病害耐性

ネコブセンチュウ抵抗性サツマイモのサツマイモ品種一覧 全7種類

ネコブセンチュウ抵抗性サツマイモ ネコブセンチュウとは ネコブセンチュウは、植物の根に寄生して「根こぶ」と呼ばれる瘤(こぶ)を形成する微小な線虫(センチュウ)です。サツマイモに被害をもたらす主な種はサツマイモネコブセンチュウ(Meloido

ネコブセンチュウ抵抗性サツマイモについて

ネコブセンチュウ抵抗性サツマイモ

ネコブセンチュウとは

ネコブセンチュウは、植物の根に寄生して「根こぶ」と呼ばれる瘤(こぶ)を形成する微小な線虫(センチュウ)です。サツマイモに被害をもたらす主な種はサツマイモネコブセンチュウ(Meloidogyne incognita)で、土壌中に生息し根から侵入して植物体に定着します。

感染すると根や芋に大小のこぶが形成され、外観品質が著しく低下します。青果出荷では表面にこぶや凸凹が生じたイモは等外品・規格外となり、市場価格や出荷量に直接的な影響が出ます。根のこぶ形成によって養分・水分の吸収が阻害されることで生育不良も起こり、収量が減少します。

ネコブセンチュウは土壌を介して伝播するため、一度侵入した圃場では密度が高まりやすい傾向があります。高温・乾燥した砂質土壌条件で特に増殖しやすく、サツマイモの主産地である南日本の火山灰土壌地帯や関東の砂壌土地帯ではリスクが高い病害です。

国内では砂地や軽石土壌の圃場を中心に被害が報告されており、連作圃場での密度上昇が問題になっています。農林水産省の調査では、サツマイモ生産において線虫類は重要な有害生物の一つとして位置づけられています。

ネコブセンチュウ抵抗性の区分

サツマイモのネコブセンチュウ抵抗性は、品種によって抵抗性の程度が異なります。種苗メーカーのカタログでは「抵抗性あり」「やや強め」「中程度」などの表現で評価が示されていますが、トマトのTYLCV耐病性のようにHR(高度耐病性)・IR(中程度耐病性)の国際標準表記で統一されているわけではありません。

品種選びで見落としがちなのが、この抵抗性表記の読み方です。「抵抗性がある」という記載があっても、それが高密度汚染圃場での完全な防除を意味するわけではなく、通常条件下での罹病性品種との比較において発根こぶの形成・被害が相対的に少ないという評価です。

また、ネコブセンチュウには複数のレース(生物型)が知られており、品種の持つ抵抗性遺伝子が対応していないレースが圃場で優占した場合は、抵抗性が十分に機能しないことがあります。地域の圃場でどのレースが問題になっているかを確認することが、より精度の高い品種選びにつながります。

歴史と豆知識

ネコブセンチュウのサツマイモへの被害は、日本でも古くから認識されていました。特に沖縄・九州・四国などの暖地では高温期の栽培期間が長く、ネコブセンチュウが増殖しやすい条件が重なるため、歴史的に被害が問題とされてきました。

意外と知られていないのですが、サツマイモのネコブセンチュウ抵抗性育種は比較的早くから取り組まれており、現在普及している「べにはるか」にも抵抗性が組み込まれています。農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)を中心とした育種研究により、食味や外観などの品質特性と抵抗性を両立した品種開発が進んできました。

ネコブセンチュウは土壌中で数年間生存できるため、一度汚染された圃場での密度低下には時間がかかります。化学的防除だけでなく、ネコブセンチュウ抵抗性植物(マリーゴールド等)の緑肥利用や土壌消毒と組み合わせた管理が産地では実践されています。

また、ネコブセンチュウは連作によって密度が上昇するため、イネとの水稲輪作がネコブセンチュウ密度を抑制する効果があることも知られています。水田転換畑でのサツマイモ栽培が、線虫密度管理として有効な場合があります。

抵抗性の限界と注意点

ネコブセンチュウ抵抗性品種の導入は有効な防除手段ですが、それだけで問題が解決するわけではありません。以下の点を理解しておくことが重要です。

抵抗性が機能する上限密度があります。土壌中のネコブセンチュウ密度が極めて高い圃場では、抵抗性品種であっても発根こぶが形成され、外観品質や収量に影響が出ることがあります。抵抗性品種の導入は、密度管理の一環として位置づけることが適切です。

レース対応の範囲に限界があります。品種が抵抗性を持つのは特定のレースに対してであり、対応していないレースが圃場に存在する場合は十分な効果を期待できません。新しい圃場で栽培する場合や、これまで被害が出ていなかった圃場で初めて被害が確認された場合は、専門機関に線虫の種・レース確認を依頼することが望ましいです。

高温条件での抵抗性の変動も考慮が必要です。土壌温度が極めて高い条件では、植物の抵抗性反応が弱まることがあります。抵抗性品種であっても、高温期の砂質圃場では通常より注意が必要な場合があります。

品種の耐病性だけに頼るのではなく、輪作・土壌消毒・緑肥活用を組み合わせた総合的な防除体系を構築することが重要です。

代表的な品種の特性

ミニリスに登録されているサツマイモ品種の中から、ネコブセンチュウへの抵抗性をメーカーが明記している品種を紹介します。

べにはるか(カネコ種苗株式会社)は、「サツマイモネコブセンチュウに抵抗性を示します」と明記されています。糖度が高く食味に優れた品種で、皮色や外観も優れているとされています。現在のサツマイモ市場で高い人気がある品種の一つです。

べにはるか(三好アグリテック株式会社)も同様に、ネコブセンチュウや立枯れ病への抵抗性があることが説明されています。形状・サイズの揃いが良くA品率が高い特性も持ちます。

あいこまち(三好アグリテック株式会社)は、ネコブセンチュウや黒斑病に抵抗性があると明記されています。蒸しイモの食味が優れ、調理後の黒変が少ないため菓子類への加工にも適しています。青果用・加工用の両方に対応できる品種です。

ほしあかね(三好アグリテック株式会社)は、「ネコブセンチュウや黒班病に対してはやや強めの抵抗性」を持つとされています。干しいも加工に適した品種で、カロテンを含む淡橙色の果肉が特長です。

ふくむらさき(三好アグリテック株式会社)は、「ネコブセンチュウ抵抗性: 中程度」と評価されています。紫肉の品種で高糖度・ねっとり食感が特長であり、焼き芋や加工用にも利用できます。

あまはづき(国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構)は、「サツマイモネコブセンチュウ抵抗性に優れています」と説明されており、複数の病害虫に抵抗性を持つ品種として育成されました。収穫直後からねっとり甘い焼きいもができる早期糖化特性も持ちます。

防除のポイント

ネコブセンチュウの防除は、品種の抵抗性を基本としながら、耕種的・化学的防除を組み合わせて行います。

耕種的防除として最も基本的なのは輪作です。水稲との輪作はネコブセンチュウ密度の抑制に効果があることが知られており、水田転換畑でのサツマイモ栽培は線虫管理の面でも有利です。イネ科作物との輪作も密度低下に一定の効果があります。

緑肥としてのマリーゴールド(アフリカントール)の活用も効果的な耕種的防除手段です。マリーゴールドの根から分泌される成分がネコブセンチュウの密度低下に働くことが知られており、前作としてすき込む利用方法が産地で実践されています。

土壌消毒については、クロルピクリン剤などの土壌くん蒸剤がネコブセンチュウ防除に登録されています。汚染密度が高い圃場での作付け前処理として有効ですが、薬剤の効果が圃場全体に均一に及ぶかどうかは土壌の物理性にも左右されます。

排水管理による圃場環境の改善も重要です。過湿条件はネコブセンチュウの移動を助けることがあるため、排水の良い環境を維持することが基本的な管理として求められます。

※農薬の使用にあたっては、必ず最新の農薬登録情報を確認し、ラベルの記載内容に従ってください。

現場の声

ネコブセンチュウの被害が深刻な産地では、耐性品種への切り替えと合わせてマリーゴールドの緑肥利用を導入し、数年かけて圃場の線虫密度を低下させた事例が報告されています。品種の選択だけでなく、圃場の線虫密度管理を中長期的な視点で取り組む必要があります。

ここからが実際の栽培で差がつくところです。ネコブセンチュウの被害は、外観の悪化(こぶ・亀裂・変形)という形で収穫後に初めて発覚することが多く、生育中に問題に気づきにくいという特性があります。土壌診断によって事前に線虫密度を把握し、密度が高い圃場では品種選択と防除対策を事前に準備しておくことが安定した収量・品質確保につながります。

まとめ

ネコブセンチュウはサツマイモの外観品質と収量の両方に影響する土壌病害であり、特に砂質土壌や連作圃場でリスクが高まります。ネコブセンチュウ抵抗性品種の導入は、被害軽減の有効な手段ですが、高密度汚染圃場での完全な防除を保証するものではなく、輪作・緑肥・土壌消毒との組み合わせが基本です。

品種選びでは、抵抗性の表記(「抵抗性あり」「やや強め」「中程度」など)の程度を確認するとともに、食味・収量性・他の病害への抵抗性も総合的に評価することが重要です。ネコブセンチュウ抵抗性サツマイモの品種一覧は、ミノリスのサツマイモ品種ページから確認できます。

7品種 表示中
べにはるか

べにはるか

三好アグリテック株式会社

人気急上昇品種!食味やいもの外観などの特性が既存品種より「はるか」に優れることから、品種名を「べにはるか」と命名されました。 形状、サイズの揃いが良く、A品率が高いです。しつこくない上品な甘みは洋菓子の材料にも最適です。 高系14号より皮色、形状や大きさのそろいが優れ、ネコブセンチュウや立枯れ病にも抵抗性があります。 ほくほく感 1.0 貯蔵性 3.0 甘み 5.0 【青果用】適 【皮色】紫紅 【肉色】黄 【形】長紡錘形

ひめあやか

ひめあやか

三好アグリテック株式会社

いもが小さく、加熱したときの肉色の彩りが鮮やかであることから「ひめあやか」と命名されました。 家庭で利用しやすい食べきりサイズで、小さなイモまでおいしい品種です。 調理後の黒変が少なく、肉色は鮮やかな黄色です。立ち枯れ病、つる割れ病、黒斑病に強いです。 ■ほくほく感 2.0 ■貯蔵性 4.0 ■甘み 4.0 ■青果用 適 ■皮色 赤紫 ■肉色 黄 ■形 短紡錘形

あいこまち

あいこまち

三好アグリテック株式会社

美人の代名詞である「小町」でイモの外観が良いことを表し、甘く愛される品種になるようにという願いを込めて命名しました。 蒸しイモの食味は紅東並に優れ、調理後の黒変が少ないので、菓子類への加工に適します。 イモの条溝が少なく、外観が良いです。ネコブセンチュウや黒斑病に抵抗性があります。 ほくほく感 2.0 貯蔵性 3.0 甘み 5.0 【青果用】 適 【加工用】 適 【皮色】 赤紫 【肉色】 淡黄 【形】 紡錘形

ふくむらさき

ふくむらさき

三好アグリテック株式会社

その美味しさで食べた人を幸福な気持ちにすることができる紫サツマイモであることを表しています。 高糖度で、肉質はやや粘性を示す品種です。しっとりと甘く、焼き芋や蒸しイモは、べにはるかと同等の糖度を示し、加工用としても利用できます。 ■黒斑病の抵抗性 中~強 ■つる割れ病抵抗性 高いです。 ■立枯病抵抗性 やや弱~やや強 ■ネコブセンチュウ抵抗性 中程度 上イモ一個重がやや軽い為、株間を広げ、生育期間を確保するとしっかししたイモが収穫できます。 ほくほく感 2.0 貯蔵性 2.0 甘み 4.0 【青果用】適 【皮色】 赤/赤紫 【肉色】 紫 【形】  長紡錘形

べにはるか

べにはるか

カネコ種苗株式会社

糖度が高く、センチュウに強い 特性 ●蒸しイモの糖度が高く、食味に優れる品種です。 ●皮色や外観も優れ、サツマイモネコブセンチュウに抵抗性を示します。 品種特性表

ほしあかね

ほしあかね

三好アグリテック株式会社

果肉にカロテンが含まれるため、淡橙色を帯び、シロタの発生もほぼありません。 透明感のある良質でおいしい干しいもです。 ネコブセンチュウや黒班病に対してはやや強めの抵抗性、つる割病に対しては中程度の抵抗性を示します。 立枯病抵抗性がやや弱いので、同病気の発生圃場では土壌消毒等の防除に努めましょう。 ほくほく感 2.0 貯蔵性 4.0 甘み 4.0 青果用 適 皮色 赤紫 肉色 淡橙 形 紡錘形

あまはづき

あまはづき

国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構

収穫直後からねっとり甘い焼きいもができます。複数の病害虫に抵抗性であり、サツマイモネコブセンチュウ抵抗性に優れています。