病害耐性

半身萎凋病耐性のミニトマト品種一覧 全27種類

半身萎凋病とは 半身萎凋病は、糸状菌のVerticillium dahliae(バーティシリウム・ダーリエ菌)が引き起こす土壌伝染性病害です。名称が似ているため萎凋病(Fusarium oxysporum f. sp. lycopersic

半身萎凋病耐性について

半身萎凋病は、糸状菌のVerticillium dahliae(バーティシリウム・ダーリエ菌)が引き起こす土壌伝染性病害です。名称が似ているため萎凋病(Fusarium oxysporum f. sp. lycopersiciによる)と混同されることがありますが、病原菌はまったく異なり、別の病害として扱う必要があります。

半身萎凋病の特徴的な症状は、その名の通り株の片側(半身)だけが萎凋する「半身性の萎れ」です。株の一方の側の葉が先にしおれ・黄化し、もう一方の側はしばらく正常を保ちます。これはVerticillium菌が道管内で部分的に増殖するためで、全体が均一に枯れる萎凋病とは症状の現れ方が異なります。

茎を縦断すると、道管部が褐変しているのが確認できる点は萎凋病と共通していますが、変色の範囲や程度が異なることが多く、正確な診断には農業普及指導センター等での専門的な判断が有効です。

感染は根の傷口や細根から始まり、道管を通じて植物体内に侵入します。Verticillium dahliaeは比較的低温(15〜25℃前後)で活発に増殖する特性があり、春先の定植後や秋の気温が下がる時期に症状が顕在化することが多い傾向があります。ミニトマトの施設長期栽培では、作型によっては発病しやすい気温条件と重なる時期が生じることがあります。

半身萎凋病耐病性の区分

種苗メーカーのカタログでは、半身萎凋病への耐病性(または抵抗性)は「Va」または「Vd」の略号で表記されるのが国際的な慣行です。

  • Va: Verticillium albo-atrumへの耐病性
  • Vd: Verticillium dahliaeへの耐病性

日本のトマト産地で主に問題となっているのはVerticillium dahliae(Vd)です。カタログで「半身萎凋病耐病性」と記載されている場合は、Vdへの対応を確認することが重要です。

品種選びで見落としがちなのが、萎凋病の耐病性(Fol)と半身萎凋病の耐病性(Vd)が別々の記号で記載されているという点です。「萎凋病に強い品種を選んだ」と思っていても、半身萎凋病への耐病性は別途確認しなければなりません。ミニトマトの施設長期栽培では複数の土壌病害が同時に問題になるケースがあるため、複合耐病性を持つ品種を選ぶことで管理の手間を減らすことができます。

HR(高度耐病性)とIR(中程度耐病性)の区分は萎凋病と同様の考え方が適用されます。品種によって耐病性の程度に差があるため、耐病性レベルをカタログで確認することが品種選びの精度を高めます。

半身萎凋病の発生状況と経緯

半身萎凋病は日本各地の施設トマト産地で発生が確認されており、特に連作が行われる施設圃場での被害が問題になっています。Verticillium dahliaeは厚膜胞子(微小菌核)を形成して土壌中で長期間生存することができ、一度圃場に定着すると根絶が難しい病害です。

ここからが実際の栽培で差がつくところです。半身萎凋病が萎凋病と異なる点として、比較的低温(15〜25℃)を好む特性があります。このため、夏季高温期には症状が目立たなくても、秋作や春先の定植初期に突然症状が現れるケースがあります。「前作は問題なかったのに今作は株が枯れていく」という状況の背景に、半身萎凋病が潜んでいることがあります。

意外と知られていないのですが、Verticillium dahliaeはトマト以外にもナス、ジャガイモ、ピーマン、イチゴ、綿など非常に広い宿主範囲を持ちます。ミニトマト栽培後に他のナス科作物を連作すると、土壌中の菌密度が下がらないケースがあるため、輪作の組み合わせには注意が必要です。

耐病性の限界と注意点

半身萎凋病耐病性品種を導入する際には、いくつかの注意点を理解しておく必要があります。

まず重要なのは、半身萎凋病(Verticillium dahliae)と萎凋病(Fusarium oxysporum f. sp. lycopersici)と根腐萎凋病(Fusarium oxysporum f. sp. radicis-lycopersici)は、それぞれ異なる病原菌による別の病害だという点です。萎凋病に対するHR品種であっても、半身萎凋病には感受性を持つ場合があります。ミニトマトの施設栽培では複合感染が起きることもあるため、複数の耐病性を持つ品種を選択するか、各病害への耐病性を個別に確認することが重要です。

次に、菌密度が高い圃場では耐病性品種であっても完全に発病を防げないことがあります。特に長年連作が続いた施設圃場では、土壌くん蒸との組み合わせが有効です。

産地によって事情が異なるので一概には言えませんが、どの病害が圃場で問題になっているかを農業普及指導センター等に相談しながら品種を選ぶことが、確実な対策につながります。圃場での症状を丁寧に観察し、必要に応じて病原菌の同定を行うことで、より精度の高い品種選定が可能になります。

防除のポイント

半身萎凋病の防除には、耐病性品種の利用を軸に、耕種的防除・化学的防除・土壌管理を組み合わせた総合的な取り組みが必要です。

耕種的防除:

  • 輪作の設計: Verticillium dahliaeは幅広い宿主を持つため、輪作する作物の選択には注意が必要です。イネ科作物(水稲、コーンなど)との組み合わせが効果的とされています。ナス科作物同士の連作は避けることが基本です
  • 接ぎ木栽培: 半身萎凋病に強い台木を選択することで、品種の耐病性をさらに補強できます。台木にも半身萎凋病耐病性(Vd)があるかをカタログで確認した上で選択することが重要です
  • 定植時期と気温の管理: 発病しやすい低温期の前後に定植が集中する場合は、より注意が必要です。ミニトマトの促成栽培では定植が秋口になることも多いため、この時期の地温管理が重要です
  • 根域の管理: 細根への傷がない健全な苗の定植、適切な灌水管理により根への菌の侵入機会を減らすことが有効です

化学的防除:

  • 定植前の土壌くん蒸処理(クロルピクリン等)による菌密度の低下
  • 定植時・生育中の適切な薬剤利用(登録農薬を確認の上で使用)

※農薬の使用にあたっては、必ず最新の農薬登録情報を確認し、ラベルの記載内容に従ってください。

現場の声

半身萎凋病はしばしば萎凋病と混同されるため、「萎凋病の耐病性品種を入れたのに株が枯れた」という声が産地から聞こえることがあります。そのような場合、実際には半身萎凋病や根腐萎凋病が原因であったというケースが少なくありません。

施設ミニトマト産地での取り組みとして、複数の土壌病害への耐病性をまとめて確認できる品種(萎凋病・半身萎凋病・根腐萎凋病の3つすべてに対応している品種)を選択する傾向が強まっています。カタログ上で各病害の耐病性略号を一つひとつ確認する習慣が、現場での品種選びの質を高めています。

また、ミニトマト産地では土壌診断の活用も進んでいます。病害の発生原因を特定するために土壌検診を依頼し、どの病原菌が優勢かを把握した上で品種選択や土壌くん蒸の計画を立てる産地が増えています。耐病性品種の効果を最大化するためには、このような現場での診断と連携した取り組みが有効です。

まとめ

半身萎凋病はVerticillium dahliaeが引き起こす土壌伝染性病害で、萎凋病(Fusarium菌)とは病原菌が異なるまったく別の病害です。株の片側から萎れが始まる「半身性」の症状が特徴で、比較的低温(15〜25℃)で活発に発生します。

品種選びの際は、萎凋病の耐病性(Fol)と半身萎凋病の耐病性(Vd)を区別してカタログを確認することが重要です。二つの病害への耐病性は別々に記載されているため、一方があっても他方の対策が十分でないケースがあります。ミニトマトの施設長期栽培では、複合耐病性を持つ品種の選択が管理の効率化につながります。輪作・接ぎ木・土壌くん蒸との組み合わせで総合的な防除体系を整えることが、安定したミニトマト生産の基盤となります。

半身萎凋病耐病性を持つミニトマト品種の詳細については、ミニトマトの品種一覧からご確認ください。

27品種 表示中
チョコラ・ベル

チョコラ・ベル

山陽種苗株式会社

甘味・食感のバランスに優れたブラウン系プラム型のミニトマト 特性 ⃝甘味・食感のバランスに優れたブラウン系プラム型のミニトマト。 ⃝果重15~20gで果皮は薄く、適度な酸味で甘味の強く、食味抜群。 ⃝草勢はやや強く、露地栽培でも栽培しやすく、収量性も良い。 ⃝酸味と糖度は安定し、ミニトマトにはないコクがある。肉質良く食味抜群。 ⃝ToMV(Tm-2a)、半身萎凋病、葉かび病抵抗性(CF9)、青枯れ病耐性。 栽培のポイント ⃝低温期での育苗は障害果発生防止の為、必ず温床育苗を行う。 ⃝極端な水切りを行うと果実が小さくなるので注意する。 ⃝本品種は複合耐病性であるが、過信せず適切に防除を行なう。 ⃝草勢の低下は収量の減少につながるので、後半まで草勢を弱めないように心掛ける。 ⃝本品種は十分に着色させ濃い色になってから収穫をし、糖度をのせるよう心掛ける。

ベロニカ

ベロニカ

株式会社サカタのタネ

実付きがよく高糖度 ■特長 ●根腐萎凋病、半身萎凋病、ToMV(Tm-2a型)、斑点病に抵抗性で、萎 凋病(F:R-1,2)に耐病性、ネマトーダに耐虫性がある。 ●高糖度で肉質よく、食味が優れる。 ●下段から花数が適度で摘果は不要。花房が安定し、着果性がよい。

プレミアムルビー

プレミアムルビー

カネコ種苗株式会社

色ツヤ・食味抜群! 食べ応えのあるプレミアムなミニトマト! 直売、家庭菜園にも最適! 斑点病・葉かび病に強い! ■特性 ●果色は鮮赤色で特徴的な光沢があり、裂果が少なく、平均果重15~20g位によくそろいます。 ●低段花房はシングル性が強いですが、中段以降は複花房も発生します。 ●食味は酸味と甘さのバランスが良く、従来のミニトマトとは一味違った美味しさがあります。果肉がしっかりしているため食べ応えのあるプレミアムなミニトマトです。 ●果実品質や栽培の容易さから家庭菜園や直売所向けの栽培にも好適です。 ●斑点病、葉かび病(Cf-9)耐病性を有し、ToMV(Tm-2ª)、半身萎凋病、サツマイモネコブセンチュウに対して安定した複合耐病虫性を示します。 ■栽培要点 ●草勢過多や極端な高温は乱形果の発生原因となります。 窒素系肥料の過剰投入を避け、高温時には葉を繁茂させるなど遮光対策に留意します。 ●適応作型は、ハウス無加温作型、ハウス雨除け作型に最適で、抑制作型にも利用可能です。

アリーチェ

アリーチェ

住化農業資材株式会社

安定着果し、揃いの良い高収量ミニトマト 安定着果で花房内の果実の揃いも良好な良食味ミニトマトです。 ■品種特性 ・果重は15g前後で、花房当たりの着果数も多く、収量性がよい ・糖度が高く良食味 ・黄化葉巻病(イスラエル系、イスラエルマイルド系)、斑点病、葉かび病(Cf9)、トマトモザイクウイルス病(Tm-2a)、萎凋病(レース1,2)、半身萎凋病、ネコブセンチュウに対し病虫害耐病性を持つ

タントレッタ

タントレッタ

住化農業資材株式会社

優れた収量性でミニトマト不足に困らない! 果実肥大に優れ、花房当たりの着果数も多いため収量性に非常に優れるミニトマトです。 ■品種特性 ・果重は15~20gで、低段からダブル果房となり鈴なりに着果する ・糖度が高く、良食味 ・草勢は中程度だがスタミナがあり、長期どり栽培に適する ・トマトモザイクウイルス病(Tm-2a)、葉かび病(Cf9)、萎凋病(レース1,2)、根腐萎凋病、半身萎凋病、ネコブセンチュウに対し病虫害耐病性を持つ

カンパリ

カンパリ

山陽種苗株式会社

房どりもでき、日持ちも良い中玉トマト 果実の揃い抜群!! 特性 ⃝果重45~50gの球形のミディートマト ⃝食味と玉揃いに優れ、個獲りも房獲りもできる。 ⃝玉揃い抜群で、日持ちに優れる。 ⃝TMV(Tm-2)、萎ちょう病、半身萎ちょう病に耐病性を持つ。 栽培のポイント ⃝草姿をやや抑え、過繁茂にならないように注意する。 ⃝ハウス栽培の場合は多湿にならないように注意する。

ランゼ

ランゼ

朝日アグリア株式会社

おいしい&多収のTY耐病性品種 黄化葉巻病耐病性で高収量・良食味の新品種 【特 徴】 ○ 黄化葉巻病の他に、斑点病、葉かび病(Cf-9)、萎ちょう病レース1・2、半身萎ちょう病レース1、根腐萎凋病、タバコモザイクウイルス(Tm-2a型)、ネコブセンチュウに耐病・耐虫性を持つ。 ○ 異常茎が発生しづらく栽培管理が容易。 ○ 草勢は中程度。採光性が良く、肥大しやすい。 ○ 花数は1果房あたり20~50。着果は良い。 ○ 果実は14-20gとML中心で色艶が良い。 ○ 耐裂果性に優れ、秀品率が高い。 ○ 糖度が8-10と高く、食味良好。果皮の口残りも少ない。 ○ 果房は長く、3段目以降から複果房が多い。 【栽培のポイント】 〇 青枯病、褐色根腐れ病発生圃場では台木をご利用下さい。 〇 トマト黄化葉巻病に耐病性がありますが、コナジラミの防除は必ず行って下さい。 ●異常茎が発生しづらいので、初期から草勢を強くした管理が可能です。節間は中程度なので、作業遅れがないようにする。 ●グリーンベースはあるので、暑い時期は葉で果実を覆うように草勢維持に努める。 ●複果房は3段目開花以降で増えてくる。着果負担も増えてくるので、草勢を見ながらやや早め・強めに追肥管理を行う。 ●着果も良いが、酷暑下、低段花房ではホルモン処理により着果を促す。

サマーソニック(BSM517)

サマーソニック(BSM517)

住化農業資材株式会社

ベルグアース㈱×住化農業資材㈱の夏秋向けミニトマト! ベルグアース株式会社と共同開発した耐暑性に優れる夏秋ミニトマトです。 ■品種特性 ・軟果や裂果などの高温障害に強い ・草勢は強めで安定しており、異常茎等になりづらく栽培しやすい ・果実は15~20g程度でやや大きめ ・黄化葉巻病、斑点病、葉かび病(Cf9)、萎凋病(レース1,2)、半身萎凋病、トマトモザイクウイルス(Tm-2a)、ネコブセンチュウ類に対して耐病性

レッドチェリー

レッドチェリー

山陽種苗株式会社

サクランボのようなツヤ‼ 甘くてかわいいミニトマト 特性 ⃝果色のツヤが抜群の鮮赤色の丸玉のミニトマト。 ⃝果重15~20gで果皮は薄く、高温期でも糖度は安定し、食味は抜群。 ⃝草勢管理がしやすく、露地栽培でも空洞果や裂果などの障害果の発生が少ない。 ⃝ToMV(Tm-2a)、葉かび病抵抗性(CF9)・萎凋病(R1・2)抵抗性・半身萎凋病・根腐萎凋病・ネコブセンチュウ抵抗性。 栽培のポイント ⃝低温期での育苗は障害果発生防止の為、必ず温床育苗を行う。 ⃝極端な水切りを行うと果実が小さくなるので注意する。 ⃝草勢の低下は収量の減少につながるので、後半まで草勢を弱めないように心掛ける。 ⃝早どりは行わず、十分に着色させ、糖度をのせてから収穫を行う。

TYジュエルアイボリートマト

TYジュエルアイボリートマト

中原採種場株式会社

高糖度、食感が良いプラム型のミニトマト!! 特性 ●トマト黄化葉巻病(Ty-2)に対し耐病性のほか、トマトモザイク(Tm-2a)、葉かび病(Cf9)、半身萎凋病(V2)にも耐病性を示す。やや丸みを帯びたプラム型のミニトマト。●吸肥力が高く、生育旺盛。1花房に20果以上着果する多収型。●下段より多く着果し、果重18~20g程度のサイズで、揃いが良い。●果皮はテリのあるアイボリーで、果肉は硬めで弾力があり、裂果が少ない。●糖度は9~10度と高く、歯切れの良い食感。

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