べと病耐性レタスの品種一覧
タグ名: べと病耐性レタス
病害耐性 • 60品種で使用中
べと病耐性について
べと病耐性レタス
べと病とは
べと病は、卵菌類(Bremia lactucae)によって引き起こされるレタスの最重要病害です。卵菌類は一般的な糸状菌(カビ)とは分類学上異なるグループに属しますが、防除の考え方はカビ病に準じます。レタス栽培において最も経済的な被害が大きい病害の一つであり、国内外のすべてのレタス産地で発生が報告されています。
主な症状としては、葉の表面に不整形の淡黄色〜黄緑色の病斑が現れます。病斑は葉脈に沿って角張った形状(多角形斑)になることが多く、これがレタスべと病の特徴的な症状です。葉の裏面には白色のカビ状の胞子層が形成され、この裏面の外観が「べとべとした」印象を与えることが病名の由来とされています。
感染が進行すると、病斑が拡大して葉全体が黄変・枯死し、商品価値が著しく低下します。結球レタスでは外葉に発生した場合は剥いて出荷できることもありますが、結球内部まで感染が及ぶと出荷不能となります。リーフレタスやサニーレタスなどの非結球タイプでは、葉の病斑がそのまま外観品質を損なうため、被害が直接的に商品価値に影響します。
べと病は冷涼・多湿な条件で発生しやすく、特に気温10〜15℃の環境で感染が活発になります。春の曇雨天が続く時期や秋の冷え込みが始まる時期に被害が拡大する傾向があります。胞子は風や水しぶきによって飛散し、圃場内で急速に広がる特性を持っています。
べと病耐性の区分
レタスにおけるべと病耐性は、品種と菌のレース(系統)の組み合わせによって決まります。レタスのべと病菌(Bremia lactucae)には多数のレースが報告されており、特定のレースに対して耐性を持つ品種であっても、別のレースには感染する可能性があります。
品種選びで見落としがちなのが、このレースの問題です。種苗メーカーのカタログでは「べと病耐性」「BL 1-31対応」などの表記で耐性のレース範囲が示されていますが、べと病菌のレースは数年〜10年程度のスパンで新しいものが出現するため、過去に有効だった耐性が現在も有効とは限りません。
レタスのべと病耐性は、Dm遺伝子(Disease resistance to Bremia markers)と呼ばれる一連の抵抗性遺伝子によって制御されています。品種が持つDm遺伝子の種類と数によって、対応できるレースの範囲が決まります。種苗メーカーは新しいレースの出現に対応して、より多くのDm遺伝子を組み込んだ品種を育成し続けています。
まず押さえておきたいのが、べと病の耐性は「完全に防げる」ものではなく、「特定のレースに対して高い抵抗力を持つ」という性質のものであるという点です。新しいレースが出現すれば、既存の耐性品種がそのレースに感染するリスクがあります。産地によって事情が異なるので一概には言えませんが、地域で発生しているレースの情報を把握し、それに対応した品種を選ぶことが実践的な防除の第一歩です。
歴史と豆知識
レタスのべと病は、世界のレタス栽培地域で古くから知られた病害です。特にヨーロッパとアメリカの主要産地では経済的な被害が大きく、1940年代からべと病耐性品種の育成が本格的に始まりました。レタスのべと病耐性育種は、野菜のレース特異的耐性育種の中でも最も長い歴史を持つ分野の一つです。
日本国内では、レタスの作付面積が拡大した1970年代以降、べと病の被害が各地で報告されるようになりました。特に長野県や群馬県の高冷地産地では、冷涼な気候条件がべと病の発生に適しているため、べと病対策は栽培の基本的な課題として位置づけられてきました。
意外と知られていないのですが、レタスのべと病菌のレース分化は非常に速く、世界的に見ても数十のレースが報告されています。国内でも複数のレースが確認されており、地域や年次によって優勢なレースが異なる場合があります。このため、べと病耐性品種の「賞味期限」は他の作物の耐病性品種よりも短い傾向があり、品種更新のサイクルが速いのがレタス育種の特徴です。
豆知識として、べと病菌は種子伝染する可能性が指摘されています。感染した種子から菌が持ち込まれるリスクを低減するため、種苗メーカーは種子の生産段階でべと病の発生を厳しく管理しています。また、べと病菌の卵胞子は土壌中で長期間生存することができ、レタスの連作圃場ではリスクが蓄積する傾向があります。
べと病耐性の限界と注意点
べと病耐性品種を導入しても、それだけで完全にべと病を防げるわけではありません。以下の点に注意が必要です。
レースの変異による耐性崩壊のリスクが最大の課題です。べと病菌は遺伝的な多様性が大きく、新しいレースが頻繁に出現します。現在の耐性品種が対応していないレースが発生した場合、耐病性の効果が失われます。このため、地域で発生しているレースの最新情報を継続的に把握し、必要に応じて品種を更新していく姿勢が重要です。
環境条件による発病リスクの変動も重要です。冷涼・多湿条件が長期間続く年は、耐病性品種であっても発病することがあります。特に春先の低温多雨の時期や、秋雨前線が停滞する時期は、耐性品種であっても注意が必要です。
ここからが実際の栽培で差がつくところです。耐性品種に依存しすぎて防除の手を緩めると、耐性品種を栽培していても、別の病害(菌核病、灰色かび病、軟腐病など)の被害が表面化するケースがあります。べと病耐性品種の導入はあくまで総合防除の一要素であり、圃場全体の衛生管理と組み合わせて初めて効果を発揮します。
連作によるリスクの蓄積にも注意が必要です。べと病菌の卵胞子は土壌中で長期間生存するため、同一圃場でレタスを連作すると菌密度が高まり、耐性品種であっても発病リスクが上昇します。
防除のポイント
べと病の防除は、耐病性品種の利用を軸に、耕種的防除・化学的防除を組み合わせて行います。
耕種的防除として最も基本的なのは、圃場の通気性と排水性の確保です。べと病菌は多湿条件で胞子の飛散・感染が活発になるため、株間の風通しを良くし、土壌の排水性を高めることが発病リスクの低減につながります。適正な栽植密度の維持と、高畝栽培やマルチの利用が有効です。
輪作も重要な防除手段です。レタスの連作を避け、キク科以外の作物と2〜3年以上の間隔でローテーションを組むことで、土壌中のべと病菌密度を低下させることが期待できます。
罹病した植物残渣の圃場外への持ち出しも基本的な衛生管理です。べと病に感染した葉を圃場にすき込むと、卵胞子が土壌に残留して次作の感染源となるため、罹病残渣は速やかに除去・処分することが望ましいです。
化学的防除については、レタスに登録のある殺菌剤を発生初期に散布することが効果的です。予防的な散布が基本であり、発病後の治療効果は限定的です。散布のタイミングは、べと病の発生が予想される冷涼・多湿の時期に合わせて計画します。
※農薬の使用にあたっては、必ず最新の農薬登録情報を確認し、ラベルの記載内容に従ってください。
現場の声
レタス産地では、べと病対策に関してさまざまな実践事例が蓄積されています。
高冷地の主要レタス産地では、べと病菌の新レースの出現に対応して、2〜3年ごとに品種を更新するのが一般的な対応になっています。種苗メーカーの情報提供と産地の技術員による圃場調査によって、発生しているレースを特定し、それに対応した品種への切り替えが迅速に行われています。
暖地の冬春どり産地では、ハウス栽培におけるべと病対策として、換気管理の徹底が重要視されています。ハウス内は湿度が上がりやすいため、耐性品種を栽培していてもべと病が発生するケースがあり、品種選びと栽培管理の両方を見直すことで被害を軽減した事例が報告されています。
栽培現場では、「耐性品種を入れたから安心」と防除を怠った結果、耐性品種が対応していないレースの感染を受けて大きな被害を出したケースもあります。品種の耐性レースの範囲を正確に把握し、地域のレース情報と照合することの重要性が、こうした経験から認識されています。
産地によって事情が異なるので一概には言えませんが、べと病耐性品種の導入は防除コストの削減と品質の安定化に効果を発揮する一方で、レース情報への継続的な注意と品種更新への投資が必要な取り組みでもあります。
まとめ
べと病は、レタス栽培において最も経済的な被害が大きい病害であり、冷涼・多湿条件で発生して葉に多角形の黄色い病斑を形成します。耐病性品種の導入は最も有効な防除手段の一つですが、べと病菌のレースは新しいものが頻繁に出現するため、耐性品種の「有効期限」に注意が必要です。
品種選びにあたっては、べと病耐性のレース対応範囲を確認し、自地域で発生しているレース情報と照合することがポイントです。耐性品種の利用に加え、圃場の通気性・排水性の確保、輪作、適期の薬剤防除を組み合わせた総合的な防除体系を構築することが、安定したレタス生産につながります。
タグ情報
基本情報
- タグ名
- べと病耐性レタス
- 種別
- 病害耐性
使用状況
- 関連品種数
- 60品種
- 関連作物数
- 1作物
- 関連メーカー数
- 12社
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