病害耐性

根腐萎凋病耐性の中玉トマト品種一覧 全9種類

根腐萎凋病とは 根腐萎凋病は、糸状菌のFusarium oxysporum f. sp. radicislycopersici(略号: J3)によって引き起こされる土壌伝染性病害です。名称が似た「萎凋病(Fusarium wilt)」「半身

根腐萎凋病耐性について

根腐萎凋病は、糸状菌のFusarium oxysporum f. sp. radicis-lycopersici(略号: J3)によって引き起こされる土壌伝染性病害です。名称が似た「萎凋病(Fusarium wilt)」「半身萎凋病(Verticillium wilt)」とは病原菌が異なる、別の病害であることをまず押さえておきましょう。

  • 萎凋病: Fusarium oxysporum f. sp. lycopersici(Fol、レース1・2)
  • 根腐萎凋病: Fusarium oxysporum f. sp. radicis-lycopersici(J3)
  • 半身萎凋病: Verticillium dahliae(Vd)

根腐萎凋病の感染は根と茎の地際部から始まります。茎の地際部が褐変・腐敗し、根が腐敗するのが主な症状です。初期には株の一部がしおれ始め、進行すると株全体が萎凋・枯死します。萎凋病では道管部の変色が主体であるのに対し、根腐萎凋病では根と茎の地際部の腐敗が顕著で、これが「根腐れ」という呼称の由来です。

国内では1980年代以降、施設トマトの連作が一般化するとともに土壌中の菌密度が蓄積し、根腐萎凋病による被害が産地で問題視されるようになりました。「萎凋病耐病性品種を使っているのに発病する」という現象として報告されたことが多く、現在でも新たに問題化する圃場があります。

根腐萎凋病耐病性の区分

根腐萎凋病(J3)への耐病性は、カタログ上では「J3」「Frl」または「FORL」の略号で表記されます。萎凋病の「Fol(または F)」とは別の略号であることに注意が必要です。

品種選びで見落としがちなのが、この根腐萎凋病への耐病性の有無です。萎凋病への耐病性(Fol)は確認しても、根腐萎凋病(J3)まで確認しないケースが見られます。両病害は異なる病原菌によるものですが、カタログの耐病性表示は並列に記載されているため、一行ずつ確認する習慣が求められます。

HR(高度耐病性)・IR(中程度耐病性)の区分

HR(高度耐病性) の品種は通常の病原体密度の条件下では発病を高度に制限しますが、極端に菌密度が高い圃場や他のストレスが重なる状況では発病する可能性があります。IR(中程度耐病性) の品種は感受性品種と比べて発病を抑制しますが、HRほどの効果はありません。

中玉トマトのカタログを確認すると、タキイ種苗(TYフルティカSCなど)や中原採種場(シンディースイートなど)の主要メーカーが根腐萎凋病(J3)への耐病性を品種特性として掲載しています。例えば、タキイ種苗の中玉品種には「根腐萎凋病(J3)に複合耐病性をもつ」と明記されているものがあります。

根腐萎凋病が問題化した背景

意外と知られていないのですが、根腐萎凋病は当初「萎凋病耐病性品種で防げるはず」と認識されていたにもかかわらず被害が続くという形で産地から報告が相次ぎ、その後の研究で萎凋病とは別の病原菌(f. sp. radicis-lycopersici)であることが明らかになりました。

この経緯を受けて、複数の萎凋病系病害(萎凋病・根腐萎凋病・半身萎凋病)に加えてトマトモザイクウイルス(ToMV)・葉かび病・斑点病耐病性・ネコブセンチュウなど多くの病害虫への耐病性を一品種に集約した「複合耐病性品種」の開発が施設トマト育種の重要な方向性となっています。

中玉トマトにおいても、この傾向は同様です。中玉専用の高品質品種に根腐萎凋病耐病性が組み込まれた品種が各社から登場しており、選択肢は着実に広がっています。

耐病性の限界と注意点

根腐萎凋病耐病性品種の導入に際しては、以下の点を理解しておくことが重要です。

菌密度が高い圃場でのリスク

土壌中の菌密度が極めて高い圃場では、耐病性品種であっても発病する可能性があります。長年連作が続いた圃場や、過去に根腐萎凋病の被害が深刻だった圃場では、耐病性品種だけに頼らず土壌くん蒸との組み合わせを検討することが有効です。

萎凋病(Fol)との独立性

根腐萎凋病(J3)への耐病性と萎凋病(Fol)への耐病性は独立しており、一方への耐病性があっても他方は別途対策が必要です。産地によって事情が異なるので一概には言えませんが、両病害が混在する圃場では両方への耐病性を持つ品種を選択することが望ましいです。

過湿条件下での感染リスク

灌水過多による地際部の過湿は根腐萎凋病の感染リスクを高めます。耐病性品種であっても、極端な過湿条件下では発病リスクが上昇します。品種の耐病性に加えて、栽培環境の管理が防除の基本です。

防除のポイント

根腐萎凋病の防除は、耐病性品種の利用を基本としながら、土壌管理と耕種的対策を組み合わせることが重要です。

ここからが実際の栽培で差がつくところです。根腐萎凋病は感染が根と茎の地際部から始まるため、地際部の環境管理が防除上のポイントになります。

耕種的防除

  • 接ぎ木栽培: 根腐萎凋病耐病性を持つ台木への接ぎ木は有効な防除手段です。台木カタログで「J3」への対応を確認したうえで選択することが重要です
  • 地際部の過湿防止: 灌水の過多による地際部の過湿を避けます。適切な灌水管理が基本的な予防策です
  • 圃場の排水改善: 排水不良による過湿条件は根腐萎凋病の発生を助長します。畝の高さ調整や暗渠排水の整備が有効です
  • 輪作: イネ科作物との輪作により、土壌中の菌密度低下が期待できます

化学的防除

  • 定植前の土壌くん蒸(クロルピクリン等)による菌密度の低下が有効です
  • 定植時の土壌灌注による初期感染抑制も行われています

※農薬の使用にあたっては、必ず最新の農薬登録情報を確認し、ラベルの記載内容に従ってください。

中玉トマトにおける実態

長期栽培向き中玉トマトの産地では、栽培後半の株の活力低下とともに根腐萎凋病の症状が表れるケースが報告されています。草勢の維持が重要な長期栽培において、根腐萎凋病が株の衰弱を早めることで収量の大幅な低下につながるため、対策の重要性は高いです。

台木の選定においても根腐萎凋病への対応が重視されており、台木カタログでJ3耐病性の有無を確認する生産者が増えています。穂木(品種)と台木の両方に根腐萎凋病への耐病性を持つ組み合わせを採用することで、土壌病害への防御を多層化する取り組みが広まっています。

また、中玉トマトはミニトマトに近い管理感覚で作られる品種が多く、水管理のコントロールが品質と防除の両面で重要なポイントです。地際部が過湿にならないよう、灌水量・タイミングを的確に管理することが根腐萎凋病の予防にもつながります。

まとめ

根腐萎凋病はFusarium oxysporum f. sp. radicis-lycopersici(J3)によって引き起こされる土壌伝染性病害です。名称が似た萎凋病(Fol対応)や半身萎凋病(Vd対応)とは病原菌が異なり、対応する耐病性も別々のものです。萎凋病耐病性品種が根腐萎凋病に効果がない点は特に注意が必要です。

品種選びの際はカタログの耐病性表示で「J3」または「Frl」の記載を個別に確認し、萎凋病(Fol)との区別を確実に行うことがポイントです。耐病性品種の導入に加え、接ぎ木栽培・土壌くん蒸・適切な排水管理・灌水管理を組み合わせることで、より確実な防除効果が期待できます。

根腐萎凋病耐病性を持つ中玉トマトの品種一覧は、ミノリスの品種検索からご確認いただけます。また、大玉トマトにおける根腐萎凋病対策も同様の考え方が基本となります。

9品種 表示中
TYフルティカSC

TYフルティカSC

タキイ種苗株式会社

トマト黄化葉巻病耐病性をもち黄変果になりにくい!高糖度中玉トマト! ■特長 ・平均糖度7~8度と高く安定し、果皮が薄くて口の中に残りにくい。 ・果重40~50gの中玉で、裂果や黄変果が少ない。 ・1花房当たりの花数は8~12花で、シングル果房が中心。 ・草勢が旺盛で、吸肥力が持続するので長期栽培も可能。 ・トマト黄化葉巻病(Ty-3a型)耐病性をもつほか、トマトモザイクウイルス(Tm-2a)、根腐萎凋病(J3)、葉かび病(Cf9)、斑点病(LS)、サツマイモネコブ線虫(N)に複合耐病性をもつ。 ■栽培の要点 ・活着後は潅水をできるだけ控え、根を深く張らせる。 ・元肥のチッソ過多を避け、1段目を確実に着果させて異常主茎を防ぐ。 ・追肥は草勢を見ながら、4段花房開花時から始めるのが目安。 ・長期栽培では冬季の着果数を制限し、草勢の維持を図る。

シンディースイート

シンディースイート

株式会社サカタのタネ

甘酸のバランスがよい濃厚な味。色回りなど外観が優れる中玉トマト ■特性 1.萎凋病(F:R-1)、ToMV(Tm-2a型)、斑点病に抵抗性で根腐萎凋病に耐病性、ネマトーダに耐虫性の中玉トマト。 2. 草勢は中程度。節間がやや伸びる。裂果の発生が少なく、秀品率が高い。 3. 果重は約35〜40g。果実はテリがあり、果色が鮮やか。甘みと酸味のバランスがよい。 4. 下段はシングル花房で、上段からダブル花房となり、1花房当たり10〜15果程度着果する。 ■育苗・育苗管理 播種床の地温は25~28℃とし、播種後14日位の本葉1.5枚時に移植を行います。葉と葉が接触するころに苗広げを行い、育苗面積を十分にとります。肥料不足のときは液肥などで追肥をします。 ■定植準備 作付け前に圃場の土壌診断を行い、適正な肥料設計を立てます。元肥量は圃場により異なりますが、10a当たり成分量で窒素10~12㎏、リン酸12~15㎏、カリ10~15㎏を標準とします。 ■定植および定植後の管理 定植は第1花開花前を基本とし、若苗定植が向いています。灌水は、1段果実肥大期ごろを目安に行いますが、異常茎の発生に注意します。追肥は3段花房開花ごろを目安に草勢を見てします。 ■栽培上の注意点 ・ 草勢が初期ややおとなしく、早生で着果性がよいので、やや早めの灌水、追肥による樹勢の維持を心がけます。 ・ 温度管理は最低夜温10~11℃で管理し、マルハナバチを使用する場合12℃程度を確保するようにします。従来の品種と比較して花粉の稔性はよいです。 ・ 裂果に強く、果肉が厚く、日持ち性がよいので、赤熟収穫を心がけます。 ・ 抑制栽培などの高温期の栽培や多肥栽培では、花数が多くなり、小玉傾向となることがあるので、状況によっては花数を制限します。 ・ 節間はやや伸びるので、長段栽培では斜め誘引を行います。 ・ 低温期の越冬長段どり栽培などでは、ダブル花房となり第1果がやや奇形果となりやすいので摘果します。また、ホルモン処理をやや薄めの濃度で行うようにします。

TYミディレッドトマト

TYミディレッドトマト

中原採種場株式会社

病気に強く、あま〜い中玉トマト!! 特性 ●トマト黄化葉巻病(Ty-3a)に対し耐病性のほか、トマトモザイク(Tm-2a)、葉かび病(Cf9)、根腐萎凋病(J3)など複合耐病性を示す、丸型の中玉トマト。●吸肥力が高く、生育旺盛。1花房に8〜10果着果する多収型。●下段より多く着果し、果重50g程度のやや大きめサイズで、揃いが良い。●果皮はテリのある濃赤色で、果肉は硬めで弾力があり、裂果が少ない。●糖度は7~8度と高く、歯切れの良い食感。

TYミディイエロートマト

TYミディイエロートマト

中原採種場株式会社

病気に強く、多収性の中玉トマト!! 特性 ●トマト黄化葉巻病(Ty-3a)に対し耐病性のほか、トマトモザイク(Tm-2a)、葉かび病(Cf9)、根腐萎凋病(J3)など複合耐病性を示す、丸型の中玉トマト。●吸肥力が高く、生育旺盛。1花房に10〜12果着果する多収型。●下段より多く着果し、果重50g程度のやや大きめサイズで、揃いが良い。●果皮はテリのあるイエローで、果肉は硬めで弾力があり、裂果が少ない。●糖度は7~8度と高く、歯切れの良い食感。

TYミディオレンジトマト

TYミディオレンジトマト

中原採種場株式会社

病気に強く、あま〜い中玉トマト!! 特性 ●トマト黄化葉巻病(Ty-3a)に対し耐病性のほか、トマトモザイク(Tm-2a)、葉かび病(Cf9)、根腐萎凋病(J3)など複合耐病性を示す、丸型の中玉トマト。●吸肥力が高く、生育旺盛。1花房に10〜12果着果する多収型。●下段より多く着果し、果重45g程度のサイズで、揃いが良い。●果皮はテリのあるオレンジで、果肉は粘質多汁で食味が良く、酸味は少ない。●糖度は8~9度と高く、歯切れの良い食感。

TYミディアイボリートマト

TYミディアイボリートマト

中原採種場株式会社

病気に強く、あま〜い中玉トマト!! 特性 ●トマト黄化葉巻病(Ty-3a)に対し耐病性のほか、トマトモザイク(Tm-2a)、葉かび病(Cf9)、根腐萎凋病(J3)など複合耐病性を示す、丸型の中玉トマト。●吸肥力が高く、生育旺盛。1花房に8〜10果着果する多収型。●下段より多く着果し、果重50g程度のやや大きめサイズで、揃いが良い。●果皮はテリのあるアイボリーで、果肉は硬めで弾力があり、酸味が少ない。●糖度は7~8度と高く、歯切れの良い食感。

グルメトマト

グルメトマト

松永種苗株式会社

めっぽう根が強く、複合耐病性を備えた中玉系。密植して高収量と高糖度を同時に実現! ■主な特長 近頃スーパーでもお馴染みの中玉トマトです。根が強く、複合耐病性なのでプロから家庭菜園まで容易に栽培いただけます。 ■栽培のポイント 1. 播種から定植までは慣行で育苗して下さい。根が強いので、草勢をコントロールするために坪10〜11本程度の栽植して下さい。坪8本程度の場合大きな果実になり糖度は今ひとつとなってしまいます。 2. 一花房に8〜10個の果実が行儀良く2列に並んで着き、草勢を抑えれば60グラムで糖度6〜7度となります。45グラム程度まで絞れば糖度9度以上も可能です。 3. 根腐れ萎凋病抵抗性を持ちながら、水を絞ってもスジ腐れになりにくい特長を備えます。この他萎凋病レース1・2、半身萎凋病、葉カビ病に抵抗性を備えます。Tm2a型の台木をお使い下さい。

美味豊作中玉

美味豊作中玉

サントリーフラワーズ株式会社

雨でも割れにくい! ■特長 ・環境を選ばない高い着果性能。屋外おける降雨時の割れにくさ、食味安定性はバツグン! ・糖度:6-7.5度 ・果形:球形 ・果重:40-50g ・収穫数目安:15-25個程度 ・栽培適性:プランター向け、畑向け ■耐病性 ・ToMV(Tm-2a型)、萎凋病(レース1,2)、根腐萎凋病、半身萎凋病、葉カビ病、うどんこ病(耐病性)、ネマトーダ(耐虫性) ■栽培の要点 ・栽培初期の肥料は控え、果実が肥大したら、状態を見ながら追肥します。

ルビーノ

ルビーノ

サントリーフラワーズ株式会社

どっさり実る! ■特長 ・人気の小〜中玉サイズがごろごろ実る、とにかく作りやすい安定の品種。 ・適度な甘さと酸味、フレッシュな香りが特徴。 ・果形:球形 ・果重:20〜30g程度 ・収穫数目安:80〜120個程度 ・栽培適性:プランター向け、畑向け ■耐病性 ・ToMV(Tm-2a型)、萎凋病(レース1)、根腐萎凋病、半身萎凋病、葉カビ病、斑点病、ネマトーダ(耐病性) ■栽培の要点 ・病気に強く、プランター栽培から露地植えまで幅広い環境に適しています。

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