日誌・栽培記録
病害虫の見回り記録(発生調査)の無料テンプレート(Excel・PDF)|発生程度の書き方と記入例つき
更新日 2026年9月26日|登録不要・無料
圃場を見回って、病害虫の発生状況と防除が必要かどうかの判断を残す記録表のテンプレートです。見た株数と数えた結果、発生程度(無・微・少・中・多・甚)、粘着板の数、判断の理由を書く欄を用意しました。発生程度の目安と、発生予察情報の確認記録のシートつき。Excel(入力用)と手書き用PDFを登録不要でダウンロードできます。
この見回り記録でわかること
農薬を「いつ使ったか」ではなく、その前の「何がどれだけ出ていたか」「防除が必要だと判断した理由」を残す記録です。
- 病害虫が増えているのか減っているのかを、見回りのたびに比べたいとき
- 防除のタイミングを、発生の数字をもとに決めたいとき
- 前年の同じ時期にどの病害虫が出たかを振り返り、予防の計画を立てたいとき
「予防・判断・防除」の「判断」を記録に残す
総合防除(IPM)は、病害虫が出にくい環境をつくる「予防」、発生状況を見て防除が必要かを決める「判断」、必要なときに適切な方法で行う「防除」を組み合わせる考え方です。
農林水産省の「指定有害動植物の総合防除を推進するための基本的な指針」では、判断として、発生予察情報の活用や、ほ場の見回りなどで農業者自らが発生状況を観察し、防除の要否と時期を判断することが挙げられています。また、農林水産省の「IPM実践指標モデル」(大豆)では、ほ場を見回って発生や被害を把握し防除の要否を判断すること、病害虫防除所の発生予察情報などを確認すること、病害の発生状況や農薬の使用を作業日誌に記録することが管理項目になっています。
この記録表は、その「判断」の部分を書き残すためのものです。
各欄の書き方
| 欄 | 書くこと | 記入例 |
|---|---|---|
| 見回り日 | 見回った日 | 2026/5/7 |
| 生育ステージ | その日の生育の段階 | 第5花房開花 |
| 見た場所・株数 | どこを何株見たか | 各畝10株・計40株 |
| 病害虫・雑草の名前 | 見つけたもの(わからなければ特徴) | コナジラミ類 |
| 発生程度 | 無・微・少・中・多・甚 | 少 |
| 数えた結果 | 被害株率・株当たりの虫の数など | 成虫のいる株が4株(10%) |
| 粘着板・トラップ | 粘着板やトラップに付いた数 | 黄色板 12頭/枚 |
| 防除の要否と判断の理由 | 防除するか、その理由 | 不要。前回から増えていない |
| 対応・次に見る日 | したこと、次の見回り予定 | 5/14に再確認 |
名前がわからない病害虫は、写真を撮って番号をメモしておき、JA や普及センターに見てもらうと確実です。
発生程度の段階について
県の病害虫防除所が行う発生予察の調査では、発生程度を「甚・多・中・少・無」の5段階で表し、何を数えるか(病斑の面積、被害株率、被害茎率、株当たり虫数など)と段階の区切りは病害虫ごとに決められています。
段階の区切り方の一例として、兵庫県の生育・収量調査法(水稲)では、病害虫の種類ごとに発生面積の割合で次のように分けています。
| 無 | 微 | 少 | 中 | 多 | 甚 |
|---|---|---|---|---|---|
| 0% | 1〜4% | 5〜14% | 15〜29% | 30〜49% | 50%以上 |
別シート「発生程度の目安」に、自分の圃場で見る病害虫ごとの基準を書いておくと、毎回同じ物差しで判断できます。防除を考える目安(要防除水準)は、県の防除指針や普及センターの資料で確認してください。
参考にした資料
- 農林水産省「指定有害動植物の総合防除を推進するための基本的な指針」(植物防疫所)
- 農林水産省「IPM実践指標モデル(大豆)」
- 「発生予察事業の実施について」第1 総論(日本植物防疫協会 JPP-NET 掲載)
- 兵庫県「第4章 生育・収量調査法」
- 農林水産省「総合防除(IPM)の推進について」
このテンプレートは、これらの資料を参考にミノリスが作った独自の様式です。国・県の公式様式ではありません。
見つけた病害虫を、写真と場所つきで残す
ミノリス日誌なら、作付けごとに観察メモ・写真と、生育イベント(「病害発生」「虫害発生」などを登録して使えます)を記録でき、圃場の中のエリア(畝や区画)も指定できます。防除したときは農薬の記録から、登録データ(FAMIC)と照らして使用回数や収穫前日数をチェックできます。無料で使えます。
よくある間違い
- 「いた」「いない」だけを書く: 数が書いてないと、増えているのか減っているのかがわかりません。見た株数と、そのうち何株に出ていたかを書きます。
- 見回る場所が毎回違う: 発生しやすい場所(出入口の近く、風通しの悪い所など)と、決まった場所の両方を見ると比べやすくなります。
- 防除した記録と見回りの記録がつながらない: 防除したら、その日付と「防除記録へ」と書いておき、農薬の使用記録と照らせるようにします。
よくある質問
どのくらいの頻度で見回ればよいですか?
作物・時期・病害虫によって違います。発生が増えやすい時期は間隔を短くします。県の病害虫防除所の発生予察情報や、普及センター・JA の栽培情報で、注意すべき時期を確認してください。
防除日誌とはどう違いますか?
防除日誌は発生状況と実際の防除をあわせて書く記録、この見回り記録は防除する前の「観察と判断」を詳しく残す記録です。防除した内容(農薬名・使用量など)は、農薬使用記録簿にも書いておきます。
県の「総合防除計画」とは関係がありますか?
植物防疫法にもとづき、都道府県は指定有害動植物の総合防除計画を定めます。計画で農業者が守るべき事項(遵守事項)が定められている場合もあるので、お住まいの県の計画を確認してください。見回りの記録は、自分が「判断」をどう行ったかを振り返る材料になります。
あわせて使うテンプレート
このテンプレートは自由に使い、書き換えてかまいません。提出先(JA・部会・取引先・認証機関など)に指定の様式がある場合は、そちらを優先してください。 掲載している制度・法令の説明は更新日時点のものです。