経営・会計
農作業受委託契約書の無料テンプレート(Word・Excel・PDF)|作業料金・事故・天候の取り決めと記入例
更新日 2026年9月28日|登録不要・無料
田植えや稲刈りなどの農作業を頼む・引き受けるときの受委託契約書のテンプレートです。市町村が公開している受委託契約書の項目に加え、資材・燃料の負担、天候による延期、事故・損害の責任の欄を入れ、圃場ごとの作業と料金を計算できる別表を付けました。特定農作業受委託の書き方も解説します。契約書の本文は Word、料金を計算する別表は Excel、手書き用は PDF で、登録不要でダウンロードできます。
この契約書でわかること
農作業の一部または全部を、ほかの農家や組織に頼む(引き受ける)ときの取り決めを書面にするための契約書です。次のような場面で使えます。
- 田植えや稲刈りなど、機械作業だけを近所の担い手に頼むとき
- 大型機械を持つ受託者として、毎年同じ農家から作業を引き受けるとき
- 基幹三作業から販売までを受託者の名義で行う「特定農作業受委託」を結ぶとき
- 口約束で続けてきた作業の受委託を、料金や事故のときの扱いまで含めて書面にしたいとき
契約書の本文(項目名入り)は Word です。圃場ごとに作物・作業・10aあたり料金を書くと料金を自動で計算する別表は Excel に入っています(Word にも手書き用の別表があります)。
各欄の書き方
| 欄 | 書くこと | 記入例 |
|---|---|---|
| 受委託の種類 | 部分作業か、特定農作業受委託か | 部分作業の受委託 |
| 対象の圃場と作業 | 別表に圃場ごとの作物・作業・時期 | 字北田125 水稲 耕起・稲刈り |
| 契約期間 | 始期と終期 | 2026年4月1日〜2027年3月31日 |
| 作業の時期と連絡 | 作業日の決め方と連絡方法 | 前日までに電話で知らせる |
| 作業前の圃場の準備 | 委託者が片付ける物・目印を付ける物 | 石・杭・暗渠の出口 |
| 資材・燃料の負担 | 苗・肥料・農薬・燃料を誰が用意するか | 資材は甲、燃料は料金に含む |
| 天候・災害による延期 | 延期の判断と、料金の扱い | 延期しても料金は変えない |
| 作業料金・支払 | 単価・税込か税抜か・締め日と支払日 | 10aあたり単価×面積、翌月末払い |
| 作業の報告 | 作業日・面積の記録と完了報告 | 全作業の完了後に書面で報告 |
| 事故・損害の責任 | 過失による損害、双方の責任でない減収、保険 | 過失による損害は乙が賠償 |
記入例の人名・地名・金額は架空のものです。
法令・制度上の位置づけ
作業の受委託と、農地の貸し借りの違い
市町村の案内では、農作業の受委託契約は農地の貸借契約ではないと説明されています。農地の賃借権や使用貸借の設定には農地法第3条の許可などの手続きが要りますが、作業の受委託はそれとは別の契約です。受託者が自分の計算で耕作・販売するなど、実態が貸し借りに近い場合の扱いは、農業委員会に相談してください。
農業経営基盤強化促進法では、市町村が農作業受託事業の情報提供や委託のあっせんを促すよう努めること(第26条の2)、農業協同組合が農作業の委託のあっせんや受託を行うよう努めること(第27条)が定められています。作業を頼める相手を探すときは、市町村・農業委員会・JAに相談できます。
出典: 日南町農業委員会「特定農作業受委託契約」、十和田市「農作業受委託契約書様式を公開しました」、e-Gov法令検索「農業経営基盤強化促進法」
特定農作業受委託(基幹三作業+受託者名義で販売)
経営所得安定対策では、次の3つをすべて約した農作業委託契約で受託した田・畑の面積を、受託者の経営面積に入れられるとされています。
- 受託者が基幹三作業を受託し、自ら作業を行うこと
- 受託して生産した農産物を、受託者の名義で販売すること
- 販売収入に応じて、その収入を作業と販売の受託の対価に充てること
畑作物の直接支払交付金の面積払では、基幹三作業を「耕起・整地、は種及び収穫」としています。市町村の様式では、販売の委託や、交付金を受託者が受け取ること、所有者へ納める額(10aあたりの額や米の量)を書く欄が設けられています。交付金の申請に使う場合は、市町村や地域農業再生協議会が指定する様式・提出先を確かめてください。
出典: 農林水産省「経営所得安定対策等実施要綱」、岡山市「農作業等受委託契約書について」、日南町「特定農作業受委託契約書(記入例)」
事故・損害・天候の取り決め
市町村などが公開している受委託契約書の様式(岡山市・日南町・十和田市・大崎土地改良区)は、対象の農地・作業・期間・料金や納める額・変更の協議を定めるもので、事故や天候の扱いの定めはありませんでした。福島県農業振興公社(農地中間管理機構)の農作業受委託の共通事項では、受託者が善良な管理者の注意をもって作業すること、作業の経過と結果を記録して報告すること、双方の責任でない減収の負担は委託者が負うことなどが定められています。このテンプレートは、これらを参考に、資材・燃料、作業前の圃場の準備、天候による延期、保険の欄を加えた独自の様式です。
出典: 福島県農業振興公社「農作業受委託 様式編」、大崎土地改良区「農作業受委託契約書」
事故の責任や保険の範囲は契約の内容によって変わります。このテンプレートは一般的な記入例です。必要に応じて、弁護士・行政書士などの専門家や、加入している保険の窓口に確かめてください。
受託した作業を、圃場・作業者・時間つきで記録する
ミノリス日誌では、圃場ごとに作業の種類・作業者・作業時間を記録でき、圃場への記録には使用機器や写真も付けられます。受託した圃場を登録しておけば、いつ・どの圃場で・誰が作業したかを後から見返せます。作業料金の計算や請求書の発行の機能はありません。無料で使えます。
よくある間違い
- 料金に何が含まれるかを書いていない: 燃料・苗の運搬・肥料や農薬の代金が含まれるかで、請求額が変わります。農作業受託の料金表の「含むもの・含まないもの」とそろえて書きます。
- 圃場の障害物を伝えていない: 石・杭・暗渠の出口などは、機械の破損や事故のもとです。作業前に委託者が片付けるか目印を付けることを決めておきます。
- 天候で遅れたときの扱いを決めていない: 雨で作業が延びて適期を逃したときにもめないよう、延期の判断と連絡の方法を書いておきます。
- 特定農作業受委託の要件が欠けている: 交付金の申請に使うなら、販売の名義や対価の扱いなど、要綱と市町村の様式が求める内容がそろっているか確かめます。
よくある質問
毎年同じ内容でも、毎年契約書を作るべきですか?
市町村の様式には年度ごとに作るものがあります(十和田市の様式は年度の表記入り)。交付金の申請に使う場合は、指定の期間どおりに作り直してください。そうでない場合も、料金や面積が変わったときは書面を作り直しておくと安心です。
作業料金はどう決めればよいですか?
市町村の農業委員会などが公表している「農作業標準料金」が目安になります。圃場の条件や資材・燃料の扱いで変わるので、農作業受託の料金表で「含むもの・含まないもの」を決めてから話し合うと決めやすくなります。
共同で持っている機械で受託する場合は?
組合の機械を使う場合は、利用料や燃料の精算も必要です。共同利用機械の利用簿・精算表を合わせて使えます。
あわせて使うテンプレート
このテンプレートは自由に使い、書き換えてかまいません。提出先(JA・部会・取引先・認証機関など)に指定の様式がある場合は、そちらを優先してください。 掲載している制度・法令の説明は更新日時点のものです。