栽培環境・条件

耐暑性のキュウリ品種一覧 全73種類

耐暑性キュウリ 耐暑性とは 耐暑性とは、高温条件下においても生育・着果・品質維持が安定して持続できる品種特性を指します。キュウリ(ウリ科キュウリ属、Cucumis sativus L.)はもともと温暖な環境を好む作物ですが、近年の夏季の気温

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耐暑性について

耐暑性キュウリ

耐暑性とは

耐暑性とは、高温条件下においても生育・着果・品質維持が安定して持続できる品種特性を指します。キュウリ(ウリ科キュウリ属、Cucumis sativus L.)はもともと温暖な環境を好む作物ですが、近年の夏季の気温上昇(最高気温35℃超の猛暑日の増加)は、生育適温(20〜28℃程度)を超える高温ストレスをもたらし、着果不良・草勢の急低下・果実の品質劣化を引き起こす原因となっています。

耐暑性が高い品種は、気温が30℃を大幅に超える高温条件下でも花粉の稔性が維持され、雌花から正常な果実へと発育する能力が安定しています。また、草勢の低下が少なく、高温期でも主枝・側枝の伸長が持続することで収穫期間が延長されやすいという特性があります。果実への熱害(肌荒れ・変形・日焼け)が起こりにくい特性も耐暑性品種に期待される要素の一つです。

夏秋栽培(作型)とは異なる概念であることに注意が必要です。夏秋栽培は「3〜6月播種・6〜10月収穫」という作型の設計であるのに対し、耐暑性は「品種が高温ストレスに耐える能力」という品種特性を指します。夏秋栽培用の品種の多くは耐暑性を持つよう育種されていますが、耐暑性の品種特性は作型を超えて、促成・抑制などさまざまな作型での高温対応にも関連する概念です。

耐暑性の魅力

耐暑性品種が生産者に評価される最大の理由は、盛夏の収量安定性です。高温期に草勢が急落すると収穫量が激減し、出荷量の確保が困難になります。耐暑性品種は高温下でも草勢が維持されるため、7〜8月の猛暑期を乗り越えて収穫を継続しやすい特性を持ちます。

品質面でのメリットも重要です。高温期に問題になる果実の曲がり・ちりめん(果面の凸凹)・先膨れ(洋梨型)などの変形果は、耐暑性品種では発生頻度が低い傾向があります。秀品率を維持できることは、出荷規格の確保と収益安定に直結します。

労働安全性という観点からも、耐暑性品種の価値は高まっています。管理作業を涼しい早朝・夕方に集中させたいという現場のニーズに対し、高温ストレスへの品種の耐性が高ければ日中の生育に対するダメージが抑えられ、作物の状態管理の自由度が増します。

耐暑性と夏秋栽培品種の関係

意外と知られていないのですが、「夏秋栽培向け」と記載されている品種のすべてが高い耐暑性を持つわけではありません。夏秋栽培向けという表記は「この作型での栽培が推奨される」という意味であり、その品種の高温ストレスへの耐久力のレベルは品種によって差があります。

カタログで「耐暑性」「高温着果性に優れる」「盛夏期の収量安定性に優れる」などの表現が明記されている品種は、高温条件下での着果・草勢維持に特に配慮した育種がされているとみるべき品種です。夏秋栽培を行う際に、この「耐暑性」の表記を追加の確認軸として活用することが、品種選定の精度を高めます。

施設栽培においても耐暑性は重要です。夏季のハウス内温度は外気温より5〜15℃高くなることがあり、抑制栽培や周年栽培では真夏の高温期がそのまま栽培期間に入ります。こうした施設内の高温環境への対応として、耐暑性を持つ品種の選定が有効な選択肢となります。

栽培のポイント

耐暑性品種の特性を最大限に発揮するためには、品種の耐性に過度に頼らず、栽培管理の面でも高温対策を並行して実施することが重要です。

灌水管理は夏の高温期において最も重要な管理項目の一つです。高温・強日射下では蒸散量が急増し、土壌水分が急速に低下します。土壌水分の不足は果実の変形・品質低下だけでなく、草勢の急低下にもつながります。土壌水分計を活用した精密な灌水管理や、点滴灌水(ドリップ灌水)の導入による安定した水分供給が、耐暑性品種の能力を引き出すうえで効果的です。

地温の上昇対策も重要です。真夏の高温期は土壌温度が高くなりやすく、根の活性が低下します。白黒マルチや光反射マルチの使用で地温の上昇を抑制することが、根の健全性の維持につながります。

ここからが実際の栽培で差がつくところです。高温期の着果管理として、草勢が落ちていないか日頃からよく観察し、生長点の状態・新葉の伸長速度・花の着き方を確認する習慣が重要です。草勢の低下サインを早期に察知して追肥・灌水量の調整を行うことで、収穫期間の大幅な短縮を防ぐことができます。

遮光資材(遮光ネット)の活用も高温対策として有効です。強日射が続く時期の午後に遮光することで、ハウス内・圃場内の温度上昇を抑制し、果実の日焼けや生長点の高温障害を防ぐことができます。遮光率は20〜30%程度が一般的ですが、日照量によって調整が必要です。

品種選びのコツ

耐暑性キュウリの品種選定では、以下の点を確認することが重要です。

「耐暑性に優れる」「高温期の着果安定性」「盛夏期収量性に優れる」などの表記がカタログに明記されているかを確認します。夏秋向けと記載があっても耐暑性の程度は品種によって差があるため、具体的な表現の有無が選定の参考になります。

地域の気候条件との適合性を確認します。産地によって事情が異なるので一概には言えませんが、猛暑日が多く続く内陸産地と、海風による冷涼効果がある沿岸産地とでは、求められる耐暑性の程度が異なります。地域の農業試験場の品種試験データや、同じ産地の生産者からの情報が最も参考になります。

病害耐性との兼ね合いも確認します。夏の高温期は複数の病害が重複して発生しやすく、耐暑性とともに主要病害への耐性を持つ品種が管理の簡略化につながります。

耐暑性・夏秋栽培向け品種の例として、タキイ種苗の「VR夏すずみ」「夏すずみ」「夏ばやし」、渡辺農事の「夏のおくりもの」、久留米原種育成会の「夏秋明快1号」「夏秋明快2号」「ステ-タス夏Ⅲ」、ときわ研究場の「夏華(かか)」「いろどりの夏」「夏もよう」、神田育種農場の「夏秋の峰」「夏3エース」、中原採種場の「千夏(白イボ・グリーン胡瓜)」などが知られています。各品種の詳細は品種ページでご確認ください。

市場動向とこれから

気候変動による夏季の高温化が進む中、耐暑性品種への需要は今後さらに高まると考えられています。農林水産省の気象データでも、国内の年平均気温は長期的な上昇傾向にあり、真夏の猛暑日日数の増加が産地の栽培環境に影響を及ぼしています。

種苗メーカー各社は、耐暑性の強化を夏秋品種の育種目標の一つとして位置づけており、高温下での着果安定性・草勢維持能力・果実品質の向上を指向した新品種の開発が継続されています。分子育種技術の活用により、高温耐性に関与する遺伝子の解明と品種への導入が加速しており、今後数年間で耐暑性の水準がさらに向上した品種が登場することが期待されます。

生産現場では、耐暑性品種の普及と施設の環境制御技術(換気扇・ミスト冷却・遮光など)との組み合わせが、夏季の安定生産を実現する方向性として広まっています。品種の耐性だけに頼らず、栽培環境の整備とセットで取り組むことが長期的な生産安定の基盤となります。

まとめ

耐暑性キュウリは、高温条件下でも着果・草勢・果実品質を安定して維持できる品種特性を持つ品種群です。近年の夏季の高温化により、この特性はますます重要性を増しています。耐暑性品種の選定は高温期の収量安定と秀品率の維持に有効ですが、品種の特性だけに依存せず、灌水管理・地温管理・遮光対策などの栽培環境の整備を組み合わせることで、その効果を最大化できます。

品種選定にあたっては、カタログの「耐暑性」表記を確認するとともに、地域の気候条件と産地の主要病害への耐性との兼ね合いを総合的に判断することが重要です。耐暑性キュウリの品種一覧は、このページのタグが付いた品種ページからご確認いただけます。

73品種 表示中
Vシュート

Vシュート

タキイ種苗株式会社

耐暑性があり、つるもちのよい多収の複合耐病性品種! ■特長 ・うどんこ病、べと病、褐斑病、ウイルスによる病害であるモザイク病(ZYMV、PRSV) ※に複合耐病性をもち黒星病にも強い夏秋キュウリ。減農薬栽培に有利。 ・濃緑厚葉で葉のもちがよいので草勢が維持しやすく、後半まで枝伸びとスタミナが持続して多収となる。 ・果長は平均21〜22cmで、栽培後半まで安定し秀品率が高い。 ・果実は極濃緑で光沢があり歯切れがよい。 ・草姿立性で収穫作業が容易。栽培後半は枝摘み作業が省力できる。※(ZYMV:ズッキーニ黄斑モザイクウイルス、PRSV:パパイア輪点ウイルス) ■栽培の要点 ・本葉3枚程度の若苗を定植し、スムーズな活着に努め初期生育を安定させる。 ・下位7節までの側枝と雌花は早めに除去する。初期生育が悪い場合は、着果節位を10節程度まで上げ、草勢回復を図る。 ・追肥と潅水は収穫開始ごろから始め、以後遅れないよう定期的に実施する。 ・生育中期以降は過繁茂を避け、整枝・摘葉を適宜行う。 ※この品種には、若干のオフタイプが発生することがあります。切れ込みの深いギザ葉の苗は定植しないでください。

あおい抑制

あおい抑制

株式会社神田育種農場

品質極上、耐暑、成り戻り多い豊産種

ほっきこう121

ほっきこう121

カネコ種苗株式会社

耐病性・収量性に優れる長期どり夏秋品種 特性 ●主枝着果率は春まきで40〜50%位で、側枝以降の雌花着果性は安定しています。 ●耐暑性に優れ、萎れ・芯焼けの発生が少なく、果形の乱れも少ないです。 ●葉の大きさは中位で、角形をしています。 ●適期収穫で、果実の長さは21cm位で、果色は濃緑で光沢があります。 ●うどんこ病、ズッキーニ黄斑モザイクウイルス(ZYMV)に強い品種です。 ●露地栽培全般に適します。 栽培要点 ●整枝は基本として子づる1~2節止めとし、孫枝以降は半放任管理とするか、初期から子づるを1~2本伸ばして親・子2~3本仕立てにします。成り込み以降、草勢を強めに維持することでより長期に良品出荷が望めます。

グッドラック

グッドラック

株式会社タカヤマシード

ウドンコ病、ベト病に強い! ■特性 1.耐暑性に秀れ、耐病生、特にウドンコ病、ベト病に強い耐病生を持つ、栽培容易な短形白イボ種。 2.果は21~22cmでよく揃い、果色は濃緑色で光沢があり、高温乾燥期にも色あせしない。 3.肩張り良く尻太果や尻細果の発生が少なく、秀品率が極めて高い。 4.葉は濃緑で丸葉、大きさは中位。節間は比較的短かく、雌花は多い。 5.主枝雌花率は3~4月蒔きで60~70%と高く、側枝も連続して雌花節となる多収種。 ■ポイント 元肥を少し多めに施用し、肥切れを起こさない様に注意する。

パイロット

パイロット

株式会社ときわ研究場

高品質・果形安定多収、露地キュウリの決定版! 【播種期】2月下旬~8月中旬まき ■果実 果肩・果尻とも良く整い、果揃い良好となる。高温期でもシモフリなく濃いグリーンで光沢に優れキュウリ本来の味をもつ。 ■草姿 中小葉で強力な茎葉、カラッとした草姿で果実の肥大と草勢のバランスが良い。 ■収量性 収穫始めから果の肥大が良く、初期収量多く、強い草勢で全期間を通じて収量性は高くなる。

パリQ

パリQ

トキタ種苗株式会社

食味、歯切れの良さ、栽培しやすい四葉系キュウリ ■特性 果長28cm前後、いぼが多く鮮緑色で光沢あり。果肉は水分少めで硬く、歯切れ良く、四葉系キュウリに独特な食感を楽しめる。特に漬物や酢の物は絶品。病気に強く耐暑性があり、作りやすい。葉の大きさは、やや小さめ。4-7月の露地栽培に向く。子蔓、孫蔓収穫を中心なので、株間は60cmを目安。10アール当たり1000株程度に抑える。 ■栽培上の注意 主枝の雌花はやや少ないので、本葉7から8枚頃に下部5、6節の雌花、子蔓を切除し生育を進める。本葉15、16枚頃には盛んに子蔓が発生するので、子蔓の1節目で摘芯し、孫蔓の発生を促す。本葉20枚目くらいで主枝を摘芯し、下位4節位の孫蔓、中段以降の子蔓を合わせて5、6本を残して除く。以降に発生する蔓は1節目で摘芯し、果実肥大を助ける。主枝の8、9節目の雌花が開花着果する頃から追肥を始め、以降1週間ごとに窒素主体に100g/m2程度与える。水を切らさないように灌水する。 ■播き時期 遅霜の心配がなくなり、最低気温10℃以上、最低地温15℃以上になったころが定植適期で、一般地の露地栽培では5月上旬の頃になります。本葉3枚程度の定植苗になるまで、昼24℃、夜12℃で管理して種まきから1か月程度かかります。速やかに発芽させるためには温度が必要なため春先は特にお風呂の残り湯で保温するなどすると良いでしょう。 生育適期になってからは露地播きでも順調に発芽してきます。 ■播種方法 9cmポットに2粒程度播き、昼24℃、夜12℃程度の気温を保ち育苗します。春先は芽切れしたタネを播くようにします。本葉1枚で1株に間引き、本葉3〜4枚まで育てます。 ■植え付け 株間60cm目安。畝幅1m。160cm程度の支柱を建て、ネットを張り誘引します。 ■土壌条件 水はけ、水持ち、日当たりの良い肥沃な土壌が好ましい。 ■肥料 苦土石灰は、150〜200g、完熟堆肥5リットル、肥料分は、成分量で1平方メートルあたりN:P:K=20〜25g:20〜25g:10〜15gを混和し、畝をたてる。元肥が多すぎると、初期の果実の形が乱れる場合があります。 追肥は、1本目の果実の収穫がはじまったころから与えはじめ、1回につきチッソを1平方メートルあたり成分量で3g程度を1週間おきに与えます。キュウリは肥料と水で育てる作物なので、梅雨明け以降は水が切れないようにこまめに灌水します。 ■収穫 パリQならば、25〜30cmで収穫します。取り遅れは樹に負担をかけ、果実品質も劣るので適期に収穫します。 ■料理 モロッとした独特の食感が生で食べてもおいしい。漬物も絶品

ピックルミニエース

ピックルミニエース

松永種苗株式会社

浅漬けやピクルスなどで、生でもパリっとおいしいミニキュウリ。 ■主な特長 ●節成型の高いミニキュウリで耐暑性は極めて高く、作りやすい品種です。 ●生育は旺盛で播種後30日で収穫が始まり、60日以上も収穫できます。 ●収穫時のサイズは6〜7cm、果重25g程度が適度です。果実の発育が早いので、毎日朝夕2回収穫できます。 ●加工後の歯切れは他の春型品種に比べてはるかに良好で、変質等はありません。 ●発育が早く、栽培も容易なため家庭菜園に最適です。

フレッシュ胡瓜

フレッシュ胡瓜

宝種苗株式会社

耐暑性、耐病性に優れた、家庭菜園の定番! ●果長21~22㎝、白イボで果色は濃緑でツヤが良い。 ●耐暑性、耐病性共に強く、作りやすい。 ●果実はみずみずしく歯切れよく、食味が良い。 ●初期より末期まで多収。 ●整枝は1~3本仕立て。子づるは本葉1枚で摘芯、孫づるは強いもののみ摘芯する。

ブレイブ

ブレイブ

カネコ種苗株式会社

根張り良く、高温期でも安定した草勢! うどんこ病に強い! 特性 ●ブルームレスタイプの台木専用カボチャです。 ●発芽・そろいともに安定しており、子葉はやや小さく、胚軸が太いです。 ●胚軸は楕円形で裂けにくく、接木作業が容易です。 ●栽培を通して根張り・根量に優れ、細根、中太根のバランスも良いため、栽培後半まで草勢・側枝発生を維持し、高い収量性が望めます。 ●耐暑性に優れ、特に高温期での栽培において能力を発揮します。 ●うどんこ病に強く、発生が少ないです。  ※穂木にうどんこ病抵抗性を付与するものではありません。 ●親和性に優れ、ハウス、露地栽培を問わずどの作型にも適します。 栽培要点 ●呼び接ぎではキュウリより1〜2日遅れて播種、挿し接ぎではキュウリと同日に播種を行うようにします。

プロジェクトX

プロジェクトX

株式会社ときわ研究場

【播種期】9月〜8月まき(加温・無加温) ■雌花着生 主枝雌花率は、7~8月まきで主枝30~40%程度、1~2月まきで主枝80~90%程度、側枝は連続性高く1~2果成りとなる。 ■果実 果実は、21㎝程度。円筒形で果揃い良く、曲がり・尻太・尻細果の発生は少ない。果肉は、中位の厚みで、しまりがあり、歯切れ良く食味良好。 ■草姿 葉は角型の小葉で肉厚、葉柄が立ち、すっきりした草姿で受光態勢に優れる。また高温期でも主枝の節間は間伸びしづらい。 ■収量性 主枝の着果が適度で、肥大も安定しているので、初期から多収穫が望める。中後期も草勢が強く、側枝の回転も良いので、高い秀品率、収穫量となる。 ■栽培のポイント ・プロジェクトXは、高温期の定植を除き、3.5枚以上、4.5枚以内の苗が良い。2.5枚以下の若苗定植は栄養型になりやすいので水分過多にならないよう細心の注意を払う。 ・プロジェクトXは、栄養生長型過繁茂にすると品質・収量の低下を招くので摘葉を積極的に早め早めに行うことが必要。 ・プロジェクトXは、草勢の強い品種ですので、潅水や追肥を急がないこと。常に果実肥大を確認しながら行う。

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