衛生・安全
ヒヤリハット報告書・事故報告書の無料テンプレート(Excel・PDF)|農作業の記入例と書き方つき
更新日 2026年9月26日|登録不要・無料
農作業のヒヤリハットや事故を1件ずつ記録する報告書のテンプレートです。農林水産省の作業安全の規範や GAP の事故対応の考え方を参考に、原因・再発防止策・全員への共有までを書く欄と、対策の完了を追う一覧表を用意しました。Excel(入力用)と手書き用PDFを登録不要でダウンロードできます。
この報告書でわかること
農作業で「ヒヤリとした」「ハッとした」ことや、実際に起きた事故を、1件ずつ記録するための報告書です。2つのシートがあります。
- 報告書(記入用シート): いつ・どこで・何をしていて・何が起きたか、原因、その場の対応、再発防止策、全員への共有
- 一覧: 報告を1行ずつ並べ、対策が終わったかを追う表
けがのなかったヒヤリハットは、放っておくと忘れられてしまいます。書き残して家族や従業員と共有すれば、同じ場所・同じ作業での事故を防ぐ手がかりになります。
各欄の書き方
| 欄 | 書くこと | 記入例 |
|---|---|---|
| 報告の種類 | ヒヤリハット・事故(けがなし・物損)・事故(けがあり)のどれか | ヒヤリハット |
| 発生日時 | 起きた日と、おおよその時刻 | 2026年8月5日 15時20分ごろ |
| 場所 | 圃場名や目印。あとから行ってわかるように | 北2号の圃場から農道へ出る坂 |
| 作業の内容・使っていた機械 | 何をしていたときか、何を使っていたか | トラクターで農道へ移動中 |
| 何が起きたか | 見たこと・したことを順番に | 車輪が溝に落ちかけ、車体が傾いた |
| けがの有無・程度 | けがの部位・程度・受けた手当 | なし |
| 天候・路面など | 雨・ぬかるみ・暗さなど、周りの状況 | 前日の雨で路肩がぬかるんでいた |
| 原因と考えられること | 人・機械・場所・作業のやり方のどこに原因があったか | 草で溝が見えなかった。減速しなかった |
| 再発防止策・担当・期限 | 同じことが起きないために変えることと、誰がいつまでにやるか | 草刈りと目印の杭。山田・8月8日まで |
| 全員に伝えた日・方法 | 朝礼・掲示・グループの連絡など | 8月6日 朝礼 |
| 労災の手続き・届出 | 労災保険の請求や労働者死傷病報告が必要か | 不要(けがなし) |
原因の欄は「不注意だった」で終わらせず、なぜそうなったか(草で見えなかった、急いでいた、手順が決まっていなかった)まで書くと、再発防止策につながります。
作業安全の考え方と法令
農林水産省の作業安全の規範
農林水産省の「農林水産業・食品産業の作業安全のための規範(共通規範)」では、事業者が取り組むことの1つに「事故事例やヒヤリ・ハット事例などの情報の分析と活用」を挙げています。また、事故が起きたときに備え、事故後の速やかな対応策と再発防止策の検討・実施も求めています。
出典: 農林水産省「作業安全規範」
国際水準GAPガイドライン
国際水準GAPガイドラインの指導マニュアルでは、労働安全のリスク評価(取組事項9)の中で、ヒヤリ・ハット事例や軽微な事故事例は危害要因をつかみ対策を講じるための貴重な情報であり、原因を分析して対策を講じ、ほかの従事者と共有することとしています。事故が起きたときの手順・連絡先・救急箱や清潔な水の用意(取組事項24)も取組事項です。
報告が義務になる場合(労働者死傷病報告)
ヒヤリハットの記録そのものは法令の義務ではなく、任意の取り組みです。ただし、人を雇っていて、その人が仕事中のけがなどで休業したり亡くなったりしたときは、事業者は所轄の労働基準監督署長に労働者死傷病報告を出さなければなりません(労働安全衛生規則第97条)。休業が4日以上なら遅滞なく、4日未満なら四半期ごとにまとめて報告します。報告は電子申請で行うことが原則になっています。
報告書の「何が起きたか」「原因」の欄は、この報告を作るときの下書きにもなります。手続きの詳しいことは、労働基準監督署や社会保険労務士に確認してください。
農作業事故の傾向
農林水産省の調査では、令和6年の農作業死亡事故は287人で、そのうち農業機械作業の事故が156人、その中では乗用型トラクターの事故が最も多く、原因は機械の転落・転倒が最も多くなっています。機械以外の作業では熱中症による事故が59人でした。移動中の坂や路肩、暑い時期の作業は、ヒヤリハットの報告が多く集まりやすい場面です。
出典: 農林水産省「農作業死亡事故調査」
危ない場所を写真つきで残す
ミノリス日誌では、圃場を選んでメモ単独の記録を残し、写真を最大10枚添えられます。エリアを指定すれば、圃場のどこで気づいたかまで残せます。記録はカレンダーとタイムラインで日付順に見返せます。ヒヤリハットや事故を集計する機能はありません。無料で使えます。
よくある間違い
- 報告した人を責める: 責められると、次から報告が出なくなります。ヒヤリハットは「手順や場所を直すきっかけ」として受け取り、報告してくれたことに礼を言います。
- 書いただけで終わる: 再発防止策に担当と期限を決め、一覧シートで完了したかを確かめます。
- けがが軽いので記録しない: 軽いけがの陰には、同じ原因のヒヤリハットがたくさんあるとされます。手当だけで済んだけがも記録します。
よくある質問
家族だけで農業をしていても書いたほうがよいですか?
家族だけの経営でも、ヒヤリハットを共有することは事故を防ぐのに役立ちます。労働者死傷病報告は雇っている人(労働者)が対象ですが、家族の事故も同じ報告書で記録しておくと、危ない場所や作業が見えてきます。
「想定ヒヤリ」も書いてよいですか?
実際にヒヤリとしたことがなくても、「ここは危ない」と感じた場所や作業を書き出すのは有効です。報告の種類の欄に「想定」と書き足して使ってください。
GAP のリスク評価とどう関係しますか?
集まったヒヤリハットは、GAP記録様式セットのリスク評価表で、起こりやすさや対策を見直すときの材料になります。
あわせて使うテンプレート
このテンプレートは自由に使い、書き換えてかまいません。提出先(JA・部会・取引先・認証機関など)に指定の様式がある場合は、そちらを優先してください。 掲載している制度・法令の説明は更新日時点のものです。