病害耐性

PMMoV耐性のピーマン品種一覧 全32種類

PMMoV耐性ピーマン PMMoVとは PMMoV(Pepper mild mottle virus・トウガラシマイルドモットルウイルス)は、ピーマン・トウガラシ栽培において最も深刻なウイルス病の一つです。トバモウイルス属に分類されるRNA

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PMMoV耐性について

PMMoV耐性ピーマン

PMMoVとは

PMMoV(Pepper mild mottle virus・トウガラシマイルドモットルウイルス)は、ピーマン・トウガラシ栽培において最も深刻なウイルス病の一つです。トバモウイルス属に分類されるRNAウイルスで、感染すると葉にモザイク状の退色・凸凹が生じ、果実の着色不良・奇形・収量低下を引き起こします。症状が進んだ株では生育が著しく抑制され、出荷規格を満たす果実の割合(秀品率)が大幅に低下します。

感染経路として特に注意が必要なのは、農作業中の接触伝染です。感染株に触れた手や農具が媒介になることに加え、被覆資材・誘引資材を介した伝染も起きます。種子伝染の可能性も報告されており、汚染種子の使用が新たな圃場への持ち込みにつながるケースがあります。また、PMMoVは感染株の残渣や土壌中でも比較的長期間生存できるとされており、連作圃場では病原体密度が蓄積する傾向があります。

国内では施設ピーマン産地を中心に発生が確認されており、連作年数が増えるほど発生リスクが高まる構造的な問題となっています。

PMMoV耐性の区分——L遺伝子とレース対応

PMMoV耐性の核心は、ピーマン・トウガラシが持つ「L遺伝子」による抵抗性の仕組みにあります。L遺伝子には4つのアレル(対立遺伝子)があり、それぞれが対応できるウイルス株の範囲が異なります。

L1遺伝子を持つ品種は、ToMV(トマトモザイクウイルス)由来の株に対する抵抗性を持ちますが、PMMoVの各系統(P0、P1.2、P1.2.3等)には対応していません。

L2遺伝子ではToMV、TMVに対して抵抗性を示しますが、PMMoVの強毒系統には対応できません。

L3遺伝子を持つ品種は、P0(病原性の低い系統)を含むPMMoVの主要な系統(PMMoV-P0、P1.2(病原型1・2の両方に感染する系統)、P1.2.3(病原型1〜3のすべてに感染する系統))に抵抗性を持ちます。現在の国内産地でPMMoV対策として標準的に使われる抵抗性レベルです。公益財団法人園芸植物育種研究所のNRみおぎ・TSRさらら・みおぎ(L3)・TSRみおぎ(L3)・みおぎグリーン(L3)、同研究所のL3シグナル(カラーピーマン)などがこのレベルに対応した品種です。

L4遺伝子は現在知られている最も対応範囲が広い抵抗性で、PMMoV-P1.2.3.4と呼ばれる強毒系統にも対応します。公益財団法人園芸植物育種研究所のL4みおぎがこのレベルの品種です。

ここからが実際の栽培で差がつくところです。カタログに「PMMoV耐性」とある品種でも、L3対応なのかL4対応なのかでウイルス株への対応範囲が異なります。圃場でどのレース(系統)のPMMoVが発生しているかを地域の農業試験場や農協に確認したうえで、必要な抵抗性レベルの品種を選ぶことが重要です。

歴史と豆知識

トバモウイルス属ウイルスに対するピーマンの抵抗性育種は、L遺伝子の発見を契機に加速しました。PMMoVが国内の施設ピーマン産地で深刻な被害をもたらすようになったのは1980〜90年代以降とされており、それ以降、L遺伝子を導入した抵抗性品種の育成が国内の種苗メーカーおよび公的研究機関で積極的に進められてきました。

意外と知られていないのですが、PMMoVはウイルスの外被タンパク質が非常に安定しているため、乾燥状態でも長期間感染力を保持できる特性があります。このため、農具・農作業着・被覆資材などを介した伝染経路の管理が難しく、連作圃場での感染圧が下がりにくい一因となっています。

L遺伝子の利用については、当初はL1・L2レベルの品種が主流でしたが、圃場でのウイルスの変異が積み重なるにつれ、L3、さらにL4レベルへの要求が高まってきました。この「耐性の段階的な強化と病原体の変異の繰り返し」というサイクルが、PMMoV耐性育種の歴史を形作っています。

耐性の限界と注意点

L3・L4品種であっても、PMMoVを完全に防げるわけではありません。ウイルスには変異株が存在し、現在の品種が対応していない新たなレースが出現した場合、耐性の効果が低下するリスクがあります。

また、高い感染圧の条件下(多量の汚染残渣が残る連作圃場、灌水や農作業での接触伝染が繰り返される状況)では、抵抗性品種であっても発病が確認されることがあります。耐病性は「一定の感染圧まで発病を抑制する能力」であって、「どんな条件でも発病しない」ことを意味するわけではありません。

さらに、PMMoV耐性に特化した品種選びが、他の特性(着果性・食味・草勢バランス等)とのトレードオフになることもあります。産地によって事情が異なるので一概には言えませんが、L耐性レベルだけでなく、圃場の条件・市場ニーズ・収量目標を総合的に考慮した品種選定が求められます。

防除のポイント

PMMoV対策の基本は、耐性品種の利用を軸にした総合的病害虫管理(IPM)の考え方です。

作業衛生の徹底が第一の防除手段になります。入室前の手洗い・農具の消毒(70%アルコールまたは第三リン酸ナトリウム溶液等)を徹底し、感染株との接触による二次感染を遮断します。作業の順序も重要で、健全株の作業を先に行い、感染疑いのある株は後回しにします。

種子・育苗資材の管理も欠かせません。健全な種子の使用と、育苗施設の清潔な維持が、圃場への初発を防ぐ基本です。接ぎ木育苗を行う場合は台木・穂木ともにウイルスフリーであることを確認します。

発病株の早期発見と除去も有効です。PMMoVの症状(葉のモザイク・果実の奇形)を定期的に観察し、発症株は早期に圃場外へ持ち出して処分します。残渣をそのまま圃場に放置するとウイルス源が残り続けるため、適切な廃棄処理が必要です。

※農薬の使用にあたっては、必ず最新の農薬登録情報を確認し、ラベルの記載内容に従ってください。

現場の声

施設ピーマン産地では、連作年数が10年を超えると「どの品種を入れても以前よりウイルス症状が出やすくなった」と感じる生産者が増えています。このような圃場では、L4レベルの品種への切り替えと同時に、ほ場消毒・土壌改良・作業衛生の見直しを組み合わせて対応するケースが増えています。

一方で、L3対応品種を導入してウイルス被害が大幅に減少し、秀品率が向上した成功事例も多く報告されています。「品種を変えただけで収益が変わった」と感じている生産者もおり、PMMoV耐性品種の導入が経営改善のターニングポイントになることもあります。

ただし、耐性品種を導入した後も作業衛生を緩めると数シーズンで被害が再拡大するケースがあることも、現場での共通認識です。品種の耐性と管理技術はセットで考えることが、安定生産への近道です。

まとめ

PMMoVは施設ピーマン栽培における最重要ウイルス病の一つです。L遺伝子による抵抗性(L1〜L4)を持つ品種の選択が主要な対策手段ですが、圃場で発生しているウイルス系統の確認・L耐性レベルの把握が品種選定の精度を高めます。L3対応品種が現在の産地では標準的な選択肢ですが、感染圧が高い連作圃場ではL4対応品種の検討も選択肢になります。

抵抗性品種の利用だけでなく、作業衛生・育苗管理・発症株の早期除去を組み合わせた総合的な防除体系を構築することが、安定した収量と品質の確保につながります。

PMMoV耐性ピーマンが紐づく品種の一覧は、ミノリスの品種ページからご確認いただけます。

32品種 表示中
L3とんがりパワーMAX

L3とんがりパワーMAX

ナント種苗株式会社

とんがりパワーにL3抵抗性付与! 着果性・尻腐れ耐性が向上! トータル収量性も中型品種に負けません! 【特 徴】 ● PMMoV(P1,2)抵抗性(L3)の大型ピーマン。「とんがりパワー」より着果性・収量性が向上し、尻腐れの発生を抑えた 改良品種。 ● ジャンボで果肉は厚く甘みがあり、苦みやピーマン臭が少なく、極めて味が良い。 ● 果長15cm前後、果重100gからが収穫適期。収穫幅広く、小さい段階で収穫しても美味しい。 ● 果実は「とんがりパワー」よりやや細長く、果形が安定している。 ● 中型ピーマンより整枝・収穫作業にかかる時間が軽減される。 ● 種が少なく胎座部が果実上部にまとまるので調理しやすく、廃棄率も低い。 【栽培のポイント】 ● 着果性が向上しているため、着果が多過ぎると小型化してしまう。 ● 草勢が弱った場合の着果では、果実に凹みが生じるため、着果に耐えられる株作りと、草勢維持に努める。

L4京鈴

L4京鈴

タキイ種苗株式会社

農林水産省登録品種(品種名:TL4-027)※海外持出禁止(公示(農水省HP)参照)(野菜茶業研究所との共同育成) PMMoV-L4型耐病性! 秀品率が高く着果良好! ■耐病性 TMV、 ToMV、 PMMoV-L4 ■特長 ・PMMoV-L4型耐病性のハウス・夏秋用中型種。 ・果色は濃緑で変形果が少なく、秀品率が高い。 ・果実の大きさは30g程度。果肉は厚めで食味と日もち性にすぐれる。 ・草勢は中強。草姿は中開張性で、枝伸びは中程度。 ・低温・少日照条件でも安定して着果するので、ハウスから夏秋栽培まで幅広い作型に適する。 ■栽培の要点 ・本種はPMMoV-L3打破ウイルス汚染圃場でのみ使用し、前作の植物残さの処分に努め、ウイルス密度を下げてから栽培を行う。 ・定植直後は草勢が強めで生育するが、着果が進むにつれ草勢がおとなしくなりやすい傾向があるので、適宜早めに追肥を行う。

TSRみおぎ(L3)

TSRみおぎ(L3)

公益財団法人園芸植物育種研究所

TSWV抵抗性。(独)中央農業総合研究センターとの共同研究にて育成 ・トマト黄化えそウイルス(TSWV) に対して抵抗性(Tsw)があります。 ・トウガラシ微斑ウイルス(PMMoV(P1.2))に対して抵抗性(L3)があります。 ・「みおぎ」と比べて初期から着果数が多く草勢の維持が必要です。 ・1果重は30~40gで、「みおぎ」に比べやや小さめで、そろいの良い果実です。 ■【導入上の注意点】 「TSRみおぎ」の抵抗性を侵すTSWV が発生しています ・「TSRみおぎ」を導入する場合は、指導機関で現在発生しているウイルスを検査してください。「TSRみおぎ」で抵抗性が発揮できるウイルスであることを確認してから導入してください。 ・紫外線カットフイルムの展張やアザミウマ防除などを行ってください。 ・高温時は抵抗性が弱ります。ハウスの換気に注意して温度上昇を抑えてください。 ・感染源となるハウス周辺の除草を徹底してください。 ・抵抗性品種利用の必要性や有用性の調査,導入後の経過観察など,現地試験場や普及センター、JA等との連携が必要になります。詳しくはお問い合わせください。 ・ウイルス感染の疑わしい株が発生した場合は、すぐに抜き取って検査に出してください。あわせて、アザミウマの確認と防除を徹底してください。

はばたき3号

はばたき3号

横浜植木株式会社

樹勢はバテにくく、多収性!果実は濃緑で、差別化販売も可能! ■特性 ・PMMoV-L3型に対して抵抗性がある。 ・葉色濃く、やや小葉、節間はやや短く草姿は中ぐらい。 ・成り込み型で小苗、多肥で樹を追い込むタイプ。 ・果実は肥大が良く光沢がある。 ・しわは多少あるが尻止まりが良い。 ・花抜けが良くスリップスなどの被害が出にくい。 ・赤の発色が綺麗なので完熟させて赤ピーマンとしても出荷可能。

みおぎグリーン(L3)

みおぎグリーン(L3)

公益財団法人園芸植物育種研究所

PMMoV(P1.2)抵抗性 ・果形の乱れは少なく、果色は濃くてつやがあり、果実形質が安定しています。 ・1果重が30g~40gの収穫に適し、「みおぎ」と比べてやや小さめでそろいのよい果実です。 ・トウガラシ微斑ウイルス(PMMoV(P1.2))に抵抗性(L3)があります。 ・促成長期栽培から夏秋栽培まで、幅広い作型に適応します。

みはた2号

みはた2号

公益財団法人園芸植物育種研究所

PMMoV(P1.2)抵抗性 ・小葉でやや短節間となり、細長果や尻とがり果は少ないです。 ・収穫の回転がよく、収量の個人差が少ないです。 ・トウガラシ微斑ウイルス(PMMoV(P1.2))に対して抵抗性(L3)があります。 ・促成栽培に適し、雨よけ栽培にも適します。

エース

エース

タキイ種苗株式会社

長めの中獅子型ピーマン! 初期から多収! ■耐病性 TMV、 ToMV ■特長 ・極早生でやや長めの中獅子型。 ・果重は40g程度で、果皮につやがあり品質良好。 ・草丈はやや低いが、スタミナがあり、初期から収量が多い。 ・節間はやや短めで、密植栽培も可能。 ・ハウス半促成栽培や、トンネル早熟栽培などの早出しに適する。 ■栽培の要点 ・定植は1番花開花直前の苗を基本とする。 ・ふところ枝や徒長枝を間引いて、株全体への採光と通風をよくする。 ・草勢の維持と、尻腐れ果などの生理障害防止のために高温乾燥期には十分に潅水する。

グッピー

グッピー

横浜植木株式会社

青枯れ病に強い!多収性のピーマン。 ■特性 ・青枯れ病に強く、汚染圃においても罹病の心配が少ない。 ・葉はやや大きく草勢強い、PMMoV-L3抵抗性を持ち作り易い。夏秋栽培、越冬栽培共に栽培が可能です。 ・高温期などに発生しやすい尻腐れ ・焼け果の発生が極めて少ない。 ・低温期 ・高温期でも着果良く、着果後の肥大 ・花抜けが良い。 ・果実はややタテシワは多いが尻止まり良くオーム果の発生少ない。 ・果皮色は濃緑色で色むらの発生少なくツヤ良い。 ・成熟期に成ってもヒビワレ少なく、赤ピーマンとしても出荷可能。 ■栽培のポイント ・第一分枝が確認できる頃定植する。第一分枝の花は早期に除去する。 ・潅水は、一日に給水する分を毎朝行う。(雨降りは除く)肥料切れにならないように着果確認後生育を見ながら追肥する。 ・過着果になった時には、ウドンコ病に注意し予防を早めに行う。天敵利用の場合は、殺菌剤を定期的に散布する事を忘れないように。

プリティーイエローピーマン

プリティーイエローピーマン

宝種苗株式会社

小型の長型黄パプリカ。肉厚で糖度高い。 ●小型(120g前後)の少し長形の黄ピーマン。 ●果肉は厚く、糖度6~8度で甘く食味良い。 ●耐病性はPMMOV L3耐病性、疫病にも強い。 ●熟期は極早生で、草姿はおとなしく、節間短い。 ●着果が安定して初期から後期まで収量が多い。

京波

京波

タキイ種苗株式会社

夏秋栽培用で黒アザ果が少ない中型種! ■耐病性 TMV、 ToMV、 B ■特長 ・果重は30g程度で、尻のまとまりとそろいがよい夏秋用中型ピーマン。 ・果実はつやがあり、黒アザ果はほとんど発生しない。 ・肉厚で、乾燥期の尻腐れに強い。 ・草勢が比較的強く、分枝力が旺盛で多収。 ・低温伸長性と耐暑性があり、青枯病にも比較的強い。 ■栽培の要点 ・定植は1番花開花直前の苗を基本とする。 ・ふところ枝や徒長枝を間引いて、株全体への採光と通風をよくする。 ・草勢の維持と、尻腐れ果などの生理障害防止のために高温乾燥期には十分に潅水する。

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