病害耐性

葉かび病耐性の中玉トマト品種一覧 全21種類

葉かび病とは 葉かび病は、糸状菌のPassalora fulva(旧称: Cladosporium fulvum)によって引き起こされるトマト特有の病害です。施設栽培(ハウス栽培)で特に問題になる病害として知られており、露地栽培ではほとんど

葉かび病耐性について

葉かび病は、糸状菌のPassalora fulva(旧称: Cladosporium fulvum)によって引き起こされるトマト特有の病害です。施設栽培(ハウス栽培)で特に問題になる病害として知られており、露地栽培ではほとんど見られません。

主な症状は、葉の表面に淡黄色から黄緑色の不整形な病斑が形成されることです。葉の裏面には灰緑色〜暗灰色のビロード状のかびが密生し、これが葉かび病の診断上の特徴となっています。病状が進行すると病斑が拡大・融合し、罹病葉が早期に落葉します。葉が減少することで光合成能力が低下し、果実の肥大不良・品質低下・糖度低下を引き起こします。

葉かび病菌は気温18〜25℃、相対湿度85%以上の高湿度条件で特に活発に胞子を形成・飛散させます。施設内では外気温が低い時期でも換気が不十分だと湿度が高まりやすく、葉かび病が発生しやすい環境になります。胞子は風や作業者の動きによって株間を伝播し、施設内で急速に蔓延する可能性があります。

中玉トマトは食味の良さを最大限引き出すために施設長期栽培(促成・半促成)が行われることが多く、その分だけ葉かび病のリスクに長期間さらされます。また、高糖度を目指す栽培では草勢管理が繊細であり、葉かび病による落葉が食味低下につながりやすい点で、大玉トマトと同様に注意が必要な病害です。

葉かび病耐病性の区分とCfの意味

トマトのカタログで目にする「Cf-9」「葉かび病(Cf9)耐病性」という表記は、Cladosporium fulvum(旧学名)由来の葉かび病耐病性を示す略号です。「Cf」はCladosporium fulvumの頭文字に由来しており、数字の部分は対応するレース(系統)を示しています。

国際的な耐病性表記の慣行では:

  • Cf-9: Cf9レースに対する耐病性を持つ品種

カタログによって表記方法が異なりますが、「Cf(1-9)」のように対応しているレースの範囲を表記するメーカーもあります。品種選びで見落としがちなのが、このレース区分の確認です。より新しいレースへの対応状況は品種によって異なり、カタログの耐病性表記を確認する習慣が重要です。

中玉トマト品種のデータを確認すると、葉かび病耐病性(Cf9)を持つ品種は複数確認できます。タキイ種苗・サカタのタネ・カネコ種苗・中原採種場・公益財団法人園芸植物育種研究所・公益財団法人自然農法国際研究開発センターなど各社の中玉品種に葉かび病耐病性が組み込まれており、施設栽培向けの中玉品種では重要な耐病性特性のひとつとして位置づけられています。

葉かび病耐病性品種の歴史と豆知識

葉かび病は施設トマト栽培の普及と歩みを共にしてきた病害です。1960〜70年代の施設栽培の急速な拡大とともに問題化し、当初は薬剤防除に頼るしかありませんでしたが、菌の定期的な薬剤感受性の低下(耐性の獲得)が課題となりました。

ここからが実際の栽培で差がつくところです。耐病性品種の育種が進む中で、葉かび病耐病性を複合耐病性の一部として組み込む品種開発が各社で進められました。中玉トマトでは高糖度・裂果耐性・複合耐病性をセットで持つ品種が増えており、一つの品種で複数の栽培リスクに対応できるようになっています。

葉かび病菌のレース変異は継続的な課題であり、新しいレースへの対応を盛り込んだ育種改良が各メーカーで継続されています。品種名が同じでも世代交代によって耐病性スペクトルが更新されることがあるため、購入前にカタログの最新情報を確認する習慣が重要です。

意外と知られていないのですが、葉かび病菌はトマト以外の植物にはほとんど感染しない、非常に宿主特異性の高い病原菌です。このため、輪作でトマト以外の作物に切り替えることで、圃場内の菌密度を低下させることが期待できます。

耐病性の限界と注意点

葉かび病耐病性品種を選択する際には、以下の点に注意が必要です。

レースの多様性が最大の課題です。現在確認されているレースはCf1〜Cf9以上あり、新しいレースが出現する可能性は継続的に存在します。ある品種がCf9対応であっても、より新しいレースには感受性を持つ可能性があります。

高温・多湿の環境条件が続く場合は、耐病性品種であっても発病リスクが高まることがあります。葉かび病菌は18〜25℃、相対湿度85%以上という条件で特に活発になるため、これらの環境条件が長期間続く場合は、耐病性品種の利用だけでなく環境管理(換気・除湿)も欠かせません。

中玉トマトの施設長期栽培では、下葉を積極的に取り除く摘葉管理と組み合わせることで、葉かび病の蔓延を抑制しながら株の老化防止を図ることが重要です。耐病性品種だからといって摘葉管理を怠ると、枯葉が菌の供給源になります。

葉かび病の耐病性は、萎凋病耐性・半身萎凋病耐性・ToMV耐性・ネコブセンチュウ耐性など他の病害の耐病性とは別個のものです。葉かび病耐病性があっても、他の病害への耐病性は品種によって異なります。複数の病害が問題になる圃場では、各病害の耐病性をまとめて確認することが効率的な品種選びにつながります。

防除のポイント

葉かび病の防除において最も重要なのは、施設内の環境管理です。菌の増殖に適した高湿度条件を防ぐための換気・通風が基本的な対策になります。

環境管理(施設内)

  • 換気の徹底: 天窓・サイドカーテンの適切な開閉により、施設内の湿度を低下させることが最も基本的な防除です。葉の表面が結露するような状況を避けることが重要です
  • 過密栽培の回避: 株間・条間を適切に設定し、通気性を確保することで、施設内の湿度上昇を防ぎます
  • 灌水管理: 朝の早い時間帯に灌水を行うことで、夜間の葉面湿度を低下させることが有効です。夕方遅い灌水は施設内湿度の上昇を招きやすいため注意が必要です

耕種的防除

  • 発病した下葉の除去(摘葉): 罹病葉は胞子の供給源となるため、速やかに除去・施設外で処理します
  • 輪作: トマト以外の作物への切り替えにより、圃場内の菌密度低下が期待できます

化学的防除

葉かび病の登録農薬による予防散布が有効です。発病初期からの散布が特に効果的で、薬剤ローテーションを行って薬剤耐性菌の出現を防ぐことが重要です。

※農薬の使用にあたっては、必ず最新の農薬登録情報を確認し、ラベルの記載内容に従ってください。

現場の声

施設中玉トマト産地では、葉かび病対策として耐病性品種の選択と換気管理の徹底がセットで取り組まれています。葉かび病耐病性を持つ品種への切り替えにより薬剤散布回数を削減でき、コスト低下と農作業の軽減につながったという声が聞かれます。

一方で、老朽化した施設や換気が不十分な条件では、耐病性品種を使っていても葉かび病が発生するケースがあります。そのような現場では換気設備の改善や栽植密度の見直しと組み合わせた対策が求められています。

中玉トマトは着果数が多く、葉が大きくなりやすい品種も存在します。葉が密になると通気性が低下し、葉かび病の発生条件を助長することがあります。適切な整枝・摘葉による葉の密度管理が、耐病性品種の効果を最大限に発揮させる現場の実践として重要です。

まとめ

葉かび病は施設栽培(ハウス栽培)特有の病害で、Passalora fulva(旧称: Cladosporium fulvum)が高湿度条件下で発生します。「Cf-9」等の略号がついた品種が耐病性を持つことの目安となります。

施設で長期栽培を行う中玉トマト生産者にとっては特に確認が重要な病害耐病性です。品種選びの際はCfレースへの対応状況をカタログで確認し、環境管理(換気・除湿)・摘葉管理・適切な薬剤散布を組み合わせた総合防除を行うことが、被害を最小化するポイントです。葉かび病耐病性を持つ中玉トマトの品種一覧については、ミノリスの品種検索からご確認いただけます。ミニトマトの品種情報もあわせてご参照ください。萎凋病耐性やネコブセンチュウ耐性のタグページも、複合耐病性の品種を選ぶ際の参考になります。

21品種 表示中
イエローホープ

イエローホープ

カネコ種苗株式会社

売り場で目を引くイエローカラー! 食味も良好! ■特性 ●鮮やかな黄色の中玉トマトです。 ●食味がよく、店持ちにも優れます。 ●平均1果重40~45g位によくそろいます。 ●葉かび病(Cf-9)、萎凋病(レース2)、半身萎凋病、ToMV(Tm-2ª) に対して安定した耐病性を有します。 ●草勢は強く、スタミナがあります。 ●1花房あたり8~12果程度です。 ■栽培要点 ●過剰な元肥や追肥は、果実の過肥大やすじ腐れ果の発生につながりますので注意します。

TYフルティカSC

TYフルティカSC

タキイ種苗株式会社

トマト黄化葉巻病耐病性をもち黄変果になりにくい!高糖度中玉トマト! ■特長 ・平均糖度7~8度と高く安定し、果皮が薄くて口の中に残りにくい。 ・果重40~50gの中玉で、裂果や黄変果が少ない。 ・1花房当たりの花数は8~12花で、シングル果房が中心。 ・草勢が旺盛で、吸肥力が持続するので長期栽培も可能。 ・トマト黄化葉巻病(Ty-3a型)耐病性をもつほか、トマトモザイクウイルス(Tm-2a)、根腐萎凋病(J3)、葉かび病(Cf9)、斑点病(LS)、サツマイモネコブ線虫(N)に複合耐病性をもつ。 ■栽培の要点 ・活着後は潅水をできるだけ控え、根を深く張らせる。 ・元肥のチッソ過多を避け、1段目を確実に着果させて異常主茎を防ぐ。 ・追肥は草勢を見ながら、4段花房開花時から始めるのが目安。 ・長期栽培では冬季の着果数を制限し、草勢の維持を図る。

ルイ60

ルイ60

タキイ種苗株式会社

栽培容易な中玉トマト! 果重60gで果ぞろい良好! ■特長 ・果重は60g程度の中玉トマトで、果色は鮮赤色。熟期は早生。 ・果形は球~腰高で、子室数は2~3室。 ・糖度6~7度で適度の酸味があり、食味良好。 ・1果房当たりの着果数は8果程度で、果ぞろいが特によく、秀品率が高い。 ・トマトモザイクウイルス(Tm-2a型)、萎凋病レース1(F1)およびレース2(F2)、葉かび病(Cf9)、斑点病(LS)、サツマイモネコブ線虫(N)に複合耐病虫性。 ■栽培の要点 ・異常主茎の発生を抑えるため、元肥は少なめとする。 ・活着後は潅水をできるだけ控え、根を深く張らせる。 ・追肥は草勢を見ながら、4段花房開花時から始めるのが目安。 ・長期栽培では冬季の着果数を6~8果に制限し、草勢の維持を図る。

華レジェンド

華レジェンド

福井シード株式会社

収量性抜群の中玉トマト!! ● 糖度は7~8度と高く、果皮が口に残らない。 ● 果色は光沢のある鮮赤色で、果重は40g~50gの中玉。 ● 果重は30g前後の中玉で、果揃いが良い。 ● 1果房当たりの花数はシングル果房12花程度。 ● 葉カビ病、トマトモザイクウイルス(Tm-2a型)、黄化葉巻病 (Ty-1)。 平均果重:40~50g   平均糖度:7~8   TMV抵抗性:Tm-2a 【予約期間】 11月上旬~3月下旬  【販売期間】   4月下旬~5月下旬

フルティカ

フルティカ

タキイ種苗株式会社

食味を追求した中玉トマト! 葉かび病にも強い! ■特長 ・糖度が平均7~8度と高く、果肉が滑らかで、果皮が口の中に残りにくい。 ・果重は40~50g程度の中玉で、裂果が少ない。 ・1花房当たりの花数は8~12花で、シングル果房が中心。 ・草勢が強く、吸肥力が持続するので長期栽培も可能。 ・葉かび病(Cf9)、斑点病(LS)の耐病性をもっているため、減農薬栽培が可能。その他、トマトモザイクウイルス(Tm-2a型)、サツマイモネコブ線虫(N)に複合耐病虫性。 ■栽培の要点 ・異常主茎の発生を抑えるため、元肥は少なめとする。 ・活着後は潅水をできるだけ控え、根を深く張らせる。 ・追肥は草勢を見ながら、4段花房開花時から始めるのが目安。 ・長期栽培では冬季の着果数を6~8果に制限し、草勢の維持を図る。

華セブン

華セブン

福井シード株式会社

三拍子揃った中玉トマト! ● 味よし、耐病性よし、果揃いよし。 ● 糖度は8度前後と年間通して安定して高い。 ● 果重は30g前後の中玉で、果揃いが良い。 ● 1果房当たりの花数は10花前後で、シングル果房中心。 ● 葉カビ病(Cf9)、トマトモザイクウイルス(Tm-2a型)、黄化葉巻病(Ty-1)。 平均果重:30g前後   平均糖度:8   TMV抵抗性:Tm-2a 【予約期間】 11月上旬~3月下旬  【販売期間】   4月下旬~5月下旬

TYレッドオーレ

TYレッドオーレ

カネコ種苗株式会社

トマト黄化葉巻病(TYLCV)耐病性! 食味にも優れる中玉トマトのニューエース! ■特性 ●トマト黄化葉巻病(TYLCV)イスラエル・マイルド両系統に対し耐病性を有します。 ●トマト黄化えそ病(TSWV)抵抗性を有します。 ●果色は濃赤色で光沢に優れ、食味は良好です。 ●平均1果重40g程度の中玉トマトです。 ●1花房あたり8~12果程度着果します。 ●葉かび病(Cf-9)、半身萎凋病、ToMV(Tm-2ª)、サツマイモネコブセンチュウにも安定した複合耐病虫性を有します。 ※TYレッドオーレのTYLCVに対する耐病性は体内でのウイルス増殖を抑えるタイプであり、感染を阻止するものではありません。タバココナジラミの無防除による高密度化や、極端な高温は、耐病性品種であっても発病につながる恐れがあります。必要な防除は行ってください。 ※TSWVに抵抗性を有しますが、アザミウマによる“金粉果症”は発生しますので必要な防除は行ってください。

カロフル

カロフル

公益財団法人自然農法国際研究開発センター

・萎凋病(F:R-1、2)、ToMV(Tm2a)、半身萎凋病、葉かび病、サツマイモネコブセンチュウに耐病性。 ・草勢は中強程度でスタミナがある。節間はやや長く、小葉のため草姿はすっきりとする。 ・シングル花房で着果性に優れ、1花房あたり8~10果程度着果する。 ・果実は硬玉で裂果の発生が少ない。1果重は約45~50g。果形は腰高で、果色は鮮やかなオレンジ色でツヤがある。 ・糖度は8程度あり、食味は酸味が控えめで甘みを感じやすく、フルーツのような食感。 ・βカロテン当量が「メニーナ」の約4倍、「妙紅」の約5倍 ■育成経過 育てやすくて美味しいトマトを目標に、複合耐病性の大玉トマトと橙色で甘みの強いミニトマトを掛け合わせた一代交配種。2019年から組合せ能力検定を行い,2021年に育種目標にかなう品種として育成しました。 種子親には当センター頒布品種,大玉トマト「妙紅」の種子親を素材としました。この系統は2005年に選抜固定し,特徴は草姿が立性で草勢ややおとなしく、果実は肉質硬く裂果に強く,多室構造で着果肥大が極めて良い複合耐病性の大玉系統です。 花粉親には2016年に選抜固定した濃橙色のミニトマト系統です。果形が丸形で果色が橙色で糖度が高く(9~11),味が濃厚でカロテン臭がありとろける食感です。

TYミディレッドトマト

TYミディレッドトマト

中原採種場株式会社

病気に強く、あま〜い中玉トマト!! 特性 ●トマト黄化葉巻病(Ty-3a)に対し耐病性のほか、トマトモザイク(Tm-2a)、葉かび病(Cf9)、根腐萎凋病(J3)など複合耐病性を示す、丸型の中玉トマト。●吸肥力が高く、生育旺盛。1花房に8〜10果着果する多収型。●下段より多く着果し、果重50g程度のやや大きめサイズで、揃いが良い。●果皮はテリのある濃赤色で、果肉は硬めで弾力があり、裂果が少ない。●糖度は7~8度と高く、歯切れの良い食感。

TYミディイエロートマト

TYミディイエロートマト

中原採種場株式会社

病気に強く、多収性の中玉トマト!! 特性 ●トマト黄化葉巻病(Ty-3a)に対し耐病性のほか、トマトモザイク(Tm-2a)、葉かび病(Cf9)、根腐萎凋病(J3)など複合耐病性を示す、丸型の中玉トマト。●吸肥力が高く、生育旺盛。1花房に10〜12果着果する多収型。●下段より多く着果し、果重50g程度のやや大きめサイズで、揃いが良い。●果皮はテリのあるイエローで、果肉は硬めで弾力があり、裂果が少ない。●糖度は7~8度と高く、歯切れの良い食感。

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