経営・会計

農業版BCP(事業継続計画)の無料テンプレート(Word・PDF)|リスクチェックリストと記入例つき

更新日 2026年9月28日|登録不要・無料

台風・大雨・大雪・停電などに備える、農家向けのBCP(事業継続計画)のテンプレートです。農林水産省が公開している農業版BCPとチェックリストの構成を参考に、基本方針・最優先で再開する業務・停電や断水のときの代わりの手段・ヒト・モノ・カネ・情報・初動の手順を1枚にまとめ、リスクチェックリストと緊急連絡先の表を付けました。Word(入力用)と手書き用PDFを登録不要でダウンロードできます。

農業版BCP(事業継続計画)とリスクチェックリストの記入例
記入例(サンプルです。実在の商品名・人名ではありません)

この計画でわかること

災害や事故が起きたときに、何を優先して守り、どうやって経営を再開するかを、前もって決めておくための計画書です。次のような場面で使えます。

  • 台風や大雨の前に、家族や従業員と「そのとき誰が何をするか」を確かめるとき
  • ハウスや畜舎の停電・断水に、どんな代わりの手段があるかを整理したいとき
  • 補助事業の申請で、農業版BCPの作成が求められたり、ポイントになったりするとき

1枚目の「農業版BCP」のほか、備えができているかを「はい・いいえ」で確かめる「リスクチェックリスト」と、災害時の「緊急連絡先」の表が入っています。

各欄の書き方

欄 書くこと 記入例
基本方針 災害時に大事にすること(3つ程度) 人の命と安全を最優先にする
想定する災害 ハザードマップや過去の被害から 台風・大雨による浸水、大雪、停電
最優先で再開する業務 止まると影響が大きい業務 ハウスの温度・かん水管理、収穫・出荷
再開の目標時期 いつまでに再開するか 発生から3日以内
停電・断水・通信・道路・施設 影響 → 代わりの手段 発電機で暖房機とポンプを動かす
人・物・お金・情報 安否確認、資材の予備、手元資金と保険、連絡先の控え 収入保険と園芸施設共済に加入済み
責任者と代理 不在のときに判断する人 山田 太郎(代理: 山田 花子)
初動(24時間) 最初にすることの順番 安否 → 被害の確認と写真 → 共済・市町村へ連絡
見直しと訓練 いつ見直すか 毎年、梅雨の前に読み合わせ

記入例は架空の施設園芸(トマト)の経営体です。

農業版BCPとは

農林水産省のチェックリストと農業版BCP

BCP(事業継続計画)は、自然災害や感染症、大事故が起きても中核となる事業を続けたり、できるだけ早く復旧させたりするための方法を、あらかじめ決めておく計画です。農林水産省は、農業者が災害への備えに取り組みやすいよう、「自然災害等のリスクに備えるためのチェックリスト」と「農業版BCP」のフォーマットを公開しています。

  • 耕種・園芸・畜産の3種類があり、それぞれにチェックリストと農業版BCPがあります
  • チェックリストは「リスクマネジメント編」(平時と台風などの直前の備え)と「事業継続編」(被災後の早期復旧に向けたヒト・モノ・カネ・情報などの備え)に分かれています
  • 事業継続編の項目ごとに書くと、農業版BCPを簡単に作れるようになっています

このテンプレートは、その構成(基本方針、重要な業務と目標の復旧時期、インフラの被害と代わりの手段、ヒト・モノ・カネ・情報、緊急時の体制と初動、備蓄、見直し)を参考に、1枚で書けるようにまとめ直した独自の様式です。国のフォーマットを使いたい場合は、農林水産省のページからダウンロードできます。

出典: 農林水産省「自然災害等のリスクに備えるためのチェックリストと農業版BCPについて」

補助事業との関係

農林水産省のページでは、農業版BCPに取り組む場合に採択時のポイントが加算される補助事業(農地利用効率化等支援事業、新規就農者育成総合対策の経営発展支援事業など)が案内されています。対象の事業や求められる様式は年度ごとに変わるので、申請する事業の要領と窓口で確かめてください。

BCPを作ること自体は、法令で義務づけられたものではありません(任意の取り組みです)。

園芸施設の強風対策と共済

農林水産省の園芸用チェックリストでは、ハウスの耐風速を超える強風が予想されるときは被覆フィルムを事前に除去すること、急に切断して除去する場合は事前に農業共済組合などに連絡しておかないと園芸施設共済の対象にならないことが注意されています。自分が加入している共済の扱いを、前もって確かめておきます。

出典: 農林水産省「自然災害等のリスクに備えるためのチェックリスト(リスクマネジメント編)【園芸用】」

被災の記録を残す

農林水産省の事例集「もし明日、災害が起きたら」には、豪雨で出荷できなくなったときに、被災状況の写真を取引先に送ったり見せて回ったりして説明した農業者の例が載っています。被害の写真と記録は、共済・保険・市町村への報告にも使います。初動の手順に「片付けの前に写真を撮る」を入れておき、災害被害の記録・届出の下書きを使って残してください。

出典: 農林水産省「もし明日、災害が起きたら~事例と対策からみる農業版BCP策定のヒント~」

圃場と作業の記録を、日ごろからスマホに残す

ミノリス日誌では、圃場ごとの作業・農薬・肥料・収穫の記録と写真をスマホから残せます。ふだんの記録があると、被害を受けたときに「何をどれだけ作っていたか」を確かめやすくなります。BCPの作成や災害時の連絡の機能はありません。無料で使えます。

よくある間違い

  • 作って終わりにする: 家族・従業員と共有していないBCPは、いざというときに使えません。作ったら読み合わせをし、年に1回は見直します。
  • 「代わりの手段」が書いていない: 「停電すると困る」で止めず、「発電機で何を動かすか、燃料はどれだけあるか」まで書きます。
  • 連絡先がスマホの中だけ: 停電や故障でスマホが使えないこともあります。緊急連絡先は紙にも書いておきます。
  • 保険の中身を知らない: 加入していても、何が補償されるか、いつまでに何を連絡するかを知らないと、請求できないことがあります。

よくある質問

小さな家族経営でも作る意味はありますか?

あります。農林水産省のフォーマットも、個人の農業者が使うことを想定しています。書く量が少なくても、「誰が判断するか」「最初に何をするか」「連絡先はどこか」が決まっているだけで、災害時の迷いが減ります。

耕種・園芸・畜産のどれで書けばよいですか?

このテンプレートは3つに共通する項目で作っています。ハウスや畜舎に特有の備え(被覆材の点検、停電時の換気や給水など)は、農林水産省の該当するチェックリストでも確かめてください。

災害のあと、資金繰りを確かめるには?

復旧までの入金と支払いを月ごとに見通す資金繰り表が使えます。

あわせて使うテンプレート

このテンプレートは自由に使い、書き換えてかまいません。提出先(JA・部会・取引先・認証機関など)に指定の様式がある場合は、そちらを優先してください。 掲載している制度・法令の説明は更新日時点のものです。