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ピーマン・トウガラシ用台木の台木品種一覧 全11種類

ピーマン・トウガラシ用台木とは 接木栽培とは、品種の特性を持つ「穂木」を、病害耐性や根張りに優れた「台木」に接ぎ合わせる技術です。ピーマン・トウガラシ用台木は、青枯病・疫病・ウイルス病(PMMoV)などの深刻な土壌病害から根系を守りながら、

ピーマン・トウガラシ用台木について

ピーマン・トウガラシ用台木とは

接木栽培とは、品種の特性を持つ「穂木」を、病害耐性や根張りに優れた「台木」に接ぎ合わせる技術です。ピーマン・トウガラシ用台木は、青枯病・疫病・ウイルス病(PMMoV)などの深刻な土壌病害から根系を守りながら、収量と品質を安定させるために使われる台木品種群です。

ピーマンとトウガラシは同じナス科トウガラシ属(Capsicum annuum)に属しており、台木品種もこの両者に共用できるものが多いため、ひとまとめにして「ピーマン・トウガラシ用台木」として扱われます。

日本でピーマン・トウガラシの接木栽培が普及した最大の背景は、青枯病と疫病の深刻な被害です。これらの土壌伝染性病害は薬剤防除だけでは十分な効果が得にくく、連作圃場では壊滅的な被害が出ることがあります。こうした状況に対応するため、青枯病・疫病・ウイルス病に複合耐病性を持つ台木品種の開発が、農研機構や公益財団法人園芸植物育種研究所をはじめとする公的機関と民間種苗メーカーの両方で進められてきました。

台木が対応する主な病害

ピーマン・トウガラシ用台木が持つ耐病性は複数の病害に及びます。それぞれの特性を理解しておくことが、台木選びの精度を高めます。

青枯病Ralstonia solanacearum)は、土壌中の細菌が根から感染し、株全体が急に萎凋・枯死する病害です。高温多湿条件で発生しやすく、特に夏期の施設栽培では被害が拡大しやすい傾向があります。感染した株を取り除いても土壌中に菌が残り続けるため、連作圃場では毎作発生リスクがあります。青枯病への高度抵抗性を持つ台木品種の利用は、この病害対策の中核となっています。

疫病Phytophthora capsici)は卵菌類による根腐れ・茎腐れを引き起こす病害です。多湿条件下で急速に進行し、排水不良の圃場では特に被害が大きくなります。土壌消毒の効果が一時的なため、疫病耐性台木との組み合わせが安定防除の基本とされています。

トウガラシ微斑ウイルス(PMMoV)は、ウイルス病の一種で種子・接触伝染します。感染するとモザイク・えそなどの症状が出て収量が激減します。PMMoVにはL1〜L4のレース(系統)があり、台木品種はL3またはL4抵抗性遺伝子を持つものが主流です。重要なのは、台木と穂木で同じLレベルの抵抗性遺伝子型を合わせなければならない点です。組み合わせを間違えると、えそ障害や株枯れが発生することがあります。

台木を選ぶメリット

ピーマン・トウガラシ栽培で台木を使う実際的なメリットを整理します。

まず、青枯病・疫病の激発圃場での安定生産です。これまで青枯病・疫病の被害で収量が安定しなかった圃場でも、高度抵抗性台木を導入することで生産が安定したという事例が各産地で報告されています。岩手県、山形県、茨城県、京都府など全国の産地で台木品種が導入されています。

次に、複合耐病性による総合的な防除効果です。一つの台木品種で青枯病・疫病・ウイルス病の複数の病害に対応できる品種が開発されています。農研機構(野菜茶業研究所)が育成したピーマン用台木品種は、疫病・青枯病への強度耐病性とPMMoV(P1.2)に対するL3遺伝子保有を組み合わせた複合耐病性台木として各産地に普及しています。

また、根張りの強化による長期収量の安定も見逃せないメリットです。台木の強い根系が生育後半まで草勢を維持し、成り疲れしにくい安定した栽培が可能になります。

適した作型と産地

ピーマン・トウガラシ用台木の活用場面を作型別に整理します。

促成・長期栽培では、根張りの強さによる後半の草勢維持が重要です。定植から収穫終了まで半年以上に及ぶ長期作型では、後半に根が衰えると成り疲れが起きやすくなります。後半スタミナに優れた台木品種の選択が収量安定の鍵になります。

夏秋栽培では、高温下での疫病・青枯病リスクが高まります。梅雨明けから夏にかけての高温多湿期に、これらの病害が激発するケースが多い産地では、台木の耐病性が最も重要な選定基準になります。

産地の土壌病害状況によっても選択が変わります。青枯病が主要問題の産地、疫病が主要問題の産地、PMMoVのレースが問題になっている産地では、それぞれに対応した耐病性の組み合わせを持つ台木品種を選ぶ必要があります。

栽培のポイント

ピーマン・トウガラシ用台木を使った接木栽培で成功するためのポイントを整理します。

穂木との播種タイミングは品種によって異なります。台木の発育速度が穂木より遅いことが多いため(特に農研機構育成品種系は初期生育がやや遅め)、穂木より7〜10日早く播種するのが基準の目安です。ただし品種によって推奨日数が異なるため、各メーカーのカタログを確認してください。

ここからが実際の栽培で差がつくところです。穂木と台木のウイルス耐性の遺伝子型の一致は必ず守らなければならないルールです。台木がL3型抵抗性を持つ場合は穂木もL3型を、台木がL4型の場合は穂木もL4型を使用します。型が異なると接木後にえそ症状が出て株が枯死するケースがあります。これはピーマン・トウガラシ接木特有の注意点であり、作業前に必ず確認が必要です。

土壌消毒の併用も重要です。台木の高い耐病性に頼りすぎず、土壌消毒を組み合わせることで圃場の病原菌密度を下げることが、より安定した防除効果につながります。高菌密度条件下では耐病性台木でも発病する場合があるため、土壌病害の激発圃場では事前に抵抗性の程度を確認することが推奨されています。

追肥の管理については、台木の根張りが強くなることで吸肥力が向上します。基本的な施肥量は穂木品種の推奨量を参考にしますが、特に草勢が強くなりやすい台木品種では、樹勢を見ながら追肥量を調整することが重要です。

※農薬の使用にあたっては、必ず最新の農薬登録情報を確認し、ラベルの記載内容に従ってください。

品種選びのコツ

ピーマン・トウガラシ用台木の選定では、以下のポイントを順番に確認することがすすめられます。

  • 産地の主要土壌病害(青枯病/疫病/PMMoV)を確認する
  • PMMoVの対応レベル(L3かL4か)を確認し、穂木品種と合わせる
  • 青枯病・疫病の双方に耐病性を持つかどうかを確認する
  • ネコブセンチュウへの耐性の有無を確認する(センチュウが問題の圃場向け)
  • 草勢レベルを確認する(後半スタミナ重視か、草勢をおとなしくしたいかで選択が変わる)
  • 接木作業性(胚軸の太さ)
  • 作型(促成長期栽培か夏秋栽培か)への適応性

意外と知られていないのですが、産地によっては青枯病の菌レースが異なり、台木の耐病性が異なるレースには効果を発揮しない場合があります。特に激発圃場への台木導入に際しては、事前に耐病性の程度を確認することが複数のメーカー・公的機関から推奨されています。

市場動向とこれから

ピーマン・トウガラシの接木栽培は、青枯病・疫病被害が深刻な産地から普及が始まり、近年では技術の向上と接木苗の安定供給を背景に導入が拡大しています。

農研機構で育成された台木品種(台助L3型・L4型など)は、複合耐病性を持つ固定種台木として各地の産地試験で優秀性が認められており、民間の種苗メーカーからも類似コンセプトの品種が多数リリースされています。今後はさらに多様なPMMoVレースへの対応、ネコブセンチュウ複合耐病性など、耐病性の充実が続くことが期待されます。

ミノリスには、横浜植木、ナント種苗、福井シード、丸種、公益財団法人園芸植物育種研究所、むさしのタネなど多様なメーカーのピーマン・トウガラシ用台木が掲載されており、対応病害・ウイルス耐性レベル・草勢の違いで比較検討できます。

まとめ

ピーマン・トウガラシ用台木は、青枯病・疫病・PMMoV(ウイルス病)などの土壌伝染性病害が問題となる産地での安定生産を実現するために欠かせない台木品種群です。特に台木と穂木のウイルス耐性レベル(L3/L4)を一致させることは、ピーマン・トウガラシ接木の基本中の基本です。

産地の土壌病害の状況・作型・穂木品種との相性を確認したうえで、適切な台木品種を選択することが、安定した収量と品質確保の第一歩になります。台木の耐病性に頼りすぎず、土壌消毒との組み合わせや病害予防の総合防除体系の中に台木活用を位置づけることが、長期的な安定栽培の鍵です。

11品種 表示中
タッグピーマン台木

タッグピーマン台木

横浜植木株式会社

青枯れ病耐病性、根張り良好のピーマン台木!(PMMoV-L3抵抗性) ■特性 ・共台の為、接木作業がしやすく、親和性が高い。 ・青枯れ耐病性がある。 ・PMMoV-L3抵抗性がある。 ・根が強く成り疲れし難い。 ・樹勢の弱い品種に向く。 ■栽培のポイント ・緊密度を下げるために土壌消毒と併用する。 ・穂木はPMMoV-L3抵抗性を有す品種に用いる。 ・播種は穂木より1~3日早めに行う。 ・追肥は樹勢を見て行う。 ・定植苗は老化させないよう早めに定植する。 ・菌のレースによっては発病することがあります。

タッグマッチ台木

タッグマッチ台木

横浜植木株式会社

青枯れ病・疫病・ネマに強い!ピーマン台木 ■特性 ・PMMoV-L3型専用のピーマン台木。 ・青枯れ病 ・疫病の耐病性があり、ネコブセンチュウに強い。 ・根張りが良い台木で後半まで樹バテしにくく、収量性が高い。 ■栽培のポイント ・元肥は通常より1~2割多めに施用する。 ・耐病性は高いが、青枯れ病 ・疫病のタイプにより発病することがあるので、土壌消毒を併用し土作りをしっかりと行う。

台パワー

台パワー

ナント種苗株式会社

青枯病・疫病・モザイク病(L3)に対し、 極めて強い複合抵抗性。 【特 徴】 ● 農研機構 野菜茶業研究所で育成・発表された疫病・青枯病およびモザイク病に複合抵抗性の台木用ピーマン。疫病・青枯病に対して強度の抵抗性。 ● PMMoV(P1.2)に対して抵抗性を発揮するL3遺伝子を保有。PMMoVおよびToMVの発生している地域では、穂木に同じL3遺伝子を有する品種を用いてください。 ● サツマイモネコブセンチュウに抵抗性(ただし産地によっては発病の可能性あり)。 【ポイント】 ● 高温・多湿・高菌密度条件下では、発病する可能性があるため土壌消毒などの通常防除を併用してください。 ● 接木の難易度は「ベルマサリ」と同等で、穂木との播種間隔は約10日。 ● 自根栽培に比べて初期生育はやや遅くなります。

一代交配 台木用トウガラシ 台パワーZ

一代交配 台木用トウガラシ 台パワーZ

丸種株式会社

複合耐病性のPMMoV-L3 型台木 1. ウイルス病PMMoV-L3 型台木に耐病性を持つ、ピーマン、とうがらし用台木です。 2. 青枯れ病、疫病、ネコブセンチュウに強耐病性を持ちます。 3. 特に発芽が早く揃いが良いため、苗管理が容易です。

台ちから

台ちから

福井シード株式会社

青枯病・疫病に対して強い抵抗性を持つ甘トウガラシ、トウガラシ用台木 土壌伝染性病害である青枯病・疫病に対して強い抵抗性を持つため、安定生産に大きく貢献できます。

台パワー

台パワー

福井シード株式会社

土壌伝染性病害に強いピーマン用台木 ピーマンの青枯病・疫病に強度抵抗性を示します。PMMoV(P1.2)に対して抵抗性を発揮するL3遺伝子を持っています。 台木として利用した場合の収量性は、既存の台木品種と同等です。初期生育が少し遅いので、穂木より7~10日前に播種すると、接ぎ木がしやすくなります。 現在、岩手県、山形県、茨城県、京都府等の産地で利用されています。

L4台パワー

L4台パワー

福井シード株式会社

青枯病・疫病抵抗性台木 土壌伝染性病害である青枯病・疫病に対して強い抵抗性を持つため、安定生産に大きく貢献できます。 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 (通称):農研機構で開発された品種です。

台木用トウガラシ L4台パワー

台木用トウガラシ L4台パワー

丸種株式会社

青枯病、疫病に強耐病性のPMMoV-L4 型台木 1. ウイルス病PMMoV-L4 型台木に耐病性を持つ、ピーマン、トウガラシ用台木です。青枯病と疫病に強耐病性を持ちます。 2. 幼苗期の生育がスムースで、接木作業が容易に進められます。 3. 接木親和性を合わせるため、穂木には PMMoV-L4 型品種を使用します

台木用トウガラシ 台ちから

台木用トウガラシ 台ちから

丸種株式会社

青枯病、疫病に強耐病性の台木 1. 青枯病と疫病に強耐病性を持つ、ピーマン、トウガラシ用台木です。 2. ウイルス病に対して耐病性を持たないため、穂木にもウイルス病の耐病性を持たない品種を接木します。 3. 幼苗期の生育が、がっしりとしており接木作業が容易です。 4. 穂木に、ウイルス病の耐病性を持つ品種には 適しません。

紫L4台助(L4)[台木]

紫L4台助(L4)[台木]

公益財団法人園芸植物育種研究所

L4品種専用台木 ・青枯病に高い耐病性をもっています。 ・トウガラシ微斑ウイルス(PMMoV(P1.2))に対して抵抗性(L3)があります。 ・胚軸や子葉等にアントシアニンを発現することで、穂木との区別が容易です。 ・接ぎ木栽培による草勢の低下や収量の減少が若干認められます。 ・促成栽培から夏秋栽培まで、幅広い作型に適応しています。 ■導入上の注意点 ・青枯病の激発している圃場での「台助」の利用は、事前に耐病性の程度の検査をすることをお勧めします。 ・穂木品種はPMMoVに対して必ず同じ抵抗性(L4)を有する品種を使用してください(下記の適合表を参照)。L4型抵抗性品種以外を使用すると、えそ障害や枯死が発生することがあります。 ・導入にあたっては、最寄りの指導機関に相談してください。

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