病害耐性

ToMV耐性トマト台木のトマト台木品種一覧 全29種類

ToMV耐性トマト台木 トマトモザイクウイルス(ToMV)とは トマトモザイクウイルス(Tomato mosaic virus、略号: ToMV)は、タバコモザイクウイルス(TMV)の近縁種として分類されるウイルスであり、トマト栽培において

ToMV耐性トマト台木について

ToMV耐性トマト台木

トマトモザイクウイルス(ToMV)とは

トマトモザイクウイルス(Tomato mosaic virus、略号: ToMV)は、タバコモザイクウイルス(TMV)の近縁種として分類されるウイルスであり、トマト栽培において古くから問題となってきた病害ウイルスです。日本では長年「TMV」として呼称されてきた経緯がありますが、現在はToMVとして分類されています。

ToMVに感染したトマト植物体では、葉にモザイク状の黄緑色と濃緑色の斑点・縞模様が生じます。葉の縮みやよじれ、奇形葉(シダ葉症状)が現れることもあります。また果実では、着色ムラ(内部褐変を伴う「ブロンズ化」)、変形果、空洞果の発生が増加し、商品価値が著しく低下します。

ToMVの特徴として最も注意が必要なのが、その伝染力の強さです。ToMVは土壌・残渣・種子・農具などの非生物的な経路(汁液伝染)で感染が広がり、農作業中の接触だけでも感染が成立します。アブラムシなどの媒介虫を必要とするウイルス病とは異なり、防虫ネットによる飛来虫防除ではToMVの感染を防ぐことができません。

土壌中では植物残渣とともに数年間以上にわたって感染力を維持することが知られており、圃場の衛生管理が徹底されない環境では汚染が蓄積しやすい病害です。施設栽培の長期連作圃場では、土壌中のウイルス量が問題になることがあります。

ToMV耐性の区分 — Tm-1とTm-2aの違い

ToMVへの耐性を持つトマトの抵抗性遺伝子として、主に以下の3つが実用的な品種育種で活用されています。

Tm-1(不完全抵抗性)
最初に育種で利用された耐性遺伝子です。ToMVのウイルス増殖を遅らせる効果がありますが、温度の影響を受けやすく、高温条件(32℃以上)や強毒系統のウイルスに対しては耐性が崩れやすいことが知られています。Tm-1を持つ穂木品種の台木として使用できる台木品種は限定されており、カタログ上では「Tm型」「Tm(Tm-1型)」などと表記されます。

Tm-2(中程度の耐性)
Tm-1より強い耐性を示しますが、ToMVの一部の系統(Tm-2aを克服するウイルス系統とは別に、Tm-2を克服するウイルス系統が存在します)によって耐性が崩れることがあります。「Tm-2型」と表記されます。

Tm-2a(強い耐性)
現在最も広く実用利用されている耐性遺伝子です。Tm-2の変異型で、Tm-2より強い耐性を示し、自然界でTm-2aを克服するToMV系統が見つかりにくいことから、実用耐性として高く評価されています。学術的にはTm-2²(Tm-2の2乗)として知られていますが、日本の種苗カタログではTm-2aと表記されることが多く、本記事ではカタログ表記に合わせて使用します。カタログ上では「Tm-2a型」「2a型」と表記されます。

ここからが実際の栽培で差がつくところです。台木品種の多くはTm-2またはTm-2a型の耐性遺伝子を持っており、カタログでは「ToMV(Tm-2)」「ToMV(Tm-2a型)」などと表記されています。この2つの記載の違いが、台木と穂木の組み合わせに大きく影響します。

台木のToMV耐性型と穂木との接ぎ木適合性

台木選びにおいてToMV耐性型が特に重要になる理由の一つが、台木と穂木のToMV耐性型の適合性です。これは見落としがちな落とし穴であり、しっかり理解しておく必要があります。

Tm-2a型台木 は、穂木品種がTm-2a型またはTm-2型のToMV耐性を持つ品種との接ぎ木に適しています。Tm-1型の耐性遺伝子を持つ穂木品種や、ToMVへの耐性を持たない品種(感受性品種)との接ぎ木には使用できないとされています。これはウイルスの系統と耐性遺伝子の相互作用に起因するもので、「接ぎ木の親和性(適合性)」として種苗メーカーのカタログに明記されています。

Tm-1型台木 は、Tm-1型の耐性遺伝子を持つ穂木品種や、ToMV感受性品種との接ぎ木に使用されます。Tm-2a型品種との接ぎ木はできません。

意外と知られていないのですが、台木と穂木のToMV耐性型の組み合わせを誤ると、接ぎ木後の活着不良や生育異常が生じることがあります。台木の品種カタログには「Tm-2a型もしくはTm-2型のToMV耐性品種専用」「Tm-1型、あるいはToMVに感受性の穂木品種専用」と明記されている場合が多く、台木と穂木のカタログをセットで確認することが不可欠です。

歴史と豆知識

ToMVは1920年代にヨーロッパで問題化した後、日本でも戦後の施設園芸拡大とともに大きな問題となりました。かつてはTMVとして呼ばれ、農業試験場の記録にも多数の被害事例が残っています。

Tm抵抗性遺伝子の育種利用は1960年代頃から本格化し、Tm-2の発見・育種利用、続くTm-2aの実用化と段階的に耐性品種が強化されてきました。現在では大玉トマト・ミニトマトを問わず、主流の穂木品種の多くがTm-2a型の耐性を持っており、これが台木品種のToMV表記が「Tm-2a型」で統一される方向に向かっている背景となっています。

台木品種でのToMV耐性は、病害防除だけでなく穂木品種との適合性という形で栽培システム全体に関わります。種苗メーカーが台木・穂木をセットで品種開発・推奨している背景には、このような遺伝子レベルの適合性管理があります。

ToMV耐性の限界と注意点

Tm-2a型の耐性は現在最も信頼性が高いとされていますが、完全な防御ではありません。

まず、高温条件での耐性の変動です。Tm-1については高温で耐性が崩れやすいことが広く知られていますが、Tm-2aについても極めて高温な条件下での耐性の安定性については産地によって異なる経験がなされています。施設内温度管理も病害管理の一部と捉えることが重要です。

次に、農作業を通じた汚染の蓄積です。ToMVは手指・農具・衣服などを介した接触伝染をしやすい特性があり、耐性品種を使用していても圃場の衛生管理を怠ると土壌・残渣中のウイルス量が増加し、長期的にリスクが蓄積します。台木の耐性に依存して衛生管理を軽視することは望ましくありません。

また、ToMV以外のウイルス病(例: TYLCVやCMVなど)は、ToMV耐性遺伝子では防御できません。施設栽培ではTYLCVを媒介するタバココナジラミへの対策も同時に必要であり、複合的なウイルス病リスクを念頭に置いて品種と防除体系を設計することが求められます。

産地によって事情が異なるので一概には言えませんが、圃場の過去の発病歴、栽培作型、主に使用する穂木品種のToMV耐性型を整理した上で台木を選定することが、現場での失敗を防ぐポイントです。

防除のポイント

ToMVの防除は、耐性品種の利用と圃場衛生の徹底を両輪として進めます。

農作業における衛生管理として最も基本的なのは、作業前後の手洗いと農具の消毒です。ToMVは非常に高い安定性を持つウイルスであり、石けんによる洗浄でも完全に不活化するのは難しいとされています。リン酸三ナトリウム溶液や市販のウイルス不活化剤による農具の消毒が有効です。

前作の植物残渣の適切な処理も重要です。感染した茎・葉・根をそのまま圃場に残したり埋め込んだりすると、次作への感染源となります。残渣は圃場外に搬出して適切に処分することが基本です。

種子伝染のリスクを考慮した場合、種子消毒(温湯消毒など)も有効な手段として活用されています。台木・穂木ともに健全な種子・育苗を使用することが、圃場への持ち込みを防ぐ最初の防衛線です。

ウイルス病の特性上、登録農薬による直接的な治療効果は期待できません。予防的な衛生管理と耐性品種の利用が防除の基本です。

※農薬の使用にあたっては、必ず最新の農薬登録情報を確認し、ラベルの記載内容に従ってください。

現場の声

施設トマト産地では、ToMVへの耐性は現在最も標準的な台木耐性項目の一つとして位置づけられており、「ToMV耐性なし」の台木を選ぶことはほとんどないという声も聞かれます。それほど、Tm遺伝子を持つ台木品種の利用が当たり前の時代になっています。

一方、台木と穂木のToMV耐性型の組み合わせを確認しないまま使用してしまったトラブルの経験を語る生産者も少なくありません。「ラベルにはTm-2aと書いてあったのに穂木との組み合わせが間違っていた」というケースは、台木と穂木を異なるメーカーから調達する場合に起きやすいとされています。

台木選びの際にToMV耐性型を確認することは必須ですが、それだけでなく圃場衛生の徹底が長期的なウイルスリスク管理の基盤になるという認識も、ベテラン生産者の間では共有されています。農具・育苗施設の消毒習慣を継続している産地では、ToMVによる被害が軽減されたという報告もあります。

また、育苗業者の立場では、台木のToMV型を正確に把握して出荷ラベルに明記することが取引先からの信頼につながる重要な情報として扱われています。

まとめ

ToMV(トマトモザイクウイルス)は汁液伝染性の強いウイルス病であり、施設トマト産地で長年問題となってきた病害です。耐性遺伝子にはTm-1・Tm-2・Tm-2aの段階があり、現在の台木品種の主流はTm-2a型です。

品種選びで最も重要なのは、台木と穂木のToMV耐性型が適合しているかどうかを確認することです。この適合性を誤ると接ぎ木後に問題が生じるリスクがあります。台木を選ぶ際は耐性型の記載を必ず確認し、穂木品種のカタログとセットで組み合わせを検討してください。

耐性台木の利用に加えて、農作業時の衛生管理・残渣処理・種子消毒を組み合わせることで、圃場のウイルスリスクを長期にわたって管理することができます。ミノリスの品種一覧では、台木品種ごとのToMV耐性型(Tm-1型・Tm-2型・Tm-2a型)を確認できますので、穂木品種との組み合わせ検討にご活用ください。

29品種 表示中
とまトン

とまトン

株式会社むさしのタネ

家庭菜園向けトマト台木 【特性】 〇節間が短く、しっかりとした苗姿に仕上がり、接木、育苗がしやすい。 〇高温期、長期栽培など幅広い作型に適し、初期から安定した吸肥力があり、後半までしっかりと草勢を維持できる。 【病害虫抵抗性】 〇耐病性はToMV(Tm-2a)、萎凋病(F1、F2)、根腐萎凋病(J3)、半身萎凋病(V)で、特に青枯病に強い耐病性を示す。ネマ耐虫性。

ファンファーレ

ファンファーレ

株式会社むさしのタネ

かいよう病・青枯れ病に強い耐病性を示すトマト台木 【特性】 ○草勢はやや強く、根は深い根と浅い根が共に伸長し、様々な作型に適応する。 【病害虫抵抗性】 〇ToMV(Tm2a)、萎凋病(F1、F2、F3)、根腐萎凋病、半身萎凋病、ネマ耐虫性、特にかいよう病、青枯病、褐色根腐病に強い耐病性を示す。 ※かいよう病に対して完全抵抗性ではないため、土壌消毒・使用資材の消毒、農薬による防除を行い、感染を防ぐようにする。

デュエットO

デュエットO

株式会社むさしのタネ

草勢の波が少なく管理しやすい 【特性】 〇一般の穂木品種と発芽や生育がほぼ同じで、茎の組織も穂木並に柔らかいので穂木しやすく失敗も少ない。 〇本来の草勢はやや強いが、穂木の生育着果が早い為自根並みの管理でよい。 【接木の親和性】 〇Tm型、またはToMV抵抗性のない品種専用台木 【病害虫抵抗性】 〇ToMV(Tm)、青枯病耐病性 〇萎凋病(R1、R2)、半身萎凋病抵抗性 〇ネマ耐虫性

マイティ

マイティ

株式会社むさしのタネ

病気に強く、高い秀品率 【特性】 〇一般穂木とほぼ同じ温度、水分で発芽。生育も一般穂木並み。接木しやすく、癒合もよい。 〇本来の草勢はやや強いため、元肥は20%程度減らし、植え水を控え、初期は抑えて管理する。 【接木の親和性】 〇Tm型、またはToMV抵抗性のない品種専用台木 【病害虫抵抗性】 〇ToMV(Tm)、萎凋病(R1、R2)、半身萎凋病、根腐萎凋病複合抵抗性 〇青枯病、褐色根腐病耐病性 〇ネマ耐虫性

PFNT1号

PFNT1号

株式会社むさしのタネ

青枯病に極めて強い、多収型品種 【特性】 〇接木までは台木を老化させないようノビノビと育てる。接木・活着後しめ作りをする。 〇元肥は緩効性肥料を主体とする。 〇若苗定植は避ける。灌水を少なくし、抑えて作る。 〇過湿や地際部の病害に強い。 【接木の親和性】 〇Tm-2型またはTm-2a型品種専用台木 【病害虫抵抗性】 〇ToMV(Tm-2)、萎凋病(R1)抵抗性 〇青枯病耐病性。「LS89」と同程度の耐病性 〇ネマ耐虫性

試交KC16-2

試交KC16-2

株式会社むさしのタネ

スタミナ抜群! 水耕栽培台木 【特性】 〇KCFT-N2号と同程度に草勢が強く、スタミナがある。 【病害虫抵抗性】 〇褐色根腐病に極めて強い。 〇ToMV(Tm-2)、萎凋病(R1、R2)、半身萎凋病、根腐萎凋病に複合抵抗性 〇ネマ耐虫性

サイドカー

サイドカー

株式会社むさしのタネ

養水分の吸収バランス◎ 複合耐病性台木 【特性】 〇広く複合耐病性を持つ。 〇草勢強化や品質安定に使用できる。 〇初期から根張りがよく、低温伸長性もあり、オールシーズン利用できる。 〇根域が広いため、養水分をしっかり与えた方がよい穂木と相性が抜群。 〇着果負担に強く、安定生産に寄与。 【接木の親和性】 〇Tm-2型またはTm-2a型品種専用台木 【病害虫抵抗性】 〇ToMV(Tm-2)、萎凋病(R1、R2、R3)、根腐萎凋病( J3)、半身萎凋病(R1、R2)抵抗性 〇青枯病、褐色根腐病耐病性 〇ネマ耐虫性

スリークォーターバックス

スリークォーターバックス

株式会社むさしのタネ

幅広い耐病性、オールシーズン栽培可能 【特性】 〇青枯病、褐色根腐病の両方に高い耐病性を持つ台木を目標に育成した品種。 〇幅広く耐病性を持たせつつ、根域が広く、オールシーズン栽培可能な品種。 〇草勢は暴れにくく栽培しやすい。後半はスタミナがあり、品質のよい果実が生産できる。 【接木の親和性】 〇Tm-2型またはTm-2a型品種専用台木 【病害虫抵抗性】 〇ToMV(Tm-2)、萎凋病(R1、R2、R3)、根腐萎凋病( J3)、半身萎凋病抵抗性 〇青枯病、褐色根腐萎凋病耐病性 〇ネマ耐虫性

ディフェンスライン

ディフェンスライン

株式会社むさしのタネ

青枯病に強く、高温期の栽培にも向く 【特性】 〇青枯病耐病性が強い。高温期や長期栽培での青枯病リスクを軽減。 〇発芽率、発芽勢が安定。 〇初期草勢はおとなしいが、後半は安定した草勢を持つ。 〇浅根の特性で、水分の調整がしやすく、高糖度、高食味生産に向く。 〇灌水、追肥への反応が早いため、管理がしやすい。 【接木の親和性】 〇Tm-2型またはTm-2a型品種専用台木 【病害虫抵抗性】 〇ToMV(Tm-2)、萎凋病(R1、R2)、根腐萎凋病( J3)、半身萎凋病抵抗性 〇青枯病、褐色根腐病耐病性 〇ネマ耐虫性

グリーンフォース

グリーンフォース

タキイ種苗株式会社

農林水産省登録品種(品種名:TTM081) 複合耐病性の強勢台木! 抜群のスタミナで長期栽培向き! ■耐病性 Tm-2、 B、 F1、 F2、 F3、 J3、 K、 V1、 N ■特長 ・根が深く挿し込むことに加え、発根も旺盛なので、生育初期から後半まで草勢が強く安定する。 ・水や肥料に対しての反応が早いので、草勢管理がしやすい。 ・果実肥大のよい品種や草勢のおとなしい穂木品種との組み合わせで、生産性をより高めることが期待できる。 ・青枯病(B)とコルキールート(褐色根腐病:K)に強耐病性を示すほか、トマトモザイクウイルスにはTm-2a型耐病性、そのほか萎凋病レース1(F1)とレース2(F2)およびレース3(F3)、根腐萎凋病(J3)、半身萎凋病レース1(V1)、サツマイモネコブ線虫(N)に複合耐病虫性。 ・茎色が緑色なので、紫色の穂木品種と簡単に区別でき、接ぎ木間違いを起こしにくい。 ■栽培の要点 ・穂木は、Tm-2a型もしくはTm-2型のToMV耐病性品種を使用する。 ・幼苗接ぎ木の場合、台木は穂木より高温期は2日、低温期は2〜3日を目安に早まきする方が軸の太さがそろい、接ぎ木がしやすい。 ・元肥のチッソ成分量は、条件によって異なるが自根栽培より30%減が目安。 ・厳寒期や春先の育苗では、地温15℃以上を確保することでスムーズな生育を心掛ける。

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