のものです。