果実・収量特性

ねっとり系サツマイモのサツマイモ品種一覧 全5種類

ねっとり系サツマイモ ねっとり系サツマイモとは ねっとり系サツマイモとは、加熱後の肉質が粘質でしっとりとした食感になる品種群を指します。サツマイモの食感は「粉質(ほくほく系)」と「粘質(ねっとり系)」に大きく分かれており、ねっとり系は加熱時

ねっとり系サツマイモについて

ねっとり系サツマイモ

ねっとり系サツマイモとは

ねっとり系サツマイモとは、加熱後の肉質が粘質でしっとりとした食感になる品種群を指します。サツマイモの食感は「粉質(ほくほく系)」と「粘質(ねっとり系)」に大きく分かれており、ねっとり系は加熱時に水分が保持されて粘りとともに甘みが強く感じられる食感が特徴です。

粘質品種では、麦芽糖をはじめとする糖類が加熱過程で多く生成されるため、甘みが強く、ねっとりとした滑らかな舌触りを生み出します。焼きいもにしたときに「まるでスイーツのよう」と表現されることも多く、この食感が近年の焼きいもブームを牽引したと言われています。

意外と知られていないのですが、ねっとり系品種の甘みは収穫直後よりも貯蔵後のほうが明確に引き出されます。でんぷんが酵素によって糖に変換される過程(熟成)に時間がかかるため、収穫後一定期間の貯蔵(キュアリング・追熟)を経ることで本来の食味が発揮される品種が多いです。

なお、品種によっては中間的な食感を持つものもあり、ほくほく系・ねっとり系の区分は連続的なスペクトルです。品種のカタログや特性表でほくほく感・ねっとり感のスコアを確認すると、品種間の差異をより正確に把握できます。

ねっとり系サツマイモの魅力

消費者・市場での訴求力

ねっとり系サツマイモが急速に普及した最大の背景には、甘みの強さとスイーツ的な食感への消費者の支持があります。「高糖度のスイーツのような焼きいも」という価値観が広まり、量販店や専門店での販売価格は従来の焼きいもを大幅に上回るケースが増えました。

「べにはるか」は現在の焼きいもブームを象徴する品種として広く知られており、三好アグリテック株式会社からも「人気急上昇品種」として紹介されています。形状やサイズの揃いが良く、A品率が高いとされており、上品な甘みは洋菓子の材料にも最適とされています。

干しいもの原料としても、ねっとり系品種は重要な位置を占めています。粘質のサツマイモで作った干しいもは、しっとりとした食感と高い糖度が消費者に好まれます。「シルクスイート」(カネコ種苗株式会社)はその説明に「干芋の加工適正もあり、黄色みの鮮やかな干芋に仕上がります」と記載されており、干しいも加工用途への対応を明示した品種です。

生産者にとってのメリット

ねっとり系品種の多くは糖度が高く、市場での差別化がしやすいという特長があります。量販店向けの一般品と差別化した高付加価値販売を志向する生産者にとって、ねっとり系品種への切り替えは選択肢の一つです。

また、焼きいも専門店やスイーツ業態との直接取引を目指す産地では、ねっとり系品種のニーズが高まっています。産地や生産者のブランド構築にも寄与しやすい品種群です。

代表品種の特徴

ミノリスに掲載されているサツマイモ品種のうち、ねっとり系に分類される主な品種をご紹介します。

べにはるか(三好アグリテック株式会社、カネコ種苗株式会社)は、ほくほく感スコア1.0・甘みスコア5.0と、ねっとり系品種を代表する存在です。三好アグリテック株式会社の説明では「しつこくない上品な甘みは洋菓子の材料にも最適」とされており、外観の揃いの良さとネコブセンチュウや立枯れ病への抵抗性も特徴とされています。カネコ種苗株式会社でも「蒸しイモの糖度が高く、食味に優れる品種です」と記載されています。

シルクスイート(カネコ種苗株式会社)は「上品な甘さと絹のように滑らかな舌ざわり。スイーツ感覚のサツマイモ」と紹介されているカネコ種苗株式会社のオリジナル交雑品種です。「肉質はしっとりとした粘質で舌ざわりが良く、甘みが強い品種です」「イモの形状は紡錘形で揃いが良く、肌もなめらかで外観に優れます」と記載されており、干しいも加工にも適するとされています。つる割病への弱さがあり、登録農薬による浸漬処理が推奨されています。

きみまろこ(三好アグリテック株式会社)は、ねっとり感スコア5.0・貯蔵性スコア5.0という品種です。「1ヵ月以上貯蔵することで、ねっとり甘い肉質になります」と記載されており、貯蔵による食味発現が明確に示されています。皮色が黄白・淡白で肉色が黄色という外観も独特で、直売所や加工品での差別化が可能な品種です。

あまはづき(国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構)は、「収穫直後からねっとり甘い焼きいもができます」という特性が際立つ品種です。多くのねっとり系品種では貯蔵後に食味が向上するのに対し、この品種は収穫直後から食味が良い点が特徴です。複数の病害虫への抵抗性を持ち、サツマイモネコブセンチュウ抵抗性に優れるとされています。

すぐあま!スイートポテト(日本デルモンテ株式会社)は、「収穫後、すぐ甘くておいしい。ねっとり食感のさつまいも」として販売されている品種です。収穫後の貯蔵期間が短くても甘くておいしいさつまいもを楽しめるとされており、ウイルスフリー苗を使用しており生育が安定しやすいとされています。

あいこまち(三好アグリテック株式会社)は、ほくほく感スコア2.0・甘みスコア5.0の品種で、「蒸しイモの食味は紅東並に優れ、調理後の黒変が少ないので、菓子類への加工に適します」と記載されています。ネコブセンチュウや黒斑病への抵抗性もあります。

ほしあかね(三好アグリテック株式会社)は、ほくほく感スコア2.0・甘みスコア4.0・貯蔵性スコア4.0の品種で、「透明感のある良質でおいしい干しいも」に向く品種として紹介されています。果肉にカロテンが含まれるため淡橙色を帯びた肉質が特徴です。

栽培のポイント

ねっとり系サツマイモを栽培する際には、品種の特性と収穫後の管理の両方が品質に大きく影響します。

収穫後のキュアリングは、ねっとり系品種の食味を引き出すうえで特に重要な工程です。キュアリングとは、収穫直後のサツマイモを高温多湿の環境(30〜33℃、湿度90〜95%程度で2〜4日)に置くことで、表皮の傷を愈合させ、でんぷんの糖化を促進する処理です。その後、13〜15℃程度の温度で貯蔵することで、食味が向上していきます。

ここからが実際の栽培で差がつくところです。ねっとり系品種の多くは、収穫直後より4〜6週間以上の貯蔵後のほうが食味が格段に向上します。「きみまろこ」の説明文にも「1ヵ月以上貯蔵することで、ねっとり甘い肉質になります」と明記されています。出荷スケジュールに貯蔵期間を組み込んだ計画が、高品質な商品提供につながります。

つる割病への対策は、シルクスイートのように感受性の高い品種を栽培する場合に注意が必要です。つる割病は土壌中の病原菌(Fusarium oxysporum f. sp. batatas)による病害で、苗の茎部分を登録農薬で浸漬処理してから植え付けることが推奨されています。なお、農薬の使用にあたっては、必ず最新の農薬登録情報を確認し、ラベルの記載内容に従ってください。

窒素管理とつるボケ防止は、ほくほく系品種と同様に重要です。窒素過多の場合は地上部の生育が旺盛になり、糖度やでんぷん質の蓄積が不十分になる傾向があります。糖度の高さを売りにする場合は特に、元肥の窒素量を適切に制限することが基本です。

品種選びのコツ

ねっとり系サツマイモの品種選びでは、以下の観点を総合的に検討することが重要です。

  • 食感の程度: ねっとり感のスコアや品種の特性表を確認し、用途(青果・干しいも・スイーツ加工)に合わせて選ぶ
  • 甘みの発現時期: 収穫直後から甘みが出る品種(あまはづきなど)か、貯蔵後に甘みが出る品種(きみまろこなど)かを把握する
  • 貯蔵性: 長期貯蔵での品質安定性を確認する。貯蔵性スコアが低い品種は販売計画に影響が出やすい
  • 病害虫抵抗性: ネコブセンチュウやつる割病への抵抗性は圃場環境によって重要度が変わる
  • 外観・肌の美しさ: 条溝の入りにくさ、皮色の発色は市場・直売所での商品価値に影響する
  • 干しいも加工適性: 干しいも加工を予定する場合は、肉色と加工後の品質を確認する

産地によって事情が異なるので一概には言えませんが、ねっとり系品種の中でも「べにはるか」は幅広い地域・作型での栽培実績があり、初めてねっとり系に取り組む場合の入門品種として選ばれることが多いです。一方で、シルクスイート等の新品種はつる割病への弱さなど管理上の注意点もあるため、実績データと栽培条件を照らし合わせた選定が重要です。

市場動向とこれから

ねっとり系サツマイモの市場は、2010年代後半からの焼きいもブームを背景に急速に拡大しました。コンビニエンスストアやスーパーマーケットでの石焼きいも販売が普及し、「蜜がたっぷりのねっとり食感」が消費者の期待値として定着しています。

干しいも市場においても、ねっとり系品種の需要が拡大しています。茨城県や福島県など、干しいもの主要産地では、べにはるかをはじめとするねっとり系品種への転換が進んでいます。干しいも専用の加工場が整備されている産地では、作型・貯蔵・加工の一体的な体制が構築されつつあります。

一方で、ねっとり系品種の急増による市場価格の変化も生じており、差別化のために独自品種や品種ブランドを開発する産地・生産者も増えています。種苗メーカー各社のオリジナル交雑品種(シルクスイート・きみまろこなど)の登場は、この流れを反映したものです。

ほくほく系品種との棲み分けという観点では、ねっとり系のみに特化するよりも、両タイプを取りそろえて消費者の多様なニーズに対応する戦略も有効です。詳しくは、ほくほく系サツマイモのタグもあわせてご参照ください。

まとめ

ねっとり系サツマイモは、加熱後にしっとり粘質で甘みが強い食感が得られる品種群です。近年の焼きいもブームや干しいも市場の拡大を背景に、市場での存在感が著しく高まっています。

品種選びにあたっては、ねっとり感のスコア・甘みの発現時期・貯蔵性・病害虫抵抗性・加工適性を総合的に評価し、販売先と用途に合わせた選定が重要です。収穫後のキュアリングと適切な貯蔵管理が、ねっとり系品種の本来の食味を引き出す鍵となります。

ミノリスでねっとり系サツマイモの品種を探す場合は、このタグが付いた品種一覧をご覧ください。ほくほく系との比較には、あわせてほくほく系サツマイモのタグもご参照ください。

5品種 表示中
きみまろこ

きみまろこ

三好アグリテック株式会社

白い皮で、ねっとり甘くて、おいしい品種です。焼き芋のほかにもスイーツ加工品にも適しています。中身の色は鮮やかな黄色で、冷えても褐変が目立ちません。紅色のサツマイモと紅白で縁起がよく、映えます。 ■形状 芋に条溝がはいりにくく、形の崩れも少ないきれいな紡錘形です。 ■貯蔵性 良い ■栽培期間 約130~150日 ■貯蔵 1ヵ月以上貯蔵することで、ねっとり甘い肉質になります ねっとり 5.0 貯蔵性 5.0 甘み 4.0 【青果用】適 【皮色】黄白/淡白 【肉色】黄 【形】紡錘形

シルクスイート®

シルクスイート®

カネコ種苗株式会社

上品な甘さと絹のように滑らかな舌ざわり。スイーツ感覚のサツマイモ 特性 ●自社で開発したオリジナルの交雑品種です。 ●肉質はしっとりとした粘質で舌ざわりが良く、甘みが強い品種です。 ●イモの形状は紡錘形で揃いが良く、肌もなめらかで外観に優れます。 ●皮色は鮮やかな濃赤紫色で貯蔵性にも優れます。 ●⼲芋の加⼯適正もあり、⻩⾊みの鮮やかな⼲芋に仕上がります。 栽培上の注意点 ●つる割病には弱いので登録農薬で苗茎部を浸漬処理してから植え付けることをお勧めします。 品種特性表

ふくむらさき

ふくむらさき

三好アグリテック株式会社

その美味しさで食べた人を幸福な気持ちにすることができる紫サツマイモであることを表しています。 高糖度で、肉質はやや粘性を示す品種です。しっとりと甘く、焼き芋や蒸しイモは、べにはるかと同等の糖度を示し、加工用としても利用できます。 ■黒斑病の抵抗性 中~強 ■つる割れ病抵抗性 高いです。 ■立枯病抵抗性 やや弱~やや強 ■ネコブセンチュウ抵抗性 中程度 上イモ一個重がやや軽い為、株間を広げ、生育期間を確保するとしっかししたイモが収穫できます。 ほくほく感 2.0 貯蔵性 2.0 甘み 4.0 【青果用】適 【皮色】 赤/赤紫 【肉色】 紫 【形】  長紡錘形

あまはづき

あまはづき

国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構

収穫直後からねっとり甘い焼きいもができます。複数の病害虫に抵抗性であり、サツマイモネコブセンチュウ抵抗性に優れています。

すぐあま!スイートポテト

すぐあま!スイートポテト

日本デルモンテ株式会社

収穫後、すぐ甘くておいしい。ねっとり食感のさつまいも。2株入り。 ■特長 ねっとり食感。収穫後の貯蔵期間が短くても甘くておいしいさつまいもを楽しめる。 ウイルスフリー苗を使用しており、生育が安定しやすい。 ■販売時期 4月中旬~5月下旬 ■育て方ポイント (植え付け)苗は1本ずつに分けそれぞれ根を半分にカットし、4月下旬から6月上旬までに、40〜50cm間隔で定植します。  ※水平植えはイモ数が多くなり、垂直植えはイモ数は少ないが大きくなります。 (追肥とつる返し)追肥は植え付け20〜30日後に行います。追肥が多いとつるボケになります。つるが伸びると途中から根が伸び不要な小さなイモができます。8月になったらつるを持ち上げ、途中から出ている根を切ります。 (収穫)植え付けてから100〜120日くらいで収穫できます。(8月下旬〜9月下旬) (ワンポイント)収穫後2週間程度でさらに甘みが増し、よりおいしく召し上がれます。

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