経営・会計

農地賃貸借契約書の無料テンプレート(Word・PDF)|記入例と書き方つき

更新日 2026年9月28日|登録不要・無料

農地を相対で貸し借りするときの賃貸借契約書のテンプレートです。農地法で書面にすることが求められる存続期間・借賃・支払条件に加え、修繕・経常費用の負担、返還、解除の条件の欄を入れ、土地の目録と費用負担の取り決めの表を付けました。2025年4月以降の農地バンク経由との違いも解説します。Word(入力用)と手書き用PDFを登録不要でダウンロードできます。

農地賃貸借契約書の記入例
記入例(サンプルです。実在の商品名・人名ではありません)

この契約書でわかること

農地を借りて(貸して)耕作するときに、期間・借賃・費用の負担などを書面で取り決めるための契約書です。次のような場面で使えます。

  • 知り合いの農地を、相対(当事者どうしの契約)で借りるとき
  • 口約束で借りていた農地を、書面の契約に切り替えるとき
  • 農業委員会に農地法第3条の許可を申請する前に、条件を貸し手とすり合わせるとき

記入用の様式(項目名入り)のほか、1筆ずつ書く「別表(土地の目録)」と、固定資産税・水利費・草刈りなどを誰が負担するかを決める「費用の負担」の表が入っています。

各欄の書き方

欄 書くこと 記入例
契約の経路 相対(農地法第3条の許可)か、それ以外か 相対
目的物 別表に1筆ずつ所在・地番・地目・面積 字北田125 田 2,150㎡
期間 始期と終期、何年間か 2026年4月1日〜2036年3月31日
更新 更新しない通知がなければ同じ条件で更新する旨 満了の1年前〜6か月前
借賃の額 10aあたりの額と年額。物納なら品目と量 10aあたり年6,000円
支払期日・方法 いつまでに、どうやって払うか 毎年12月25日まで振込
支払の猶予・減額 災害のときの猶予、使えなくなった部分の減額 割合に応じて協議
転貸・譲渡 貸し手の承諾がいること 承諾なしにしない
修繕・改良、経常費用 誰が何を負担するか 固定資産税は甲、水利費は乙
返還・原状回復 何日以内に返すか、どこまで元に戻すか 終了日から30日以内
解除の条件 農作業に常時従事しない個人や法人が借りるときに入れる条件 該当なし
付随する権利・義務 一緒に使う小屋や設備 農具小屋1棟

記入例の人名・地名・金額は架空のものです。借賃の額は地域で大きく違います。市町村の農業委員会が公表している「農地の賃借料情報」を目安に、当事者で話し合って決めてください。

法令・制度上の位置づけ

農地を貸し借りするには許可か計画が要る

農地に賃借権や使用貸借による権利を設定するときは、原則として当事者が農業委員会の許可を受けなければならず、許可を受けないでした行為は効力を生じません(農地法第3条第1項・第6項)。農地中間管理機構(農地バンク)が定める農用地利用集積等促進計画の公告によって権利が設定される場合などは、この許可の対象外です(同条第1項第7号)。

出典: e-Gov法令検索「農地法」

2025年4月からの変化(利用権設定は農地バンク経由へ)

以前は、市町村が定める「農用地利用集積計画」(農業経営基盤強化促進法)による利用権設定が、相対の3条許可と並ぶもう一つの方法でした。2022年の法改正で、この計画は農地バンクの計画と統合されて「農用地利用集積等促進計画」になり、市町村が新たに農用地利用集積計画を定められるのは、改正法の施行(2023年4月1日)から2年を経過する日まで(地域計画が先に公告された区域はその前日まで)とされました。すでに公告された集積計画は、その期間が終わるまで効力が続きます。

そのため、2025年4月以降に農地を貸し借りする方法は、主に次の2つです。

方法 手続き このテンプレート
相対で契約する 当事者で契約し、農業委員会の許可(農地法第3条)を受ける 使える
農地バンクを通す 機構が借り受け・貸し付けし、農用地利用集積等促進計画の公告で権利が設定される 機構の手続き・様式による

地域計画(目標地図)に位置付けられた人へ農地バンクを通して貸す場合は、添付書類が省略できるなど、手続きが簡素化されています。どちらが合うかは、市町村・農業委員会・農地バンクに相談してください。

出典: e-Gov法令検索「農業経営基盤強化促進法」附則(令和4年5月27日法律第56号)第5条、農林水産省「農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律について」、農林水産省「地域計画」

契約書に書くこと・契約の終わり方

  • 書面にする: 農地の賃貸借契約は、存続期間・借賃等の額・支払条件などを書面で明らかにしなければなりません(農地法第21条)。
  • 更新: 期間の定めがある賃貸借は、満了の1年前から6か月前までに更新しない旨を通知しなければ、同じ条件で更新したものとみなされます(農地法第17条)。農地バンクの計画で設定された賃借権などは対象外です。
  • 解約の制限: 解除・解約の申入れ・合意解約・更新しない通知は、原則として都道府県知事の許可が要ります。ただし、引き渡す期限の前6か月以内に成立し書面で明らかな合意解約や、10年以上の期間の賃貸借で更新しない通知をする場合などは許可が要らず、農業委員会への通知で足ります(農地法第18条第1項・第6項)。
  • 第三者への対抗: 登記がなくても、農地の引渡しがあれば、その後に所有権を取得した人に賃借権を主張できます(農地法第16条)。
  • 解除の条件: 農作業に常時従事しない個人や農地所有適格法人以外の法人が借りる場合は、適正に利用していないときに契約を解除する旨の条件を書面の契約に付けることが、許可の要件の一つです(農地法第3条第3項)。

出典: e-Gov法令検索「農地法」第3条・第16条〜第18条・第21条、農林水産省「農地法関係事務処理要領」

国の事務処理要領には契約書の様式例があり、このテンプレートは、その項目(目的物、期間、借賃、支払猶予、転貸、修繕・改良、経常費用、返還、減額)を参考に作った独自の様式です。市町村の農業委員会が様式を定めている場合は、そちらを使ってください。

収入印紙

土地の賃貸借契約書は印紙税の第1号の2文書に当たります。記載金額は返還されない権利金などの額で、賃料は含まれないとされており、契約金額の記載がない場合の税額は200円です。権利金を払う場合など、迷うときは税務署に確かめてください。

出典: 国税庁「No.7101 不動産の譲渡・土地の賃貸借・消費貸借・運送等に関する契約書」、国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)」

このテンプレートは一般的な記入例です。実際の契約では、農業委員会に確かめ、必要に応じて行政書士などの専門家に相談してください。

借りた圃場を地図に登録しておく

ミノリス日誌では、借りた圃場も名前で登録して地図の上に範囲を描くと、その面積(m²・a)が表示されます。圃場ごとに住所やメモを残せるので、地番や貸し手の名前を控えておけます。契約書の作成や許可の申請の機能はありません。無料で使えます。

よくある間違い

  • 許可の前に耕作を始める: 相対の賃貸借は、農地法第3条の許可がないと効力を生じません。期間の始期は、許可の見込みに合わせて決めます。
  • 更新や解約の条件を当事者だけで決めてしまう: 農地法第17条(更新)や民法の解約の申入れの規定と異なる条件で、賃借人に不利なものは、定めていないものとみなされます(農地法第18条第7項)。解約や更新しない通知は、第18条の手続き(知事の許可または農業委員会への通知)に従います。
  • 面積を登記のまま書く: 登記と実際の面積が違うときは、契約で決めた面積と畦畔の面積も書いておくと、借賃の計算でもめません。
  • 水利費や草刈りの負担を決めていない: 経常費用の負担は後からもめやすいところです。「費用の負担」の表で1項目ずつ決めておきます。

よくある質問

無償で借りる場合も、この契約書でよいですか?

無償の貸し借りは使用貸借で、賃貸借とは法律上の扱いが違います(法定更新や解約の制限がありません)。農地使用貸借契約書を使ってください。

農地バンクを通して借りる場合は?

機構が貸し手から借り受けて借り手に貸し付け、農用地利用集積等促進計画の公告によって権利が設定されます。契約の内容や賃料の払い方は機構の手続きに従うので、このテンプレートではなく、県の機構や市町村の窓口の案内を確かめてください。

借賃の支払いを記録しておくには?

地権者ごとの年額・支払日・契約の終期を一覧にする地代(賃借料)支払台帳が使えます。

あわせて使うテンプレート

このテンプレートは自由に使い、書き換えてかまいません。提出先(JA・部会・取引先・認証機関など)に指定の様式がある場合は、そちらを優先してください。 掲載している制度・法令の説明は更新日時点のものです。