夏に強いトマト品種の選び方|高温期の着果・品質低下を防ぐポイント|ミノリス

タグ名: 耐暑性トマト

栽培環境・条件 • 19品種で使用中

夏に強いについて

耐暑性トマトとは

まず押さえておきたいのが、「耐暑性」という特性の定義です。トマトの生育に適した温度は昼間25〜28℃、夜間15〜18℃とされており(栃木県・香川県・愛知県農業試験場等の推奨値)、これを大きく上回る夏期の高温条件では、着果不良・着色不良・裂果・生育の乱れといったさまざまな問題が生じます。

耐暑性を持つ品種とは、こうした高温ストレス下でも着果・肥大・着色が安定して維持できる品種のことです。一般に種苗メーカーのカタログでは「夏秋向き」「高温着果性良」「耐暑性」等の表記で示されることが多く、特定の作型(夏秋栽培・抑制栽培)を想定した品種改良が進んでいます。

なお、耐暑性は品種ごとに程度差が大きく、「夏でも栽培できる」品種と「真夏の連続高温でも安定収量が見込める」品種とでは実力が異なります。カタログの記載と合わせて、試作データや産地での実績を確認することが品種選びの基本です。

この特性の魅力

耐暑性トマト品種の最大のメリットは、夏秋作型・抑制作型での安定収量です。高温期は通常品種では着果率が著しく低下しますが、耐暑性品種ではホルモン処理の効果が安定しやすく、均質な着果が期待できます。

経営面でも大きな意味があります。夏場のトマトは供給が少なくなる時期でもあり、市場価格が高めに推移する傾向があります。高温期に安定出荷できる品種を持つことは、農場の収益平準化につながります。業務用・産地出荷の規模が大きい経営体ほど、この恩恵は大きくなります。

また、着色安定性が高い耐暑性品種は、秀品率の維持にも寄与します。高温障害による着色ムラや空洞果の発生を抑えることで、廃棄ロスの低減と出荷品質の安定が見込めます。

適した品種の特徴

耐暑性品種には、いくつかの共通した育種上の特性が見られます。

まず、花粉の活性が高温下でも維持されやすい点が挙げられます。トマトの着果は花粉の稔性と受粉の成否に大きく左右されますが、通常品種では35℃を超えると花粉の活性が著しく低下します。耐暑性品種はこの低下が比較的小さい傾向があります。

次に、果実の着色安定性も重要な特性です。トマトのリコペン(赤色の主要色素)合成は32℃以上で影響を受け始め、特に35℃を超えると著しく阻害されることが農研機構の研究で報告されています。耐暑性品種の中には、高温下でも着色が比較的均一に進む特性を持つものがあります。

一方でトレードオフとして、耐暑性品種は一般に草勢が強め・節間が長めになりやすく、整枝・誘引の手間が増える場合があります。また、夏秋作型に特化している品種は、促成・半促成では本来の力を発揮しにくいことがあります。産地によって事情が異なるので一概には言えませんが、品種の「作型適性」は耐暑性と並んで必ず確認したいポイントです。

栽培のポイント

灌水管理

高温期は蒸散量が増大し、水分ストレスが着果不良・尻腐れ症(カルシウム吸収阻害による生理障害)を引き起こしやすくなります。特に地温が高くなる日中は根の吸水能力が低下するため、早朝・夕方の灌水や点滴灌水の活用が有効です。培地や土壌が過乾燥・過湿を繰り返すとカルシウムの吸収が乱れるため、均一な土壌水分の維持が基本です。

温度管理(換気・遮光)

施設栽培では、高温期のハウス内気温を適温に近づけるため、天窓・側窓の換気と遮光資材の併用が基本です。遮光率20〜30%程度の遮光ネットの設置により、日射量を適度に抑えながら果実温度の上昇を防ぎます。夜温が高すぎると花芽分化が乱れるため、夜間換気にも注意が必要です。

着果管理(ホルモン処理・振動受粉)

高温期はトマトトーン等の植物成長調整剤による着果処理の効果が不安定になる場合があります。処理濃度の適正管理(高温時は低め)と、電動振動器を使った振動受粉の組み合わせが現場では広く行われています。着果管理も高温期の重要項目です。処理のタイミングを開花直後に確実に行うことが、着果率安定の鍵になります。

病害対策(青枯病・接ぎ木)

高温期は青枯病(Ralstonia solanacearum)の発生リスクが高まります。青枯病は土壌温度が高い条件で活発化する細菌病で、一旦発生すると治療が困難です。青枯病耐性台木への接ぎ木栽培は、高温産地・連作圃場では標準的な対策となっています。なお、青枯病耐性トマトの品種一覧も合わせてご確認ください。

品種選びのコツ

着果性の確認

高温着果性の強さは品種によって大きく異なります。カタログの「高温着果性良」という記載だけでなく、試験データや産地での実績データを確認することが大切です。

着色安定性

高温期の着色は品種差が出やすいポイントです。果皮色・果肉色の均一性に関するメーカーのデータを確認し、可能であれば出荷先のバイヤーが重視する外観品質の基準に合う品種を選びます。

裂果耐性

高温期は灌水管理が難しくなるため、土壌水分が急変しやすく、裂果が発生しやすい時期でもあります。耐暑性と合わせて裂果耐性の表記も確認しておきましょう。

土壌病害への対応

夏期高温下では青枯病・萎凋病のリスクも高まります。接ぎ木苗の利用と、台木品種の耐病性レベルを確認することが重要です。

大玉・中玉・ミニの違い

耐暑性品種は各果実サイズに展開されていますが、ミニトマトは大玉に比べて着果数が多いため、高温期の着果不良の影響を「数」でカバーしやすいという特性があります。用途・販売先に合わせてサイズを選びましょう。大玉トマト品種一覧中玉トマト品種一覧ミニトマト品種一覧も参考にしてください。

作型適合性の確認

耐暑性品種であっても、夏秋専用・抑制専用の品種は他の作型では力を発揮しにくいことがあります。栽培する作型を明確にした上で、その作型に対応している品種を選ぶことが基本です。

市場動向とこれから

気候変動の影響で、トマトの主要産地でも夏場の高温被害が深刻化しています。国内の夏秋トマト産地(東北・北関東・長野・北海道など)では、かつては問題とならなかった35℃前後の高温日が増加しており、収量・品質の安定が課題として浮上しています。農研機構や各都道府県農業試験場でも、高温耐性に関する研究が活発化しており、品種改良と栽培技術の両面からのアプローチが進んでいます。

育種トレンドとしては、単に高温着果性を高めるだけでなく、高温下でのリコペン蓄積能力(着色安定性)や果実硬度の維持、さらに裂果耐性との複合特性を持つ品種の開発が各社で競われています。また、接ぎ木台木の耐暑性改良も並行して進んでおり、品種単体の耐暑性だけでなく「品種+台木」の組み合わせで夏期の栽培安定性を高める方向性が定着しています。

業務用・産地出荷においても、夏期の安定供給ができる産地は市場から高い評価を受けやすく、量販店・外食チェーンの年間調達先として選ばれやすくなっています。耐暑性品種の積極的な導入は、産地ブランドの強化にもつながる要素です。国内の夏秋トマト産地では、耐暑性品種の作付比率が年々高まっており、今後もこの傾向は続くと見られています。

まとめ

耐暑性トマト品種は、夏期の高温ストレス下で着果・着色・品質を安定させる特性を持ちます。生育適温(昼間25〜28℃・夜間15〜18℃)を大きく超える条件での栽培を支える品種群であり、夏秋作型・抑制作型の安定経営に直結する選択肢です。

品種選びでは、高温着果性・着色安定性・裂果耐性・土壌病害対応・作型適合性を総合的に確認することが重要です。耐暑性品種の導入は大前提として、灌水管理・換気・着果処理・接ぎ木といった栽培管理と組み合わせてはじめて効果が発揮されます。品種選びに正解は一つではなく、産地の気候・土壌条件・販売先の要求品質によって最適解は変わります。

大玉トマト品種一覧中玉トマト品種一覧ミニトマト品種一覧から、耐暑性タグの付いた品種を比較検討してみてください。

タグ情報

基本情報

タグ名
耐暑性トマト
種別
栽培環境・条件

使用状況

関連品種数
19品種
関連作物数
1作物
関連メーカー数
9社

関連品種(19品種)

ミニトマト (19品種)

サマー千果
サマー千果

タキイ種苗株式会社

短節間で高温着果性と耐裂果にすぐれ、ヘタどれに強い高品質ミニ ■特長 ・短節間で管理しやすく、高温期の着果性にすぐれる。...

キャロルムーン
キャロルムーン

株式会社サカタのタネ

収量性、秀品率が特に優れる、栽培しやすいミニトマト ■特性 1.萎凋病(F:R-1,2)、根腐萎凋病、ToMV(Tm-2...

サンチェリーピュアプラス
サンチェリーピュアプラス

トキタ種苗株式会社

葉かび抵抗性・ピュアより強い斑点病強耐病ミニトマト(夏秋〜越冬短期栽培) ■特性 ピュアの収量性はそのままに、より早生に...

サマーベル
サマーベル

日本デルモンテ株式会社

実がつきやすいので初心者でも育てやすく、濃厚な味わいが楽しめる。 ■特長 温度が高くなってきても、実がつきやすい品種です...

キャロルスター
キャロルスター

株式会社サカタのタネ

食味、果色、着果性が特に優れるミニトマト ■特性 1.萎凋病(F:R-1)、根腐萎凋病、ToMV(Tm-2型)、葉かび病...

サンチェリーピュア
サンチェリーピュア

トキタ種苗株式会社

食味良好、18g前後の果実 越冬・抑制栽培 ■特性 葉かび(Cf-9)抵抗性、ウィルス病(TMV-Tm2a)と萎凋病レー...

TYべにすずめ
TYべにすずめ

公益財団法人園芸植物育種研究所

黄化葉巻病耐病性&単為結果性 すずなりごく甘ミニトマト ・単為結果性をもつため、ホルモン処理やマルハナバチが不要で高温・...

かむり
かむり

公益財団法人園芸植物育種研究所

黄化葉巻病耐病性 単為結果性ミニトマト ・単為結果性を持つためホルモン処理、マルハナバチが不要で高温・低温下でも着果が安...

ハッピー楽々
ハッピー楽々

株式会社むさしのタネ

美味しいだけじゃない 料理しやすい、ヘタ採り収穫できるミニトマト 【特性】 〇酸味は少ないが、甘みがあり、くせがないすっ...

夏あま赤
夏あま赤

サントリーフラワーズ株式会社

高温下でも甘さが続く 夏向け品種 ■特長 ・GW後シーズンの定植に最適! ・糖度が低下しやすい高温時でも糖の蓄積が維持さ...

ジャングルイエロー ミニトマト
ジャングルイエロー ミニトマト

トキタ種苗株式会社

ミニトマト栽培の常識を転換。わき芽はとらずに黄色の果実をつける ■特性 ジャングルトマトは枝分かれ毎に果房がつき、それぞ...

サマーソニック(BSM517)
サマーソニック(BSM517)

住化農業資材株式会社

ベルグアース㈱×住化農業資材㈱の夏秋向けミニトマト! ベルグアース株式会社と共同開発した耐暑性に優れる夏秋ミニトマトです...

ネネ
ネネ

公益財団法人園芸植物育種研究所

食味良く、早生・単為結果するミニトマト ・単為結果性を持つためホルモン処理、マルハナバチが不要で高温・低温下でも着果が安...

べにすずめ
べにすずめ

公益財団法人園芸植物育種研究所

単為結果性、複合抵抗性 すずなり多収ミニトマト ・単為結果性を持つためホルモン処理、マルハナバチが不要で高温・低温下でも...

CFネネ
CFネネ

公益財団法人園芸植物育種研究所

食味よく、葉かび病に強い単為結果性ミニトマト ・単為結果性を持つためホルモン処理、マルハナバチが不要で高温・低温下でも着...

TYブリランテ
TYブリランテ

株式会社むさしのタネ

黄化葉巻耐病性、ヘタ採り収穫可能なプラム型ミニトマト 【特性 〇トマト黄化葉巻病(イスラエル型、マイルド型)に耐病性があ...

ロッソナポリタン
ロッソナポリタン

サナテックシード株式会社

高糖度でサクサクとした食感をした、生食に向く赤色ミニトマトです。 ピンク系大玉トマトに比べて、フルクトースやコラーゲンの...

純あま<高糖度接木>
純あま<高糖度接木>

サントリーフラワーズ株式会社

耐寒性、耐病性に優れ、栽培性も向上! ■特長 ・サントリーオリジナルの高糖度専用台木を使用し、樹勢を適度にコントロール、...

夏あま黄
夏あま黄

サントリーフラワーズ株式会社

実割れしにくい 甘いイエローミニ ■特長 ・GW後シーズンの定植に最適! ・暑い季節でも衰えない生育力と着果力。 ・高温...

統計情報

19
関連品種数
1
関連作物数
9
関連メーカー数
0
関連農業資材数

タグ情報

種別 栽培環境・条件