ZYMV耐性ズッキーニ品種の選び方|ズッキーニ黄斑モザイクウイルス対策

タグ名: ZYMV耐性ズッキーニ

病害耐性 • 19品種で使用中

ZYMV耐性について

ズッキーニ黄斑モザイクウイルス(ZYMV)とは

ズッキーニ黄斑モザイクウイルス(Zucchini yellow mosaic virus、略号: ZYMV)は、ポティウイルス属に分類される植物ウイルスで、ズッキーニをはじめとするウリ科作物に深刻な被害をもたらします。ズッキーニにおいては最も重要なウイルス病の一つとして位置づけられています。

ZYMVに感染した株は、葉に黄色〜黄緑色のモザイク症状や葉の変形(葉の縮れ・奇形)が現れます。果実には凹凸やこぶ状の変形が生じ、著しい商品価値の低下を招きます。重度の感染では草勢が急激に低下し、収穫が不可能になることもあります。

ZYMVの伝染経路は主にアブラムシ(モモアカアブラムシ、ワタアブラムシ等)による媒介です。アブラムシは非永続的にウイルスを媒介するため、ごく短時間の吸汁でもウイルスが伝搬されます。この伝搬様式の特徴から、殺虫剤による防除だけではウイルスの拡散を完全に抑えることが難しく、耐病性品種の利用が重要な対策となっています。

国内では、露地ズッキーニの栽培が盛んな夏場にアブラムシの飛来が多くなるため、この時期のZYMV被害が深刻化しやすい傾向があります。

ZYMV耐病性の区分

ズッキーニにおけるZYMV耐病性は、品種によってその程度が異なります。種苗メーカーのカタログでは「ZYMV耐病性」「ウイルス病に強い」などの表記で示されることが一般的です。

品種選びで見落としがちなのが、耐病性の程度の違いです。耐病性品種であっても、高い接種圧(多量のウイルスが侵入する条件)の下では発病する可能性があります。「耐病性品種を植えたから安心」と過信せず、総合的な防除と組み合わせることが重要です。

ZYMVにはいくつかの系統が知られていますが、国内のズッキーニ品種においては、トマトのTYLCV耐病性のように系統ごとの耐性区分(HR/IR)が細かく記載されているケースは多くありません。メーカーカタログで「ZYMV耐病性」と記載されている場合は、国内で主に発生している系統に対して一定の耐性があると理解するのが基本です。

耐病性のメカニズムとしては、ウイルスの増殖を抑制する遺伝子を品種に組み込むことで、感染しても症状の発現を抑える仕組みが採用されています。ただし、これは「感染しない」ということではなく、「感染しても症状が軽い、または出ない」という性質であるため、ウイルスフリーを保証するものではありません。

歴史と豆知識

ZYMVは1981年にイタリアで初めて報告されたウイルスです。その後、世界各地のウリ科栽培地域で確認され、瞬く間にウリ科作物の主要ウイルス病の一つとして認知されるようになりました。

日本では1980年代後半から国内でのZYMV被害報告が増え始めました。当時はまだズッキーニの栽培面積が小さかったため、被害が大きくクローズアップされることは少なかったものの、2000年代以降のズッキーニ栽培面積の拡大に伴い、ZYMV対策は産地の重要課題となっています。

ZYMV耐病性品種の育成は、1990年代から各国の種苗メーカーで取り組みが始まりました。ウリ科作物の中でも特にズッキーニ(ペポカボチャ)での育種が進み、現在では国内で流通する主要品種の多くにZYMV耐病性が付与されています。

豆知識として、ZYMVはズッキーニだけでなくキュウリ、メロン、スイカなど広範なウリ科作物に感染します。そのため、ズッキーニ圃場の近くに他のウリ科作物が栽培されている場合は、相互に感染源となる可能性があります。輪作計画や圃場配置を検討する際に考慮しておくと良い点です。

ZYMV耐病性の限界と注意点

ZYMV耐病性品種を導入しても、以下の点には注意が必要です。

耐病性品種であっても、高い接種圧の条件下では症状が発現することがあります。特に、圃場周辺にウイルスの感染源(罹病した他のウリ科作物や雑草)が多い環境では、アブラムシによるウイルスの持ち込みが頻繁に起こり、耐病性が圧倒される場合があります。

ウイルスの変異による耐病性の崩壊リスクも存在します。RNAウイルスであるZYMVは比較的変異が起きやすく、将来的に既存の耐病性遺伝子を克服する新たな系統が出現する可能性は否定できません。この点は長期的なリスクとして認識しておく必要があります。

また、ZYMVだけに耐病性を持っていても、WMV(スイカモザイクウイルス)やCMV(キュウリモザイクウイルス)など他のウイルスへの耐性がなければ、これらのウイルスによる被害を受ける可能性があります。実際の圃場ではZYMVとWMVの複合感染が起こることも珍しくなく、複数のウイルスへの耐病性を兼ね備えた品種を選ぶことが、より安全な対策となります。

防除のポイント

ZYMVの防除は、耐病性品種の利用を軸に、物理的防除と耕種的防除を組み合わせた総合的な対策が効果的です。

アブラムシの飛来を抑制する物理的防除として、シルバーマルチの利用が有効とされています。シルバーマルチの反射光にはアブラムシの飛来を忌避する効果があり、特に栽培初期のウイルス感染リスクを低減できます。防虫ネットの設置も有効ですが、ズッキーニの受粉に必要なミツバチ等の訪花昆虫の行動を妨げないよう注意が必要です。

耕種的防除としては、圃場周辺の雑草管理が重要です。雑草がアブラムシの中継地点やウイルスの保毒植物になることがあるため、圃場周辺を清潔に保つことが感染リスクの低減につながります。

ここからが実際の栽培で差がつくところです。アブラムシによるZYMVの媒介は「非永続的伝搬」と呼ばれる様式で、アブラムシが数秒〜数十秒の短時間吸汁するだけでウイルスが伝搬されます。このため、通常の殺虫剤散布ではウイルスの伝搬を完全に防ぐことは困難です。アブラムシを殺す前にウイルスの伝搬が完了してしまうためです。この点を理解したうえで、殺虫剤はアブラムシの増殖抑制(二次的な感染拡大の防止)を目的として使用するのが適切です。

罹病株の早期発見と除去も重要な防除手段です。モザイク症状が確認された株は、圃場内での感染源になるため、発見次第抜き取って圃場外に持ち出すことで、周囲の健全株への二次感染リスクを下げることができます。

※農薬の使用にあたっては、必ず最新の農薬登録情報を確認し、ラベルの記載内容に従ってください。

現場の声

ZYMV耐病性品種の導入は、ズッキーニ産地の栽培安定性を大きく向上させた技術革新の一つです。

露地ズッキーニの産地では、かつてZYMVの蔓延によって収穫途中で栽培を打ち切らざるを得ないケースが少なくありませんでした。耐病性品種への切り替え後は、栽培後半までウイルス被害を抑えられるようになり、収穫期間の延長と総収量の安定化につながったという報告があります。

栽培現場では、ZYMV耐病性品種とシルバーマルチの併用が一般的な対策として定着しつつあります。品種の耐病性だけに頼るのではなく、アブラムシの飛来を物理的に抑制することで、より確実なウイルス対策を実現している産地が増えています。

品種選びにおいては、ZYMV耐病性に加えてWMV耐病性も兼ね備えた品種を求める声が多くなっています。複数のウイルスへの耐性を持つ品種は、圃場でのウイルス被害リスクを総合的に下げることができるため、実用性が高いと評価されています。

まとめ

ZYMVはアブラムシによって媒介されるウイルス病で、ズッキーニの収量・品質に深刻な被害をもたらします。耐病性品種の導入は最も有効な対策の一つですが、高い接種圧やウイルスの変異による耐病性の限界も認識しておく必要があります。

品種選びにあたっては、ZYMV耐病性の有無を確認するとともに、WMVやCMVなど他のウイルスへの耐性も併せて検討することがポイントです。シルバーマルチや圃場周辺の雑草管理など物理的・耕種的防除を組み合わせた総合的な対策で、安定したズッキーニ栽培を実現することが重要です。

タグ情報

基本情報

タグ名
ZYMV耐性ズッキーニ
種別
病害耐性

使用状況

関連品種数
19品種
関連作物数
1作物
関連メーカー数
8社

関連品種(19品種)

ズッキーニ (19品種)

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統計情報

19
関連品種数
1
関連作物数
8
関連メーカー数
0
関連農業資材数

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種別 病害耐性