ウイルス病耐性ハクサイの品種一覧

タグ名: ウイルス病耐性ハクサイ

病害耐性 • 36品種で使用中

ウイルス病耐性について

ウイルス病耐性ハクサイ

ウイルス病とは

ハクサイにおけるウイルス病は、主にカブモザイクウイルス(TuMV: Turnip mosaic virus)によって引き起こされる病害です。TuMVはアブラナ科野菜の最も重要なウイルス病の一つであり、ハクサイ、カブ、ダイコン、キャベツなど広範な作物に被害を及ぼします。

主な症状としては、葉にモザイク状の濃淡斑が現れ、葉の縮れや変形、生育の抑制が起こります。感染時期が早いほど被害が深刻で、苗期や定植直後に感染すると結球不良や奇形球を引き起こし、収穫が困難になることもあります。生育後期の感染では被害が比較的軽微にとどまることがありますが、結球内部にモザイク症状が及ぶと商品価値の低下は避けられません。

TuMVの主な伝染経路はアブラムシ類(モモアカアブラムシ、ニセダイコンアブラムシなど)による媒介です。TuMVは非永続伝搬型のウイルスであり、アブラムシが感染植物を短時間吸汁するだけで獲得・伝搬されます。この非永続伝搬という特性が、防除を難しくしている要因の一つです。アブラムシが殺虫剤で死ぬ前にウイルスを伝搬してしまうため、殺虫剤だけではウイルスの伝搬を完全には防げません。

ウイルス病は高温・乾燥条件でアブラムシの発生が多い時期に感染リスクが高まります。特に秋まきハクサイでは、播種・定植時期に残暑が続きアブラムシが活発に活動する年に、被害が大きくなる傾向があります。

ウイルス病耐性の区分

ハクサイにおけるウイルス病(主にTuMV)耐性は、品種によって程度が異なります。種苗メーカーのカタログでは「ウイルス病に強い」「TuMV耐病性」などの表記で示されますが、その耐性レベルは品種によってさまざまです。

TuMVにはレース(系統)が存在することが知られており、国内では複数のレースが報告されています。耐病性品種の多くは特定のレースに対する抵抗性遺伝子を持っていますが、すべてのレースに対して有効というわけではありません。カタログの耐病性表記を確認する際は、どのレースに対する耐性かが明記されているかどうかを確認することが重要です。

品種選びで見落としがちなのが、耐病性の「程度」の違いです。ウイルスの感染自体を防ぐ品種もあれば、感染はしても発病を抑制する(症状が出にくい)品種もあります。前者は「免疫」に近い反応、後者は「耐病性」として区分されることがありますが、実用上はどちらも「ウイルス病に強い」と表記されることが多いため、詳細な品種情報を確認しておくことが望ましいです。

耐病性の仕組みとしては、ウイルスの増殖や移行を制限する抵抗性遺伝子の存在が関与しています。ハクサイでは、TuMVに対する抵抗性遺伝子がいくつか同定されており、これらを導入した品種が育成されています。

歴史と豆知識

ハクサイのウイルス病(TuMV)は、日本国内では古くから知られた病害です。特に、秋まきハクサイの主要な病害として、産地では長年にわたって対策が求められてきました。

ハクサイの品種改良において、ウイルス病耐性が育種目標として重視されるようになったのは、昭和後期から平成にかけてのことです。それ以前は、結球性や耐寒性、根こぶ病耐性が主な育種目標であり、ウイルス病対策は主にアブラムシ防除に頼っていました。しかし、非永続伝搬型であるTuMVをアブラムシ防除だけで制御することの限界が認識されるにつれ、耐病性品種の育成が積極的に進められるようになりました。

意外と知られていないのですが、TuMVはハクサイだけでなくアブラナ科の雑草にも感染するため、圃場周辺の雑草がウイルスの「リザーバー(保存源)」として機能することがあります。圃場をきれいに管理していても、周辺のアブラナ科雑草からアブラムシを介してウイルスが持ち込まれるケースがあるため、圃場周辺の環境管理も重要な防除策の一つです。

また、TuMVは種子伝染しないとされていますが、感染した植物体からの汁液接触によっても伝染するため、育苗作業時に感染株に触れた手や器具を介して広がるリスクがあります。育苗ハウス内での衛生管理も予防策として欠かせません。

ウイルス病耐性の限界と注意点

ウイルス病耐性品種を導入しても、万全の対策とはなりません。以下の注意点を理解しておく必要があります。

レースの変異による耐性崩壊のリスクが最も重要な課題です。TuMVは変異速度が比較的速いウイルスであり、既存の耐性品種に対応した新しいレースが出現する可能性があります。特定の耐性品種が広域で普及すると、その耐性を打ち破るレースの選抜圧が高まるため、長期的な視点でのリスク管理が必要です。

複合感染のリスクも考慮が必要です。TuMV以外にも、ハクサイに感染するウイルス(キュウリモザイクウイルス: CMVなど)が存在します。TuMVへの耐性を持つ品種であっても、他のウイルスに対しては感受性である場合があるため、ウイルス病全般に対する防除を怠ることはできません。

環境条件との関係では、アブラムシの発生密度が極端に高い年(残暑が長い年など)には、耐病性品種であっても感染圧に押されて発病するケースが報告されています。耐病性品種の利用とアブラムシ対策を組み合わせた総合防除が基本です。

防除のポイント

ウイルス病の防除は、耐病性品種の利用を軸に、媒介虫(アブラムシ)対策と耕種的防除を組み合わせて行います。

アブラムシ対策が最も重要な防除手段です。TuMVは非永続伝搬型であるため、アブラムシが圃場に飛来するタイミングでの感染を防ぐことが鍵になります。具体的には、定植直後からの防虫ネット(目合い0.6mm以下)の設置、シルバーマルチによるアブラムシの飛来抑制、粘着トラップによる発生モニタリングなどが有効です。

ここからが実際の栽培で差がつくところです。非永続伝搬型ウイルスに対しては、殺虫剤だけではウイルスの伝搬を完全に防げないことを理解しておく必要があります。アブラムシが殺虫剤で死ぬまでの短い時間にウイルスを伝搬してしまうため、「飛来させない」物理的な防除との組み合わせが重要です。

耕種的防除としては、周辺のアブラナ科雑草の除去、感染株の早期抜き取り(二次感染源の除去)、育苗時の衛生管理が基本になります。また、播種時期の調整により、アブラムシの発生ピークを避ける作型の工夫も有効な手段です。

化学的防除については、アブラムシの発生初期に登録のある殺虫剤を散布することで、媒介虫の密度を下げることが感染リスクの低減につながります。ただし、前述のとおり殺虫剤だけでは伝搬を完全に防げないため、あくまで総合防除の一要素として位置づけることが重要です。

※農薬の使用にあたっては、必ず最新の農薬登録情報を確認し、ラベルの記載内容に従ってください。

現場の声

ハクサイ産地では、ウイルス病対策として耐病性品種の導入が進んでいます。

秋どりハクサイの主要産地では、耐病性品種への切り替えにより、ウイルス病の発生が大幅に減少したという報告があります。特に、アブラムシの飛来が多い年でも被害が軽減されたことで、安定した出荷が可能になった事例が複数報告されています。

一方で、耐病性品種の導入と併せて防虫ネットの設置を徹底した産地では、耐病性品種単独の導入よりもさらに安定した成果が得られたとされています。物理的防除と品種耐性の組み合わせが相乗効果を発揮した好事例です。

産地によって事情が異なるので一概には言えませんが、「耐病性品種を入れたから安心」とアブラムシ対策を緩めると、ウイルス病以外の害虫被害(アブラムシによる吸汁害、すす病など)が表面化するケースも報告されています。耐病性品種の導入を機に、圃場全体の害虫管理を見直すことが大切です。

まとめ

ウイルス病(主にTuMV)は、アブラムシが媒介するハクサイの重要病害であり、モザイク症状や結球不良による収量・品質の低下を引き起こします。非永続伝搬型ウイルスであるため、殺虫剤だけでは伝搬を完全に防げないことが防除を難しくしている要因です。

耐病性品種の導入は有効な対策の一つですが、レースの違いや複合感染の可能性にも留意が必要です。品種選びにあたっては、耐病性の表記内容(対応レースなど)を確認するとともに、防虫ネットの設置やアブラムシ防除、圃場周辺の雑草管理を組み合わせた総合的な対策を講じることで、安定したハクサイ生産につなげることができます。

タグ情報

基本情報

タグ名
ウイルス病耐性ハクサイ
種別
病害耐性

使用状況

関連品種数
36品種
関連作物数
1作物
関連メーカー数
13社

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統計情報

36
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1
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13
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