果実・収量特性

多収性イチゴのイチゴ品種一覧 全16種類

多収性イチゴ 多収性とは——収量を左右する特性の仕組み 多収性とは、単位面積あたりの収穫量が多い特性のことです。イチゴの場合、10a(約1反)あたりの商品果収量(出荷できる品質の果実重量)が指標となります。農研機構育成の「夏のしずく」は「寒

多収性イチゴについて

多収性イチゴ

多収性とは——収量を左右する特性の仕組み

多収性とは、単位面積あたりの収穫量が多い特性のことです。イチゴの場合、10a(約1反)あたりの商品果収量(出荷できる品質の果実重量)が指標となります。農研機構育成の「夏のしずく」は「寒冷地や高冷地における夏秋どり栽培では3t/10aの商品果収量が見込める」と記載されており、この数値が多収性の一つの目安になります。

多収性を生み出す要因はいくつかあります。第一に、連続出蕾性(花芽が連続して着く性質)の高さです。「恋みのり」(農研機構育成)は「連続出蕾性に優れた多収品種」とされており、収穫のピークが平準化されることで、長期間にわたって安定した出荷が可能です。第二に、花房あたりの着果数と果実の揃い(秀品率)の高さです。揃いが良ければ廃棄果が少なく、商品果収量が増えます。第三に、草勢の維持力です。長期にわたって活発に生育できる品種は、収穫期間を通じて収量を落としにくい傾向があります。

品種データを見ると、章姫は「早期収穫が可能で収量性の高い品種」、さがほのかは「果形が良く収量が多い品種」とされています。また、農研機構育成の「af01」は「普通促成栽培ではとちおとめより2割程度多収」と記載されており、具体的な比較対象をもとにした多収性が示されています。

多収性の魅力

多収性品種を選ぶ最大のメリットは、同じ栽培面積から得られる出荷量を増やし、売上を底上げできる点です。特に固定費(施設・設備費・労働費)が一定の施設栽培では、単収が高いほど収益率が改善します。

連続出蕾性が高い品種は、収穫作業が特定の時期に集中しにくく、収穫ピークを平準化できます。これは労働力の分散という観点から重要で、収穫に必要な人員を一時的に大量確保するコストを抑えられる可能性があります。

農研機構育成の「恋みのり」は「収穫・調製作業の省力化が可能であることから、大規模施設生産に適しています」と記載されています。多収性は規模拡大戦略との相性が良い特性であり、経営規模を拡大したい生産者にとって優先度の高い特性の一つです。

消費者・市場ニーズ

多収性という特性は、消費者に直接訴求するものではありませんが、市場全体での安定供給という観点から重要な意味を持ちます。

安定した量を継続的に出荷できる産地・生産者は、量販店や業務用ユーザーからの信頼を得やすくなります。「欲しいときに必要な量が入らない産地」よりも、「数量が安定している産地」が長期取引先として選ばれる傾向があります。多収性品種を活用することで、契約栽培や定期取引の維持がしやすくなるという間接的なメリットがあります。

業務用途(製菓・外食・加工)では、原料として一定量のイチゴを継続的に調達する必要があります。そのため、多収性品種を栽培する生産者は業務用ユーザーから重視される存在になります。農研機構育成の「af01」は「業務需要に対応した良食味」品種とされており、多収性と業務用品質の両立を意識した育種が進んでいます。

栽培のポイント

ここからが実際の栽培で差がつくところです。多収性品種は潜在的な収量が高い反面、その特性を引き出すためには適切な栽培管理が必要です。

草勢管理が多収性維持の鍵となります。連続して収穫を続けるためには、植物体の生育力(草勢)を収穫期間中ずっと維持することが重要です。農研機構育成の「恋みのり」は「冬期の草勢はかなり強く」とされていますが、一方で「過度の窒素飢餓状態により芽なし株が発生しやすい」という注意点も記載されています。施肥管理で窒素量を適切に維持することが、安定した多収を実現するうえで欠かせません。

花数の多い品種では摘果作業が必要になる場合があります。章姫の品種説明には「摘果をすると大玉率が上がります」と記載されており、多収品種であっても出荷規格に合わせた摘果管理が品質向上につながります。

病害虫防除も多収を維持するうえで重要です。病害によって葉が傷むと光合成能力が低下し、果実の充実に影響します。特に連続出蕾性の高い品種は、長期間にわたって良好な生育環境を維持することが多収の前提条件となります。

育苗期の管理も多収性に影響します。農研機構育成の「恋みのり」の留意点には「過度の窒素飢餓状態により芽なし株が発生しやすいので、育苗から本圃定植後の栽培期間を含め、十分な草勢の確保ならびに肥効の維持に留意してください」と記載されています。育苗段階での管理が本圃での収量に影響することを念頭に置くことが大切です。

品種選びのコツ

多収性イチゴの品種を選ぶ際には、以下の観点から複合的に評価することが重要です。

  • 連続出蕾性の高さ:花芽が途切れず連続して着くかどうか。農研機構育成の恋みのりのように「連続出蕾性に優れ、収穫ピークの平準化が可能」と明記された品種は、長期間安定した出荷に向いている
  • 秀品率の高さ:多く収穫できても、規格外が多ければ商品果収量は増えない。恋みのりは「果実の揃いに優れ秀品率が高い」と記載されており、収量と秀品率の両立が確認できる
  • 草勢の強さと維持力:冬期・厳冬期の低温条件下でも草勢を維持しやすい品種かどうか。施設の加温コストにも影響する
  • 早晩性との組み合わせ:多収品種の中でも早生・晩生の差があり、出荷時期と市場価格の動向を考慮して選ぶ
  • 収量と食味のバランス:多収型品種は高糖度・高食味品種と特性が競合することがある。販売先の要求品質と収量目標を合わせて判断する

産地によって事情が異なるので一概には言えませんが、多収性一辺倒で品種を選ぶより、収量・食味・病害耐性のバランスを重視した品種選定が中長期的な安定経営につながります。

市場動向とこれから

農研機構と民間種苗メーカーの共同育種では、多収性と品質の両立を目指した品種開発が活発に進んでいます。af01は「普通促成栽培ではとちおとめより2割程度多収」であり、さらに良食味・機能性成分の高さも備えた品種として注目されています。

大規模施設生産の普及とともに、多収性品種へのニーズはさらに高まると見られます。ハウス単棟での生産から大型連棟ハウスへの規模拡大が進む中で、単収の高さが経営の優劣を左右する場面が増えています。

夏秋どり栽培の拡大も多収性品種の注目度を高めています。農研機構育成の「夏のしずく」や「夏の輝」などの四季成り性品種は、従来のイチゴの端境期である夏秋期に収穫できるため、年間を通じた安定出荷体制の構築に貢献します。夏秋期のイチゴ単価は冬春期と比較して高くなる傾向があり、多収と高単価の相乗効果が期待できる作型として関心が高まっています。

まとめ

多収性イチゴは、単収の向上によって収益性を高めたい生産者にとって重要な品種特性です。連続出蕾性・秀品率・草勢維持力の高さが多収性を支える要因であり、施肥管理・草勢管理・病害防除の総合的な栽培管理がその特性を引き出す鍵となります。

品種選びでは、多収性単独ではなく、食味・病害耐性・出荷時期などの特性とのバランスを見ながら自分の栽培条件と販売先に合った品種を選ぶことが重要です。多収性イチゴの品種一覧は、タグページからご確認いただけます。

16品種 表示中
みくのか

みくのか

三好アグリテック株式会社

多収性で果実が硬く、収穫時のロス軽減や輸送性に優れる品種です。 ランナーの発生率も良く、初めてでも安心して栽培できます。 甘さ 5.0 酸味 2.0 硬さ 5.0

やよいひめ

やよいひめ

三好アグリテック株式会社

一般的に味が落ちやすい春先に,この品種の優れた特性が維持される事から名づけられました。 淡紅色の果実は、糖度が高く、糖度、酸味のバランスが良く、大果です。 甘さ 4.0 酸味 4.0 硬さ 5.0 3月以降の高温期でも、果肉が硬い為、輸送性に優れています。収量性の高い品種です。 とちおとめより低い温度で管理でき、花弁の離脱がやや劣るので、灰色カビ病に注意が必要です。

af01

af01

国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構

品種詳細 「af01」は、青木フルーツ株式会社との共同育成による促成栽培向け品種です。近年需要が拡大しているジュース、ケーキ等に利用される業務需要に対応した良食味で、アスコルビン酸等の健康機能性成分含量が高く、加工時に不要となる蕚(がく)の除去に関わる調製作業の省力化が可能な品種です。また、四季成り性を有し、暖候期においても花芽分化が安定しており、収穫期間の延長と安定生産が期待できます。 ■主要特性 ・四季成り性を有し、促成栽培において収穫期間の延長と安定生産が期待できます。早晩性は「とちおとめ」並で、普通促成栽培では「とちおとめ」より2割程度多収です。 ・果実の平均果重は15.8gと「とよのか」、「さちのか」よりも大きく、果形は短円錐~円錐、果皮色は赤色、果肉色は淡赤~赤色ではやや鈍~中。果実は「さちのか」並に硬く、糖度も「さちのか」並に高く、香りの強さは中で、食味はやや良。また、総ポリフェノール含量やアスコルビン酸含量が高く、高い抗酸化活性を有します。 ・草姿は立性で草勢が強く、冬季の草勢管理が容易です。また、果房伸長性が優れるため、着色を良くするための作業が省力化できます。蕚の離脱性が高く、調製作業の省力化が可能です。 ・炭疽病、萎黄病には罹病性です。また、うどんこ病については真性抵抗性でないため、育苗期を含め予防的な防除に努めてください。 ■適応地 全国の促成栽培地域。

MA16-18-06

MA16-18-06

国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構

株式会社ミヨシとの共同育成による促成栽培向け品種です。草勢の強い多収品種で、外観や食味に優れた大玉な果実です。三好アグリテック株式会社から「ほしうらら」と言う名前(商標)で苗が販売されています。 ■主要特性 ・三好アグリテック株式会社育成の種子親に農研機構育成の花粉親AN02(促成栽培用13品種を元集団とする循環選抜第3次改良集団の自殖第1世代である強草勢・大果系統)を交雑した実生集団から選抜した促成栽培向き品種です。 ・冬期の草勢維持が容易で収穫期間内のランナー発生や展開葉数が少ない省力的品種です。 ・果形はやや短い円錐形、果皮色は鮮やかな赤で光沢があり外観が優れ、果肉の色は淡赤色で内部まで着色します。 ・香りはやや強く、特有のコクがあり食味は優れます。

そよかの

そよかの

国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構

一季成り性のイチゴ品種「そよかの」は寒高冷地の半促成栽培、露地栽培に適しており、多収性で商品果率が高い。うどんこ病レース0に対して抵抗性を有するが、萎黄病に対しては罹病性である。 ■主要特性 「そよかの」は、多収性で極晩生の「豊雪姫とよゆきひめ」を母とし、食味や果実硬度に優れ、うどんこ病レース0抵抗性をもつ「さちのか」を父とした交配を2008年に行い、その中から選抜した極晩生の一季成り性品種である。商品果収量は「北の輝きたのかがやき」より多く「豊雪姫」と同程度である。寒冷地や高冷地における低温カット栽培などの半促成栽培や露地栽培に適する。 果形は円錐形で揃いに優れ、果皮色は明るい赤色で、収穫後の果皮色の黒変は見られない。果実は「北の輝」より柔らかく「豊雪姫」よりは硬く、果実糖度は中程度、酸度はやや高く、食味は中~やや良である。 東北地方等で発生がみられるうどんこ病レース0に対して抵抗性があるが、萎黄病いおうびょうに対しては罹病性。 ■栽培適地 東北地方などの寒冷地や高冷地

いちご中間母本農1号

いちご中間母本農1号

国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構

'いちご中間母本農1号'は商品果平均果重が25~30gの極大果性で交配親として高い能力を有する。本中間母本は早生で休眠が浅く、厳冬期の生育や食味が安定し、収量性も高く、促成栽培用極大果イチゴ実用品種育成に利用できる。 ■主要特性 1. 平成2年に'アイベリー'及び'とよのか'からそれぞれ自殖3回後に選抜した大果で厳冬期の草勢に優れる育成系統間で交配し、得られた実生から目標に合致した'9081-24'を平成7年に選抜し、'久留米54号'の系統名を付した。平成10~11年に極大果性の遺伝性について検討した結果、促成栽培用極大果品種育成の交配親として有用と評価され、平成12年8月に'いちご中間母本農1号'として登録された。 2. 平均果重は20g程度、商品果平均果重は25~30gで、いずれも'とよのか'の2倍、極大果品種'アイベリー'の1.5倍程度である。 3. 果重が'とよのか'並の一般促成用品種・系統との交配実生集団において、従来の極大果性品種'アイベリー'と比較して、極大果を着生する個体の出現率が高く、極大果性の交配親として高い能力を有する。 4. 植物体は大型で草勢が極めて強く、草姿は立性である。開花日は'とよのか'より1~2週間遅い。休眠は極めて浅い。促成栽培における収量は'とよのか'の1.5倍程度と多収である。果実は円錐形で乱れが少なく、果皮色は淡赤、果肉色は淡橙、空洞は小さい。糖度は高く、肉質は緻密で、食味は良好である。果実硬度が低く、流通適性は劣る。

夏の輝

夏の輝

国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構

夏から秋にかけて開花結実する性質を持ち、通常の促成栽培用品種が収穫できない時期にイチゴを収穫することができます。糖度のわりに酸味が少なく、食味も優れています。主要な病害である萎黄病に強く、うどんこ病、炭疽病にも比較的強く、栽培しやすい品種です。 ■主要特性 1. 「夏の輝」は、暖地の夏から秋の高温・長日条件下でも連続的に開花・結実する性質を持ち、夏秋どり栽培に適します。 2. 夏季でも旺盛な生育を示し、既存の四季なり性品種と比較すると、商品となる果実の収量(商品果収量)は「サマーベリー」より多く、特に秋季(8月~10月)の商品果収量が多い特徴があります。 3. 果実の甘さを示す糖度は「サマーベリー」と同程度でやや高く、酸度はやや低く、糖酸比は高く、香りは中、食味は良好です。果実の硬さ(硬度)は「サマーベリー」と同程度です。 4. 萎黄病に対しては強度の抵抗性、うどんこ病に対しては中程度の抵抗性、炭疽病に対しては「とよのか」と同程度の中程度抵抗性を示し、減農薬栽培も可能と考えられます。 5. パッドアンドファン冷却8)やクラウン(株元の短縮茎)部温度管理技術など高度な環境制御を導入した太陽光利用型植物工場における栽培体系に、本品種を用いた夏秋どり栽培と一季成り性品種を用いた促成栽培(冬~春に収穫)を組み合わせることで、周年栽培も可能となります。

ペチカほのか

ペチカほのか

株式会社ホーブ

登録番号 第26016号 タイプ:四季成性品種 商標名:夏瑞/なつみずき 食味:甘みと香りが強く、みずみずしい 外観:きれいな円錐形、光沢が強い 特性:大果で収量性や秀品率が高い 用途:生食用、業務用

ペチカエバー

ペチカエバー

株式会社ホーブ

登録番号 第26015号 タイプ:四季成性品種 商標名:コア 食味:しっかりとした酸味 外観:きれいな円錐形 特性:大果で収量性や秀品率が高い 用途:業務用

ほしうらら

ほしうらら

三好アグリテック株式会社

三好アグリテック株式会社育成のオリジナル栄養系品種第3弾。 山梨県北杜市から望むことのできる満天の星空のように輝いてほしいという思いと、春先のうららかな季節にも力を発揮できる品種であることから「ほしうらら」と名付けました。 草勢の強い多収品種で、外観や食味に優れた大玉な果実です。 甘さ 4.0 酸味 2.0 硬さ 3.0 農研機構とミヨシの共同育成品種

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