計画
家族経営協定書のひな形・テンプレート(Excel・PDF)|記入例と書き方つき
更新日 2026年9月26日|登録不要・無料
家族で農業を営むときの役割分担・労働報酬・休日・経営の継承などを取り決める家族経営協定書のテンプレートです。夫婦と後継者の3人で結ぶ記入例と、認定農業者の共同申請や農業者年金など協定が関わる制度の注意点をまとめました。Excel とPDFを登録不要でダウンロードできます。
この協定書でわかること
家族経営協定は、家族で営む農業について、経営の方針・役割分担・労働報酬・休日などを家族で話し合って決め、文書にしたものです。家族経営は経営と暮らしの境目があいまいになりやすく、誰が何を担当し、いくら受け取り、いつ休むのかがはっきりしないまま不満がたまりがちです。話し合って書面にしておくと、家族それぞれが経営に参加しやすくなります。
- 夫婦で就農する、後継者が親元に就農するとき
- 認定農業者の共同申請や、協定を要件にする制度を使うとき
- 経営の継承に向けて、役割や報酬を見直すとき
農林水産省の調査では、2025年3月末時点で全国59,731戸が協定を文書で結んでいます。2024年度に結ばれた協定で多い取り決めは「労働時間・休日」(95.4%)、「農業経営の方針決定」(93.3%)、「農業面の役割分担」(88.1%)、「労働報酬」(74.1%)でした。
各項目の書き方
取り決める内容や様式に決まりはありません。テンプレートには、多くの協定で取り決められている項目を入れています。
| 項目 | 書くこと | 記入例 |
|---|---|---|
| 経営方針の決め方 | 大事なことを誰がどう決めるか | 投資・借入れ・法人化などは全員の合意で決める |
| 経営の役割分担 | 部門・作業ごとの主担当 | 水稲は父、ハウスは長男、簿記は母 |
| 労働報酬 | 金額・支払日・支払方法 | 月15万円、毎月25日に口座振込 |
| 収益の配分 | 給与以外の利益の分け方 | 所得目標を超えた分を賞与で配分 |
| 労働時間・休憩 | 始業・終業の目安、繁忙期の扱い | 8時〜17時、休憩1時間 |
| 休日・休暇 | 休みの日数・取り方 | 毎週1日、通常期は月1回の連休 |
| 簿記記帳・家族会議 | 記帳の担当、話し合いの時期 | 毎年12月に家族会議 |
| 生活面の役割分担 | 家事・育児・介護の分担 | 家事は3人で分担 |
| 経営の継承 | 経営権・資産を移す時期と方法 | 10年後をめどに長男へ |
| 見直し・有効期間 | 期間と見直しのきっかけ | 1年ごとに自動更新 |
記入例は、父・母・長男の3人で結ぶ架空の例です。記入用シートには項目名を印字してあり、「見直しの記録」シートで変更の履歴も残せます。
結び方の流れ
- 家族で話し合う: 経営の現状と課題、これからの方針、働き方や暮らしの希望を出し合います。
- 取り決める項目を決める: 全部を一度に決めなくてかまいません。まず困っていることから書きます。
- 協定を結ぶ: 案を作り、普及指導センターや農業委員会などに意見を聞きます。締結のときに立会人がいると、より確かなものになります。
- 実行して見直す: 年に1回は家族会議で見直し、家族の状況が変わったら書き直します。
出典: 農林水産省「家族経営協定」(締結農家数の調査結果と締結事例) / 農林水産省「農業の経営継承に関する手引き」と様式例(様式例10に家族経営協定の例)
協定が関わる制度
家族経営協定そのものは法律で義務づけられたものではありません。ただし、次のように協定を要件の一つにしている制度があります。細かい要件は制度ごとに違い、改正もあるので、使う前に窓口で確かめてください。
認定農業者の共同申請
家族経営協定を結んだ夫婦や親子などは、共同で農業経営改善計画の認定を申請できます。条件は、申請者全員が同じ世帯に属している(または属していた)こと、協定の中で「経営から生じる収益が申請者全員に帰属すること」と「経営の基本的な事項を申請者全員の合意で決めること」が明確になっていること、その取り決めが守られていることです。記入例の「経営方針の決め方」と「収益の配分」は、この2点を意識して書いています。
出典: 農林水産省「認定農業者制度について」(共同申請の条件)
農業者年金の保険料の国庫補助
農業者年金の保険料の国庫補助(政策支援加入)は、認定農業者(または認定新規就農者)で青色申告をしている人に加えて、その人と家族経営協定を結んで経営に参画している配偶者や直系卑属(後継者)も対象になります。ほかに、39歳までに加入すること、農業所得(配偶者・後継者は経営主から受け取る給与など)が900万円以下であることなどの要件があります。
新規就農の資金
就農準備資金・経営開始資金では、親元就農する人は家族経営協定などで責任と役割を明確にすることが求められます。経営開始資金を夫婦で受ける場合の特例(夫婦合わせて1.5倍の額)は、協定で夫婦が共同経営者であると定めていることなどが要件です。
出典: 農林水産省「就農準備資金・経営開始資金」(令和8年度要綱)
協定の作り方の相談は、市町村・農業委員会・JA・普及指導センターが窓口です。家族に給与を払う場合の税務は、税理士や税務署に確かめてください。
家族それぞれの作業時間を記録しておく
ミノリスタイマーなら、作業の開始・終了をスマホで打刻でき、作業時間を人ごとに日別・月別で集計できます。協定で決めた労働時間や報酬を見直すときに、実際の作業時間を確かめられます。無料で使えます。
よくある間違い
- 役割分担だけで報酬や休日を決めていない: 「誰が何をするか」だけでは、働き方の不満は解消しません。報酬の金額と支払日、休日の日数まで書くと、協定が生きたものになります。
- 結んだまま見直さない: 結婚・就農・継承などで家族の状況は変わります。見直しの時期(例: 毎年12月の家族会議)を協定に書いておきます。
- 制度の要件を確かめずに書く: 共同申請では収益の帰属と全員の合意による意思決定が明確になっている必要があるなど、制度ごとに求められる内容があります。使う制度が決まっていれば、窓口に確かめてから書きます。
よくある質問
家族に給与を払えば、経費になりますか?
個人経営で、生計を一にする家族に払う給与を青色事業専従者給与として必要経費にするには、税務署への届出が必要です。届出の期限は原則として経費にしたい年の3月15日までで、専従者はその年を通じて6か月を超えて事業に専ら従事していることなどの要件があります。届け出た金額の範囲内で、労務の対価として相当な額に限られます。出典: 国税庁「No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除」
協定に印鑑は必要ですか? どこかに提出しますか?
協定そのものに決まった提出先はありません。協定者と立会人が署名(記名押印)し、それぞれ1部ずつ保管するのが一般的です。制度の申請で写しを求められたときに出します。
雇っている人との取り決めにも使えますか?
使えません。家族以外の人を雇うときは、労働基準法にもとづいて労働条件を明示します。雇用契約書・労働条件通知書を使ってください。
あわせて使うテンプレート
このテンプレートは自由に使い、書き換えてかまいません。提出先(JA・部会・取引先・認証機関など)に指定の様式がある場合は、そちらを優先してください。 掲載している制度・法令の説明は更新日時点のものです。