病害耐性

斑点病耐性の中玉トマト品種一覧 全8種類

斑点病とは 斑点病は、Stemphylium lycopersici(ステムフィリウム・リコペルシキ)を病原菌とする糸状菌病害で、トマトの葉・茎・果実に被害を与えます。カタログ上では「LS(Leaf Spot)」または「斑点病(LS)」の略

斑点病耐性について

斑点病は、Stemphylium lycopersici(ステムフィリウム・リコペルシキ)を病原菌とする糸状菌病害で、トマトの葉・茎・果実に被害を与えます。カタログ上では「LS(Leaf Spot)」または「斑点病(LS)」の略号で耐病性が表記されることが多いです。

主な症状は、葉に現れる小さな褐色〜黒褐色の病斑です。初期には葉の下葉から発生し、多湿条件や過密な栽培環境で葉全体に広がります。病斑が拡大・結合すると葉が早期に黄変・落葉し、光合成能力が低下します。果実への直接的な被害(表面の病斑)も起きることがあり、商品価値の低下につながります。

斑点病は湿度が高く温暖な条件で発生しやすく、施設栽培での換気不足・密植・灌水過多が発病リスクを高めます。降雨の多い時期や台風後など、急激に湿度が上がる条件でも発生しやすいため、露地・雨よけ栽培でも注意が必要です。

葉かび病(Cladosporium fulvum)とは別の病害です。発生部位・病斑の形状・発生条件は似ている部分もありますが、病原菌が異なるため、カタログで「葉かび病(Cf)」と「斑点病(LS)」の耐病性表示が別々になっていることを確認する必要があります。

斑点病耐病性の区分

斑点病への耐病性は、カタログ上では「LS」「斑点病(LS)」と略記されます。葉かび病の「Cf(例: Cf-9)」との混同に注意が必要です。

品種選びで見落としがちなのが、斑点病と葉かび病への耐病性がそれぞれ別に設定されているという点です。葉かびへの耐病性(Cf-9等)があっても、斑点病(LS)への耐病性は別に確認が必要です。品種データを確認すると、斑点病耐病性と葉かび病耐病性を両方持つ品種も多く見られます。

HR・IRの見方

HR(高度耐病性)・IR(中程度耐病性)の概念はトマトの斑点病耐病性にも適用されます。ただし、カタログでは「斑点病に耐病性」「斑点病に抵抗性」という表記が混在していることがあり、耐病性レベルの詳細はメーカーに確認するか、栽培実績を参照することが有効です。

品種データの中でも、中玉トマトにおける斑点病耐病性の記述は多く確認できます。タキイ種苗・サカタのタネ・中原採種場など主要メーカーの中玉品種に斑点病(LS)への耐病性が組み込まれているケースが見られます。

斑点病が問題化した背景

意外と知られていないのですが、施設トマトにおける斑点病の被害は、栽培の高集約化・長期化が進むにつれて問題意識が高まりました。換気が制限されやすい冬期の密閉ハウス内では湿度が上昇しやすく、斑点病菌が繁殖しやすい環境になります。

また、灰色かび病(ボトリチス)・葉かび病・斑点病など複数の糸状菌病害が同時に発生するケースが多く、これらへの総合的な防除体制の中で斑点病耐病性品種の導入が有効な選択肢の一つとして定着しています。

萎凋病・根腐萎凋病耐病性・葉かび病・斑点病・ネコブセンチュウなど複数の病害虫への耐病性を一品種に集約した「複合耐病性品種」の開発は、施設トマト育種の重要な方向性となっています。中玉トマトの主要品種でも、この傾向は顕著で、複数の耐病性を組み合わせた品種が多数登場しています。

耐病性の限界と注意点

斑点病耐病性品種を導入しても、それだけで完全に防除できるわけではありません。

ここからが実際の栽培で差がつくところです。栽培環境の管理が耐病性品種の効果を引き出す大前提です。湿度が極端に高い環境が続くと、耐病性品種であっても発病するリスクがあります。十分な換気・適正な栽植密度・適切な灌水量の管理が、耐病性の効果を最大化するための環境条件です。

生育後半の葉の老化や根の衰弱が進むと、植物体の一般的な抵抗力が低下し、病害に対する感受性が高まります。長期栽培向き中玉トマトでは特に、栽培後半の植物体の活力維持が病害対策の上でも重要です。

殺菌剤の使用を組み合わせる場合は、耐性菌(薬剤耐性菌)の発生を防ぐためにローテーション散布を行うことが基本です。同じ有効成分を連用することで耐性菌が出現し、防除効果が低下するリスクがあります。

防除のポイント

斑点病の防除は、耐病性品種の利用を軸に、耕種的防除と化学的防除を組み合わせることが基本です。

耕種的防除

  • 換気管理: 施設内の湿度を下げることが最重要の予防策です。天窓・側面換気窓を活用して空気を流通させ、葉面が過湿にならないよう管理します
  • 適正な栽植密度: 過密植は通気性を悪化させ、斑点病の発生リスクを高めます。品種の推奨株間・条間を守ります
  • 摘葉: 下葉の早期老化した葉・病斑が出た葉は積極的に除去し、発生源を減らします。摘葉後は傷口からの感染を防ぐため、乾燥した条件で行い、必要に応じて殺菌剤を塗布します
  • 灌水管理: 灌水過多を避け、葉面の過湿を防ぎます。灌水タイミングは午前中が望ましく、夕方以降の過湿を避けます

化学的防除

  • 登録のある殺菌剤を予防的に散布します。特に湿度が高くなりやすい梅雨時期・秋雨の時期に合わせた散布計画が有効です
  • 抵抗性菌の出現を防ぐため、異なる系統の殺菌剤をローテーションで使用します

※農薬の使用にあたっては、必ず最新の農薬登録情報を確認し、ラベルの記載内容に従ってください。

現場での活用

産地において斑点病耐病性を持つ中玉トマト品種への切り替えは、農薬散布回数の削減(減農薬栽培の実現)という観点でも評価されています。品種データの中にも「葉かび病(Cf9)、斑点病(LS)の耐病性をもっているため、減農薬栽培が可能」という記述が確認できます。

農薬散布回数の削減は、コスト削減だけでなく、作業の安全性・環境負荷の低減・GAP(農業生産工程管理)への対応という観点からも意義があります。特に、産地ブランドとして「減農薬栽培」「安心・安全」を訴求したい場合、耐病性品種の活用は重要な基盤となります。

斑点病耐病性は、他の複合耐病性と組み合わせて評価することで、総合的な病害管理体系の構築につながります。産地の病害発生状況に応じて、何の病害への耐病性を優先するかを明確にしてから品種を選ぶことが実用的な方針です。

まとめ

斑点病はStemphylium lycopersici(LS)によって引き起こされる糸状菌病害で、施設栽培・露地栽培の両方で発生リスクがあります。葉かび病(Cf)とは別の病害であり、カタログで耐病性を確認する際は「LS」の記載を個別に確認することが重要です。

耐病性品種の導入は斑点病防除の有効な手段ですが、十分な換気管理・適正な栽植密度・摘葉などの耕種的防除と組み合わせることで効果が最大化されます。減農薬栽培を目指す産地では、複合耐病性品種の活用が防除体系の基盤となります。

斑点病耐病性を持つ中玉トマトの品種一覧は、ミノリスの品種検索からご確認いただけます。大玉トマトミニトマトでも斑点病耐病性は重要な選定基準であり、それぞれの品種ページで耐病性情報を確認できます。

8品種 表示中
TYフルティカSC

TYフルティカSC

タキイ種苗株式会社

トマト黄化葉巻病耐病性をもち黄変果になりにくい!高糖度中玉トマト! ■特長 ・平均糖度7~8度と高く安定し、果皮が薄くて口の中に残りにくい。 ・果重40~50gの中玉で、裂果や黄変果が少ない。 ・1花房当たりの花数は8~12花で、シングル果房が中心。 ・草勢が旺盛で、吸肥力が持続するので長期栽培も可能。 ・トマト黄化葉巻病(Ty-3a型)耐病性をもつほか、トマトモザイクウイルス(Tm-2a)、根腐萎凋病(J3)、葉かび病(Cf9)、斑点病(LS)、サツマイモネコブ線虫(N)に複合耐病性をもつ。 ■栽培の要点 ・活着後は潅水をできるだけ控え、根を深く張らせる。 ・元肥のチッソ過多を避け、1段目を確実に着果させて異常主茎を防ぐ。 ・追肥は草勢を見ながら、4段花房開花時から始めるのが目安。 ・長期栽培では冬季の着果数を制限し、草勢の維持を図る。

ルイ60

ルイ60

タキイ種苗株式会社

栽培容易な中玉トマト! 果重60gで果ぞろい良好! ■特長 ・果重は60g程度の中玉トマトで、果色は鮮赤色。熟期は早生。 ・果形は球~腰高で、子室数は2~3室。 ・糖度6~7度で適度の酸味があり、食味良好。 ・1果房当たりの着果数は8果程度で、果ぞろいが特によく、秀品率が高い。 ・トマトモザイクウイルス(Tm-2a型)、萎凋病レース1(F1)およびレース2(F2)、葉かび病(Cf9)、斑点病(LS)、サツマイモネコブ線虫(N)に複合耐病虫性。 ■栽培の要点 ・異常主茎の発生を抑えるため、元肥は少なめとする。 ・活着後は潅水をできるだけ控え、根を深く張らせる。 ・追肥は草勢を見ながら、4段花房開花時から始めるのが目安。 ・長期栽培では冬季の着果数を6~8果に制限し、草勢の維持を図る。

シンディースイート

シンディースイート

株式会社サカタのタネ

甘酸のバランスがよい濃厚な味。色回りなど外観が優れる中玉トマト ■特性 1.萎凋病(F:R-1)、ToMV(Tm-2a型)、斑点病に抵抗性で根腐萎凋病に耐病性、ネマトーダに耐虫性の中玉トマト。 2. 草勢は中程度。節間がやや伸びる。裂果の発生が少なく、秀品率が高い。 3. 果重は約35〜40g。果実はテリがあり、果色が鮮やか。甘みと酸味のバランスがよい。 4. 下段はシングル花房で、上段からダブル花房となり、1花房当たり10〜15果程度着果する。 ■育苗・育苗管理 播種床の地温は25~28℃とし、播種後14日位の本葉1.5枚時に移植を行います。葉と葉が接触するころに苗広げを行い、育苗面積を十分にとります。肥料不足のときは液肥などで追肥をします。 ■定植準備 作付け前に圃場の土壌診断を行い、適正な肥料設計を立てます。元肥量は圃場により異なりますが、10a当たり成分量で窒素10~12㎏、リン酸12~15㎏、カリ10~15㎏を標準とします。 ■定植および定植後の管理 定植は第1花開花前を基本とし、若苗定植が向いています。灌水は、1段果実肥大期ごろを目安に行いますが、異常茎の発生に注意します。追肥は3段花房開花ごろを目安に草勢を見てします。 ■栽培上の注意点 ・ 草勢が初期ややおとなしく、早生で着果性がよいので、やや早めの灌水、追肥による樹勢の維持を心がけます。 ・ 温度管理は最低夜温10~11℃で管理し、マルハナバチを使用する場合12℃程度を確保するようにします。従来の品種と比較して花粉の稔性はよいです。 ・ 裂果に強く、果肉が厚く、日持ち性がよいので、赤熟収穫を心がけます。 ・ 抑制栽培などの高温期の栽培や多肥栽培では、花数が多くなり、小玉傾向となることがあるので、状況によっては花数を制限します。 ・ 節間はやや伸びるので、長段栽培では斜め誘引を行います。 ・ 低温期の越冬長段どり栽培などでは、ダブル花房となり第1果がやや奇形果となりやすいので摘果します。また、ホルモン処理をやや薄めの濃度で行うようにします。

フルティカ

フルティカ

タキイ種苗株式会社

食味を追求した中玉トマト! 葉かび病にも強い! ■特長 ・糖度が平均7~8度と高く、果肉が滑らかで、果皮が口の中に残りにくい。 ・果重は40~50g程度の中玉で、裂果が少ない。 ・1花房当たりの花数は8~12花で、シングル果房が中心。 ・草勢が強く、吸肥力が持続するので長期栽培も可能。 ・葉かび病(Cf9)、斑点病(LS)の耐病性をもっているため、減農薬栽培が可能。その他、トマトモザイクウイルス(Tm-2a型)、サツマイモネコブ線虫(N)に複合耐病虫性。 ■栽培の要点 ・異常主茎の発生を抑えるため、元肥は少なめとする。 ・活着後は潅水をできるだけ控え、根を深く張らせる。 ・追肥は草勢を見ながら、4段花房開花時から始めるのが目安。 ・長期栽培では冬季の着果数を6~8果に制限し、草勢の維持を図る。

スーパーミディトマト

スーパーミディトマト

中原採種場株式会社

甘さ抜群、フルーツ感覚の中玉トマト!! 特性 ●玉揃いに優れ、高い糖度と適度な酸味で食味良好な中玉トマト。●草勢は中強、節間はやや長く、耐暑・耐寒性が強い。●熟期は極早生、果重は40g前後によく揃う。●果色は濃い赤色で美しく、1果房当たりの着果数は8〜10果程度。●TMV(Tm-2a)、萎凋病レース1(J1)、ネコブセンチュウ、斑点病に耐病性。

試交TY903

試交TY903

株式会社むさしのタネ

黄化葉巻耐病性! 大きめな中玉トマト 【特性】 〇果皮が薄く、食味良好。 〇高温や水分過多による裂果に注意。 〇果房は6果平均でシングルに近い。 〇熟期は中早生。周年利用可能。 〇急な草勢低下はほとんどないが、老化苗の定植や極端なしめ作りは避け追い上げて作る。 【病害虫抵抗性】 〇TYCLV(Ty3a+Ty2)、青枯病、葉カビ病耐病性 〇ToMV(Tm-2a)、萎凋病(R1、R2)、半身萎凋病、斑点病抵抗性 〇ネマ耐虫性

こいあじ中玉

こいあじ中玉

サントリーフラワーズ株式会社

濃い味わいが凝縮された中玉トマト ■特長 ・「こいあじ」のおいしさはそのままに、プランターで作りやすく改良された中玉トマト。 ・糖度:7~9度 ・果形:球形 ・果重:40~50g ・収穫数目安:40~50個程度 ・栽培適性:プランター向け、畑向け ■耐病性 ・ToMV(Tm-2a型)、萎凋病(レース1)、半身萎凋病、斑点病、葉カビ病 ■栽培の要点 ・完熟すると実割れしやすくなりますので、やや早めに収穫します。

ルビーノ

ルビーノ

サントリーフラワーズ株式会社

どっさり実る! ■特長 ・人気の小〜中玉サイズがごろごろ実る、とにかく作りやすい安定の品種。 ・適度な甘さと酸味、フレッシュな香りが特徴。 ・果形:球形 ・果重:20〜30g程度 ・収穫数目安:80〜120個程度 ・栽培適性:プランター向け、畑向け ■耐病性 ・ToMV(Tm-2a型)、萎凋病(レース1)、根腐萎凋病、半身萎凋病、葉カビ病、斑点病、ネマトーダ(耐病性) ■栽培の要点 ・病気に強く、プランター栽培から露地植えまで幅広い環境に適しています。

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