労務

農業法人の就業規則の作り方|記載事項チェック表テンプレート(Excel・PDF)と農業の注意点

更新日 2026年9月26日|登録不要・無料

小規模な農業法人・農家が就業規則を作るときに、労働基準法89条で決められた記載事項が漏れていないかを確かめるチェック表です。農業の労働時間・休日の適用除外(労基法41条)を踏まえた注意点と、章立ての構成例をつけました。Excel とPDFを登録不要でダウンロードできます。

無料でダウンロード

Excel には「記入用」と「記入例」のシートが入っています。

就業規則の記載事項チェック表(農業)の記入例
記入例(サンプルです。実在の商品名・人名ではありません)

このチェック表でわかること

就業規則は、労働時間・賃金・退職などの労働条件と、職場のルールを定めた規則です。このテンプレートは就業規則の全文ではなく、次のことを確かめるためのものです。

  • 労働基準法89条で決められた記載事項が、自分の就業規則に入っているか
  • 農業ならではの扱い(労働時間・休日の適用除外など)を踏まえて決めたか
  • 意見聴取・届出・周知の手続きを済ませたか

条文の書き方は、厚生労働省の「モデル就業規則」に規程例と解説があります。このチェック表で決めることを整理してから、モデル就業規則を下敷きに自社の規則を書くと、抜けを防げます。

記載事項と書き方

区分 記載事項 記入例
必ず記載 始業・終業の時刻、休憩時間 通常期8時〜17時、夏期6時〜15時
必ず記載 休日・休暇 日曜日と会社カレンダーの日、年次有給休暇
必ず記載 交替制の就業時転換 交替制がある場合だけ
必ず記載 賃金の決定・計算・支払の方法、締切り・支払時期、昇給 月末締め翌月15日払い、昇給年1回
必ず記載 退職に関する事項(解雇の事由を含む) 定年65歳、解雇の事由を列挙
定める場合 退職手当、臨時の賃金、作業用品などの負担、安全衛生、職業訓練、災害補償、表彰・制裁、全員に適用するルール 作業着は会社支給、寮費月1万円

「必ず記載」は、どの就業規則にも書かなければならない事項です。「定める場合」は、その制度を設けるなら書かなければならない事項です。記入例は架空の農業法人です。記入用シートには記載事項と手続きのチェック欄を印字してあり、「規則の構成例」シートには章立ての例と農業で考えることをまとめています。

法令上の位置づけ

作成・届出の義務(労基法89条)

常時10人以上の労働者を使う使用者は、就業規則を作って労働基準監督署に届け出なければなりません(義務)。変更したときも同じです。人数は会社全体ではなく、事業場(農場・作業場など)ごとに数えます。10人未満の事業場には作成の義務はありませんが、トラブルを防ぐために作ることが望まれるとされています。

作成・変更のときは、労働者の過半数で組織する労働組合、ない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を聴き、届出にはその意見を書いた書面を添えます(労基法90条)。作った就業規則は、掲示・備え付け・書面の交付などで労働者に周知します(労基法106条)。

出典: e-Gov法令検索「労働基準法」第89条・第90条・第91条・第106条 / 厚生労働省「モデル就業規則について」

農業の労働時間・休日の扱い(労基法41条)

農業(土地の耕作・植物の栽培など)と畜産・養蚕・水産の事業に従事する人には、労働時間・休憩・休日に関する規定が適用されません(労基法41条1号、別表第一第6号(林業を除く)・第7号)。そのため、1日8時間・週40時間の上限や、時間外・休日労働の割増賃金の規定は、農業の従事者には原則として適用されません。

ただし、就業規則には次のことを書く必要があり、次の規定は農業でも適用されます。

  • 始業・終業の時刻、休憩、休日は、適用除外でも就業規則の必ず記載する事項です(89条は適用除外になりません)
  • 深夜(午後10時〜午前5時)の割増賃金(25%以上)
  • 年次有給休暇と、年5日の時季指定

また、農産物の販売・加工などを主な業務とする事業場は商業・製造業に当たるため、適用除外になりません。外国人技能実習生は、農業であっても労働時間・休憩・休日の基準に準拠することとされています。農業部門と販売・加工部門がある法人は、どの人がどちらに当たるかを整理してから、労働時間の条文を書きます。

出典: e-Gov法令検索「労働基準法」第37条・第39条・第41条・別表第一 / 厚生労働省「農業者・農業法人 労務管理のポイント」(農林水産省サイト掲載)

減給の制裁の上限(労基法91条)

就業規則で減給の制裁を定める場合、1回の額は平均賃金の1日分の半額まで、総額は1回の賃金支払期の賃金総額の10分の1までです。

このチェック表は一般的な整理のためのものです。自社の就業規則を作るとき・変えるときは、社会保険労務士や労働基準監督署に確かめてください。

始業・終業の記録をタブレットで取る

ミノリスタイマーなら、作業の開始・終了をスマホで打刻でき、休憩も記録できます。休憩所のタブレットに打刻用のページを開いておけば、ログインなしで打刻できます。作業時間は人ごとに集計できます。無料で使えます。

よくある間違い

  • 農業だから始業・終業の時刻は書かなくてよいと思う: 労働時間の規定が適用除外でも、就業規則には始業・終業の時刻・休憩・休日を必ず書きます。季節で変えるなら、季節ごとの時刻を書きます。
  • 作っただけで周知していない: 就業規則は、作業場への掲示や書面の配布などで労働者に知らせる必要があります。
  • 雇用契約書と内容が食い違う: 就業規則と個々の雇用契約書・労働条件通知書の内容をそろえます。就業規則で定める基準に達しない労働条件の部分は、その部分が無効になり、就業規則の基準によることになります(労働契約法12条)。

よくある質問

家族だけで経営しています。就業規則は必要ですか?

同居の親族だけを使う事業には、労働基準法は適用されません(労働基準法116条2項)。家族の働き方の取り決めには、家族経営協定書が使えます。家族以外の人を雇うようになったら、就業規則を検討してください。

パートや季節雇用の人にも同じ就業規則が適用されますか?

適用範囲は就業規則で決めます。正社員とパート・季節雇用で労働条件が違う場合は、パート用の規則を別に作るか、適用する条文を分けて書きます。パート・有期雇用の人に関わる就業規則を作るときは、その人たちの過半数を代表する人の意見を聴くよう努めることとされています(パートタイム・有期雇用労働法7条)。

モデル就業規則をそのまま使ってもよいですか?

モデル就業規則は規程例なので、自社の実情に合わせて書き換えて使います。農業の場合は、労働時間・休日の条文を適用除外や季節の作業に合わせて見直す必要があります。

あわせて使うテンプレート

このテンプレートは自由に使い、書き換えてかまいません。提出先(JA・部会・取引先・認証機関など)に指定の様式がある場合は、そちらを優先してください。 掲載している制度・法令の説明は更新日時点のものです。