つくねいも
つくねいもとは
つくねいもは、ヤマノイモ科ヤマノイモ属に属するヤマノイモの品種群の一つで、丸くにぎりこぶし状または扁平な塊状のイモが特徴です。「大和芋」「丹波山の芋」「丹波大和芋」「関西の山の芋」などとも呼ばれ、特に関西地方で古くから栽培・消費されてきた品種群です。
細長く伸びるナガイモとは異なり、つくねいもはコロコロとした塊状に仕上がります。「つくね」とは一般的に丸くこねてまとめた食品を指す言葉で、このイモの丸みを帯びた形状に由来した呼称とされています。
ヤマノイモ属の中でも、つくねいもは粘りが最も強いグループの一つとされており、すりおろすともちのような強い粘性が得られることが最大の特徴です。この強い粘りは、とろろ汁・山芋鍋・お好み焼きのつなぎ・贈答用などの用途で高い評価を受けています。
つくねいもの品種
ミノリスに登録されているつくねいも品種は、それぞれ異なる特性を持っています。
株式会社佐藤政行種苗の「山の芋」は、丸い形でもちのような強いねばりが特徴です。ヤマイモの中では芋自体が固く粘りが際立って濃いとされ、揚げ物や煮物にも適します。関西地方ではお正月の贈答にも使われており、別名つくね芋・大和芋・丹波山の芋とも呼ばれています。「丹波山の芋」の別名が示す通り、丹波地方との結びつきが深い品種群です。
トキタ種苗株式会社の「むさし丸」(販売終了)は、関西地方での定番のつくねいもとして、肥大能力が高く多収で秀品率が高いことが特長です。きめ細かな肉質ですりおろした時の粘りはかなり強く、内部品質の良い品種と紹介されています。ソフトボール大の芋が地表近くで肥大するため、女性でも掘り取りが楽なことも実用的なメリットです。水田などの転作にも適するとされています。
丸種株式会社の「新丹丸」は栄養豊富な京野菜として位置づけられており、とろろの粘りが格段に強く食味は最高とされる品種です。さまざまな料理に利用できる汎用性の高さが特長です。
つくねいもと他のヤマイモとの違い
意外と知られていないのですが、スーパーマーケットで「山芋」として販売されているものの多くはナガイモであり、つくねいも(大和芋)は比較的入手しにくい存在です。両者の主な違いをまとめると以下の通りです。
ナガイモは細長く(50〜80cm)、すりおろすと比較的さらっとした液状のとろろになります。対してつくねいも(大和芋)は塊状で、すりおろすともちのような強い粘りを持つとろろができます。加熱調理での使い方も異なり、つくねいもは強い粘りをいかした料理(山芋餅・揚げ物のつなぎ等)に特に向いています。
栽培面では、つくねいもはナガイモの深い掘り取りとは異なり、地表近くで塊状に肥大するため比較的掘り取りが容易な傾向があります。ただし、土壌が固い場合は形状が変形しやすく、規格品の割合に影響することがあります。
つくねいもの市場・用途
つくねいもは、特に関西地方での需要が旺盛な品目です。「とろろいも」と言えばつくねいもを指す文化が関西地方に根強く残っており、ナガイモとは別の市場が形成されています。
贈答用途としての評価が高く、特に「山の芋」に代表される丹波大和芋は年末年始の高級贈答品として需要があります。産地によって事情が異なるので一概には言えませんが、丹波地方産のブランドイモは市場での評価が高く、単価が高水準で取引されることがあります。
外食・中食分野では、お好み焼き・山芋鍋・月見とろろなどの用途でつくねいもの粘りの強さが重宝されています。業務用では強い粘りがつなぎとして機能するため、食感や仕上がりの品質に影響します。
栽培のポイント
つくねいもの栽培は、ナガイモとはいくつかの点で異なります。
塊状に肥大する性質から、地表付近の土壌条件が品質に大きく影響します。石や礫が多い圃場では形状が変形しやすいため、植え付け前に土壌を十分に耕し、異物を取り除いておくことが大切です。
ここからが実際の栽培で差がつくところです。「むさし丸」(トキタ種苗、販売終了)はソフトボール大のイモが地表近くで肥大するとされており、掘り取り深さが浅い点がナガイモとの大きな違いです。水田転作にも適するとされる品種であれば、水稲後作としての活用も検討できます。
つくねいもは種イモの確保が重要な課題の一つです。種イモ(切り芋・木子)は無病・健全なものを選び、適切な方法で萌芽処理を行ってから植え付けます。種イモの品質が最終的なイモの収量・品質に直結します。
病害としては炭疽病・葉渋病への対策が基本です。排水管理を徹底し、過湿を避けることが病害の発生抑制につながります。また、連作は避け、輪作体系を組むことが長期的な安定生産の土台となります。
栽培適地は関西地方(特に丹波地方)が有名ですが、産地の気候条件(適度な降水量と夏の高温に対する耐性)を把握したうえで、自地域での適性を確認することが重要です。
品種選びのコツ
つくねいもの品種選びでは、以下の観点を合わせて確認することが重要です。
- 粘りの強さ: 品種によって粘りの程度に差がある。贈答用・高級志向では特に強い粘りを持つ品種が評価される
- 肥大の特性: 地表近くで肥大するか、やや深めかによって掘り取り作業の難易度が異なる
- 形状の揃いやすさ: 塊状品種は土壌条件で形状が変わりやすいため、圃場選びが重要
- 栽培地域の適性: 関西地方を中心に栽培されてきた品種は、他地域での適応性を試作で確認することが望ましい
- 種イモの確保: 流通量がナガイモより少ない品種も多い。種苗メーカーへの早めの問い合わせが有効
- 用途との一致: とろろ専用か、加熱調理・贈答用かによって求める品質が変わる
つくねいもはナガイモより市場単価が高くなる傾向がありますが、栽培の難易度や種イモの調達コストも踏まえた経営判断が必要です。
まとめ
つくねいもは、丸くにぎりこぶし状・扁平塊状の形状とヤマノイモの中でも特に強い粘りを特徴とする品種群です。大和芋・丹波山の芋などとも呼ばれ、関西地方での需要が特に旺盛な品目です。
すりおろした際のもちのような粘りはとろろ汁・加熱調理・贈答用途に適しており、ナガイモとは異なる市場・用途での強みがあります。栽培面では地表近くで肥大するため掘り取りが比較的楽な品種もありますが、土壌条件による形状変化と種イモの確保が主な課題です。
ミノリスのヤマイモ品種一覧から、つくねいもに分類される品種の詳細を比較し、販売先と栽培環境に合った品種選びに役立ててください。