病害耐性

萎黄病耐性のキャベツ品種一覧 全194種類

萎黄病耐性キャベツ 萎黄病とは 萎黄病は、糸状菌の一種である Fusarium oxysporum f. sp. conglutinans によって引き起こされるキャベツの代表的な土壌病害です。病原菌は土壌中に長期間生存し、根から植物体内に

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萎黄病耐性について

萎黄病耐性キャベツ

萎黄病とは

萎黄病は、糸状菌の一種である Fusarium oxysporum f. sp. conglutinans によって引き起こされるキャベツの代表的な土壌病害です。病原菌は土壌中に長期間生存し、根から植物体内に侵入して維管束(水・養分の通り道)を閉塞させます。その結果、株全体に水分が行き渡らなくなり、下葉から黄化・萎れが始まります。

症状の特徴は、葉が葉脈に沿って黄化し、株が左右非対称に萎れる点です。株の茎を横断すると維管束が褐変しており、これが萎黄病の診断根拠になります。発病が進むと株全体が萎凋・枯死し、球が形成されないまま出荷不能になります。

発生が多いのは、地温が25〜28℃前後に上昇する時期です。春どりから初夏にかけての暖温条件が重なる時期に被害が集中しやすく、ハウス栽培や高温年では被害がさらに拡大します。酸性土壌(pH6.0未満)も発病を促進する要因になります。国内では連作圃場を中心に発生が確認されており、キャベツの主産地(愛知・群馬・千葉など)では長年にわたって対策が続けられています。

萎黄病耐性の区分

キャベツの萎黄病耐性は、種苗カタログ上では「YR(Yellow Resistance)」という略号で表記されるのが一般的です。品種名の先頭に「YR」が付いているものは萎黄病に対する耐性を持っていることを示しており、産地での品種選定の際に重要な目印になっています。

ここで注意しておきたいのが、耐病性の程度には幅があるという点です。HR(高度耐病性)とIR(中程度耐病性)に相当するレベルの違いがありますが、キャベツ産業では「YR」表記がひとまとめにされているケースも多く、カタログだけでは耐病性の強さを詳細に比較することが難しい場合があります。詳細な耐病性レベルが知りたい場合は、種苗メーカーに直接問い合わせるか、地域の農業試験場のデータを参照することが有効です。

また、Fusarium oxysporum f. sp. conglutinans にはレース(系統)の分化が報告されています。国内での発生レースは産地によって異なる可能性があり、特定のレースに対して有効な耐性が、別のレースには効果が不十分なケースもあります。地域の発生情報を把握したうえで品種を選ぶことが、実際の栽培リスクの低減につながります。

歴史と豆知識

萎黄病はキャベツ産業にとって古くからの難敵です。かつては「根腐れ」と混同されることもありましたが、20世紀前半には病原菌の同定が進み、土壌伝染性のフザリウム病として明確に位置づけられました。

日本のキャベツ産地では、連作体系が確立されるにつれて萎黄病被害が顕在化しました。戦後の食料増産期を経て、専作化が進んだ愛知・千葉・茨城などの大産地で問題が深刻になりました。これを受けて、各種苗メーカーは1970年代以降に萎黄病耐性の育種に注力し始めました。

意外と知られていないのですが、YR品種が普及したことで農薬防除への依存度が大幅に下がり、コスト削減と農薬リスクの低減が同時に実現しました。現在では、キャベツの主要産地でYR品種が標準品種として定着しており、非YR品種の作付けは非連作圃場や特定の作型に限られる状況になっています。

育種の歴史においても、YR表記を持つ品種群の開発は種苗技術の一つの到達点として評価されています。株式会社増田採種場や株式会社日本農林社など国内育種会社が独自の耐病性系統を持ち、各産地の気候・作型に合わせたYR品種ラインナップが充実しています。

耐病性の限界と注意点

YR品種であっても、萎黄病を完全に防げるわけではありません。以下の点は実際の栽培で理解しておくべき重要事項です。

病原菌密度が極端に高い圃場では、耐病性品種でも発病することがあります。長年にわたって萎黄病が多発してきた連作圃場では、土壌中の菌密度が高くなっており、耐病性品種でも抑制しきれないケースがあります。このような圃場では、土壌消毒や輪作の導入が不可欠です。

新しいレースの出現リスクも無視できません。病原菌は変異することがあり、これまでの耐病性品種が対応していない新しいレースが出現した場合、耐病性が実質的に崩壊する可能性があります。過去にトマト産業でも耐病性の崩壊が問題になったことがあり、単一の耐病性品種に頼り続けることには一定のリスクがあります。

地温と発病の関係も見落とせません。地温が28℃を超えるような高温条件では、耐病性品種でも菌の活性が高まり、発病しやすくなる傾向があります。高温期に作型が重なる圃場では、灌水による地温抑制や遮光など、温度管理の工夫も合わせて行うことが重要です。

防除のポイント

萎黄病の防除は、耐病性品種の利用を中心に据えつつ、複数の手段を組み合わせる総合的なアプローチが基本です。

耕種的防除として最も有効なのは輪作です。キャベツ連作を避け、イネ科作物や根菜類を組み合わせた3年以上の輪作体系を組むことで、土壌中の菌密度を低下させることが期待できます。特に、麦類との輪作はキャベツ産地で広く採用されている方法です。

土壌pH の管理も重要な防除手段の一つです。石灰資材の施用によってpHを6.5前後に維持することで、萎黄病菌の活性を抑制する効果があります。ただし、石灰の過剰施用は微量要素の欠乏を招くことがあるため、土壌診断に基づいた適切な施用量の管理が必要です。

化学的防除としては、定植前の土壌消毒が最も確実な手段です。クロルピクリン等の土壌燻蒸剤が登録されており、多発圃場での使用実績があります。ただし、コストと使用制限(使用回数・農薬登録内容)を考慮したうえで計画的に実施する必要があります。

定植時の苗床消毒も有効です。苗の段階で感染が持ち込まれるケースを防ぐため、育苗培土の衛生管理と定植前の苗の健全性確認を徹底します。

※農薬の使用にあたっては、必ず最新の農薬登録情報を確認し、ラベルの記載内容に従ってください。

現場の声

愛知県の豊橋地域など夏秋どりキャベツの主産地では、早くからYR品種への切り替えが進みました。連作圃場での萎黄病多発がきっかけで、産地全体でYR品種の導入を推進した経緯があります。導入後は、発病による廃棄ロスが大幅に減少し、収穫の安定化が実現したという報告があります。

群馬県の嬬恋地域では、高冷地の冷涼な気候が萎黄病の発生を抑制している面もありますが、温暖化の影響で発生リスクが高まっているとの声も聞かれます。このような産地でも、将来的なリスク管理としてYR品種を選定基準に組み込む動きが出ています。

生産者の品種選びの現場では、YR表記はもはや「あって当たり前」の条件として扱われ、YRの有無よりも耐病性の強さのレベルや、他の特性(耐寒性・結球揃い・食味)との組み合わせで差別化されるようになっています。産地によって事情が異なるので一概には言えませんが、YR品種の中でさらに高い耐病性レベルを求める傾向が強まっています。

まとめ

萎黄病は Fusarium oxysporum f. sp. conglutinans が引き起こす土壌伝染性のキャベツ病害で、連作圃場や高温期に被害が集中します。YR(萎黄病耐性)表記品種の導入が有効な対策の柱であり、国内のキャベツ産地では標準的な選定基準として定着しています。

品種選定にあたっては、YR表記の確認と合わせて、耐病性のレベルや地域の発生レース情報も考慮することが重要です。YR品種を導入したうえで、輪作・土壌pH管理・必要に応じた土壌消毒を組み合わせる総合的な防除体系が、安定したキャベツ生産につながります。

YR品種を多数取り揃えるキャベツ品種の一覧は、ミノリスのキャベツ品種一覧からご確認いただけます。YR春楽(株式会社日本農林社)、YR錦秋強力152・YR冬太郎・YR新風・YR暖流(株式会社増田採種場)、YR雪舟(小林種苗株式会社)など、作型別のYR品種も掲載しています。

194品種 表示中
トンガリボウシ

トンガリボウシ

株式会社日本農林社

歯切れよくて美味。直売でも目立つトンガリキャベツ ■特性 ・葉肉が厚く、柔らかく、水分と甘味が非常に富んでいるので食味が良く、 サラダや漬物(浅漬け)に最適な美味しい品種。 また、球芯が短く球高に対して1/3~1/4程度の長さなので、 調理がし易く無駄も少ない。 ・球頭部が尖る特徴があるので、 リピーターの目印となり、有利な販売がし易く、 直売や契約栽培に向く。 ・定植後65日~75日で収穫期(1.3~1.5kg)に達するイオウ病抵抗性中早生種。 ■栽培の注意 ・当品種の最大の特長は甘味とみずみずしさで、 その特長を最大限に生かすには、 収穫期の目安として完熟気味になる頃、 即ち外観的には葉割れが生じ始めたときが収穫の適期である。 また、完熟させると更に美味しくなる。

錦姫

錦姫

有限会社フジミ・オフィス

夏場に強くコンパクトで美味しい早生キャベツ 特性 1)病気に強く、萎黄病・軟腐病に強く、黒腐病にも比較的強い早生品種。 2)夏蒔きの早生品種で、高温期に強く定植後約60日で収穫可能です。 3)球は濃緑色の甲高扁平で、重量は1.2kg〜1.5kgとなり、非常に食感と味が良い。 4)高温・乾燥に強い品種であり、生育旺盛で栽培しやすい。又、コンパクトで立ち気味に生育する為、密植栽培にも向いています。 栽培の要点 ●極端な遅蒔き、早蒔きをされると球のしまりが悪くなるため、適期を確認してください。 ●雑草駆除剤等、農薬を散布される場合は、認定薬剤を使用してください。 ●耐寒性が強くないため、冬場の作付けは注意してください。

おきなSP

おきなSP

タキイ種苗株式会社

加工・業務用に適した肥大性と在圃性にすぐれる早生種! ■特長 ・適期栽培では、定植後60〜65日で収穫できる早生種。 ・生育旺盛で作型・土壌適応幅が広く、栽培容易。 ・玉肥大がよく、L〜2Lサイズの大玉収穫に適する。 ・収穫適期後の裂球が遅く、収穫期幅が広い。 ・夏まきで問題となる萎黄病に対して耐病性を示す。 ■栽培の要点 ・早生性や肥大性を生かすため、極端な密植栽培を避ける。 ・加工・業務用に出荷するには、株間を40cmと広めにとる。 ・早生種のため、元肥主体で初期生育を促す。 ・黒腐病や株腐病、根こぶ病に対して予防防除を行う。

彩里

彩里

タキイ種苗株式会社

耐病性にすぐれる夏秋どり早生種! ■特長 ・萎黄病・黒腐病に耐病性をもつ。 ・適期栽培では定植後60〜65日で収穫できる早生種。 ・結球は初期からしまる肥大型で、L玉によくそろう。 ・草姿は中開性。玉は扁円で形状の安定性にすぐれ、収穫・箱詰め作業が容易。 ・玉は濃緑色、球内色は鮮黄色。球芯が短く品質にすぐれる。 ■栽培の要点 ・若苗定植と元肥主体で初期生育を促す。 ・結球始めから収穫期まで肥効を切らさないように、生育を見ながら追肥を施す。 ・形状の安定した品種だが、春の早まき栽培では甲高球になる傾向があるので、極端な早まきを避け、温床育苗を行う。 ・菌核病や株腐病の予防防除を行う。

涼音

涼音

タキイ種苗株式会社

裂球が遅く、圃場貯蔵性にすぐれる中生種! ■特長 ・適期栽培では、定植後80日程度と十分に時間をかけ収穫期に達する寒玉系中生種。 ・裂球が遅く圃場貯蔵性にすぐれ、計画出荷が可能。 ・玉の肥大や、そろいにすぐれ、形状は扁円に安定する。 ・結球がスムーズで球芯も短いので、球断面が美しく品質にすぐれる。 ・萎黄病、バーティシリウム萎凋病に耐病性をもつ。 ■栽培の要点 ・初期生育は緩やかに進め、中期以降の肥効で玉肥大を促す。 ・排水性の悪い圃場での作付けは避ける。 ・中間・暖地の早まき栽培でわき芽が発生したり、冷涼地の晩秋どり栽培で肥大が鈍る場合があるので、適作型を守る。 ・黒腐病、株腐病、根こぶ病に対しては、予防防除を行う。

夢いぶき

夢いぶき

タキイ種苗株式会社

耐寒・在圃性にすぐれ黒腐病に強い年内〜年明けどりの寒玉中生種! ■特長 ・耐寒性と在圃性にすぐれるため、収穫が不安定となる12月〜1月に安定した収穫ができる。 ・短芯で可食部が多いため、歩どまりがよい。 ・収穫適期後も株が倒伏しにくい。 ・最重要病害である黒腐病に対し、高度な耐病性を示し、萎黄病にも耐病性をもつ。 ■栽培の要点 ・保水性がよく肥沃な圃場への作付けを優先する。 ・元肥主力で初期生育を促進し、早めの追肥で生育後半まで安定した肥効を保つ。 ・低温伸長性は劣るため、播種、定植を適期で行い、年内に玉を仕上げるように心掛ける。 ・極端な密植栽培を避ける。 ・短茎のため、特に菌核病、株腐病に対しては十分な防除を行う。黒腐病に対しては完全抵抗性ではないので、予防的防除を並行することが望ましい。

彩ひかり

彩ひかり

タキイ種苗株式会社

低温期の適応性にすぐれる鮮緑の冬どり種! ■特長 ・萎黄病・黒腐病に耐病性をもつ冬どり中生種。 ・外葉は強健で中立性。低温結球・肥大性にすぐれ、そろいがよい。 ・結球後の耐寒・耐裂球性にすぐれ、収穫期幅が広い。 ・玉はボリューム感のある甲高扁円球の鮮緑色で、厳寒期でもアントシアンの着色が少なく、球内色は鮮黄色。 ■栽培の要点 ・冬どり品種なので早まき栽培を避ける。 ・生育旺盛で吸肥力が強いので、追肥主体の肥培管理で収穫期まで安定した肥効を保つ。 ・雨の多い時期や台風の後には、菌核病の予防防除を行う。

さらさ甘藍

さらさ甘藍

株式会社カイヤ採種場

色よし、味よしの高品質低温結球性に優れる中生種! 全日本野菜品種審査会1等特別賞受賞! ■特性 ・1月~3月どりに最適で、低温結球性に優れる甲高扁円~扁円の中生種です。 ・低温期における肥大性に優れ、春先における芯の曲がりが少ないです。 ・根張良く耐倒伏性に優れ、地際からの尻腐れに強いです。 ・萎黄病に完全抵抗性です。 ■栽培上の注意 ・霜が強く降りる地域では早まきによる年内~1月収穫で収穫適期以降に外葉に霜害が出ることがありますが、生育や収穫に問題はありません。 ・また、病気への予防散布をおこなってください。

夏ごろも甘藍

夏ごろも甘藍

株式会社カイヤ採種場

病気に強く、鮮緑扁円で、品質が大変良い 全日本野菜品種審査会1等特別賞受賞! ■特性 ・耐暑・耐病性が高い春~夏まき早生種。萎黄病には完全抵抗性で、黒腐れ病への耐病性は比較的高いです。また、浮き玉のため尻腐れは少ないです。 ・外葉は収穫期にやや開張気味となりますが、玉のサイズの割には小さいので密植可能です。 ・結球は最初に小さく形を作り、後半は肥大するタイプで、L玉中心の良く揃った玉を収穫できます。 ・玉はやや艶のある鮮緑色をしており、固く結球し、食味も極めて良い扁円美球となります。 ■栽培上の注意 ・降雨が適度にある気象下で肥沃な圃場での栽培では、やや外葉が大ぶりとなるので元肥は控えめとする(特に高冷地栽培)。 ・逆に、生育初期が乾燥する地域、作型においては、外葉の伸びを促進させるために、元肥中心の栽培とする(特に平坦地栽培)。 ・裂球は極端に遅い品種ではないので、追肥の多すぎ、遅すぎには注意する。 ・サワー型に近い品種ですが、高温乾燥下ではブルームの発生が見られ、硬いイメージとなります。

KV948甘藍

KV948甘藍

株式会社カイヤ採種場

病気に強く多収性、1~2月どりに最適な扁円中生種 ■特性 ・年内~2月どりに最適で、耐寒性がある扁円球の中生品種です。 ・結球の仕方は、内部がゆっくりと締まる結球充実型です。 ・球色は濃緑色で、市場性が大変高く、また肉質は完全な寒玉なので加工契約にも好適です。 ・外葉はやや旺盛ですが、立性に近いので密植も可能です。 ・根が強く耐倒伏性に優れているので、地際からの尻腐れに強く、裂球が遅いので在圃性が非常に高いです。 ・萎黄病に抵抗性で、1~2月に多い玉ベトや年内に発生しやすい黒腐れ病にも強い方です。

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