WMV耐性ズッキーニ品種の選び方|スイカモザイクウイルス対策と品種一覧

タグ名: WMV耐性ズッキーニ

病害耐性 • 7品種で使用中

WMV耐性について

スイカモザイクウイルス(WMV)とは

スイカモザイクウイルス(Watermelon mosaic virus、略号: WMV)は、ポティウイルス属に分類される植物ウイルスで、ウリ科作物全般に感染する重要なウイルス病です。名称に「スイカ」と含まれていますが、ズッキーニ・カボチャ・キュウリ・メロンなど幅広いウリ科作物に被害を及ぼします。

WMVに感染した株では、葉にモザイク症状(黄緑色と緑色のまだら模様)や葉の縮れが現れます。進行すると果実にも変形や凹凸が生じ、商品価値が著しく低下します。草勢の低下によって着果不良や果実の肥大不足が起こり、収量にも大きな影響を与えます。

WMVの伝染経路は、ZYMVと同様にアブラムシ(モモアカアブラムシ、ワタアブラムシ等)による非永続的伝搬です。アブラムシが短時間の吸汁でウイルスを伝搬するため、殺虫剤だけでは伝搬を完全に防ぐことが困難です。

まず押さえておきたいのが、WMVとZYMVは同じポティウイルス属に属し、同じアブラムシによって媒介されるため、圃場で複合感染が発生しやすいという点です。どちらか一方への耐病性だけでは十分な防除効果が得られない場合があり、両方への耐性を兼ね備えた品種を選ぶことが実用上は重要です。

WMV耐病性の区分

WMV耐病性の表記は、品種カタログにおいて「WMV耐病性」「WMVに強い」「ウイルス病耐病性(WMV)」などの形で記載されています。ZYMVと同様に、国内のズッキーニ品種ではHR(高度耐病性)・IR(中程度耐病性)の国際基準に基づく細かい区分が明記されているケースは限られています。

WMVにもいくつかの系統が存在することが知られています。現在の耐病性品種は主に国内で流通している系統に対応していますが、新たな系統の出現によって耐病性の効果が変動する可能性は否定できません。

品種選びで見落としがちなのが、WMVとZYMVの耐病性を個別に確認する必要がある点です。品種カタログで「ウイルス病に強い」と一括りに記載されていても、実際にはZYMVにのみ耐性があり、WMVへの耐性は付与されていない品種も存在します。どのウイルスに対して耐病性があるのかを具体的に確認することが重要です。

歴史と豆知識

WMVは、世界的にウリ科作物に分布する代表的なウイルスの一つで、古くから存在が知られています。かつては「WMV-2」と呼ばれていた時期もあり、文献によって表記が異なることがあります。現在はICTV(国際ウイルス分類委員会)の命名規則に基づき「Watermelon mosaic virus(WMV)」に統一されています。

日本国内でのWMVの発生は、ズッキーニが本格的に栽培されるようになる以前から、キュウリやスイカなど他のウリ科作物で確認されていました。ズッキーニの栽培面積拡大に伴い、ズッキーニにおけるWMV被害が顕在化してきた経緯があります。

豆知識として、WMVはウリ科以外にもマメ科やアカザ科など、200種以上の植物に感染する宿主範囲の広いウイルスです。この広い宿主範囲のため、圃場周辺の雑草が感染源として機能する可能性があり、雑草管理がWMV対策の一環として重要視されています。

WMV耐病性品種の育成は、ZYMVと並行して進められてきました。近年では、ZYMVとWMVの両方に耐性を持つ複合耐病性品種が増えてきており、産地での実用性が高まっています。

WMV耐病性の限界と注意点

WMV耐病性品種を導入する際には、以下の限界を理解しておく必要があります。

複合感染時のリスクがあります。WMVとZYMVが同時に感染する複合感染が圃場で起きた場合、どちらか一方への耐性だけでは十分な防御効果が発揮できないことがあります。実際の露地栽培では、同じアブラムシが複数のウイルスを同時に持ち込むケースもあるため、可能であれば複数のウイルスへの耐性を持つ品種を選ぶことが望ましいです。

高接種圧の条件下では、耐病性品種でも発病する可能性があります。圃場内外にウイルスの感染源が多い場合や、アブラムシの飛来が大量に起こる年は、耐病性が圧倒されるリスクが高まります。

ウイルスの系統変異による耐病性崩壊のリスクも長期的な課題です。RNAウイルスであるWMVは変異が起きやすい性質を持っており、既存の耐病性遺伝子を克服する新系統の出現は理論上あり得ます。耐病性品種だけに依存しない総合防除体系を構築しておくことが大切です。

防除のポイント

WMVの防除は、ZYMVと同じくアブラムシの媒介を前提とした総合的な対策が求められます。

物理的防除として、シルバーマルチの利用はWMV対策においても有効です。シルバーの反射光がアブラムシの飛来を抑制し、栽培初期のウイルス感染リスクを低減します。定植時からシルバーマルチを設置することで、最も感染リスクの高い生育初期の防御を強化できます。

耕種的防除としては、圃場周辺の雑草管理が特に重要です。WMVは宿主範囲が広く、圃場周辺の雑草がウイルスの保毒植物(ウイルスを維持している植物)として機能する可能性があります。圃場の内外を清潔に保つことで、感染源を減らす効果が期待できます。

ここからが実際の栽培で差がつくところです。WMVの防除においては、同じ圃場や近隣で栽培している他のウリ科作物との関係にも注意が必要です。キュウリやスイカ、メロンなどがWMVに感染している場合、これらの作物からアブラムシを介してズッキーニにウイルスが持ち込まれます。ウリ科作物の作付け配置を考慮し、感染リスクの分散を図ることも実践的な対策の一つです。

罹病株の早期発見と除去は、圃場内での二次感染を防ぐ基本的な対策です。モザイク症状が確認された株は速やかに抜き取り、圃場外に搬出して処分します。

※農薬の使用にあたっては、必ず最新の農薬登録情報を確認し、ラベルの記載内容に従ってください。

現場の声

WMV耐病性品種の導入は、ZYMVとの複合感染リスクが高い産地で特に効果を発揮しています。

露地ズッキーニの産地では、「ZYMVだけの耐病性品種を使っていたが、WMVによる被害が出るようになった」という経験を経て、ZYMVとWMVの複合耐病性品種に切り替えた事例が報告されています。複合耐病性品種への移行後は、ウイルス被害による減収が大幅に改善されたとのことです。

栽培現場では、品種の耐病性に加えて、シルバーマルチの設置と圃場周辺の雑草管理を組み合わせた三位一体の防除体系が実践されています。産地によって事情が異なるので一概には言えませんが、これらの対策を組み合わせることで、ウイルス被害のリスクを総合的に低減できると考えられています。

品種選びに関しては、WMV耐病性の有無だけでなく、ZYMV耐病性やうどんこ病耐病性も併せて確認する生産者が増えています。複数の病害への耐性を兼ね備えた品種は、防除コストの削減と栽培管理の省力化にもつながるため、実用的な選択肢として評価されています。

まとめ

WMVはアブラムシが媒介するウイルス病で、ズッキーニの葉や果実にモザイク症状・変形を引き起こし、収量と品質に大きな被害をもたらします。ZYMVとの複合感染が起こりやすいことが特徴であり、両方への耐性を持つ品種を選ぶことが実用上のポイントです。

品種選びにあたっては、WMV耐病性の有無を単独で確認するだけでなく、ZYMV・CMVなど他のウイルスへの耐性も併せて検討することが望ましいです。シルバーマルチや雑草管理など物理的・耕種的防除を組み合わせた総合対策で、安定したズッキーニ栽培につなげることが重要です。

タグ情報

基本情報

タグ名
WMV耐性ズッキーニ
種別
病害耐性

使用状況

関連品種数
7品種
関連作物数
1作物
関連メーカー数
4社

関連品種(7品種)

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関連品種数
1
関連作物数
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種別 病害耐性