四季なりイチゴの品種一覧
タグ名: 四季なりイチゴ
対象作物 • 12品種で使用中
四季なりについて
四季なりイチゴ
四季なりイチゴとは
四季なりイチゴとは、日長条件にかかわらず花芽を連続的に分化し、春から秋にかけて長期間にわたり収穫が可能なイチゴの品種群を指します。一般的なイチゴ(一季なり品種)は短日条件(日照時間が13時間以下程度)で花芽分化が誘導されるため、収穫期は主に12月〜翌5月に限られます。これに対し、四季なり品種は日長の長い夏季でも花芽分化が継続するため、6月〜11月の夏秋期にも果実を収穫できます。
四季なり品種は「everbearing(エバーベアリング)」とも呼ばれ、花芽分化の日長反応が「日長中性」または「長日性」の特性を持ちます。一季なり品種が秋の短日条件で花芽分化した後に休眠期を経て春に開花・結実するのに対し、四季なり品種は高温長日条件下でも花芽分化と開花を繰り返すため、栽培管理の考え方が大きく異なります。
まず押さえておきたいのが、四季なりイチゴは一季なりイチゴとは栽培体系が根本的に異なるという点です。苗の準備、定植時期、温度管理、施肥設計のすべてが異なるため、一季なりの栽培経験をそのまま適用することはできません。四季なり品種を導入する際は、品種特性に合わせた栽培体系を一から組み立てる必要があります。
この特性の魅力
四季なりイチゴの最大の魅力は、一季なり品種では収穫が困難な夏秋期(6月〜11月)にイチゴを出荷できることです。国産イチゴの出荷量は12月〜5月に集中しており、夏秋期は端境期となります。この時期のイチゴは輸入品やケーキ用の業務需要に依存しているため、国産の夏秋イチゴには高い市場価値があります。
夏秋期のイチゴ単価は冬春期と比較して高い水準で推移することが多く、特に7月〜9月のケーキ用需要は堅調です。洋菓子店やホテルのパティシエは国産イチゴを求める傾向が強く、品質の良い夏秋イチゴには安定した引き合いがあります。
ここからが実際の栽培で差がつくところです。四季なり品種は長期間にわたり着果が続くため、一季なり品種と比べて株への負担が大きくなります。連続した収穫による草勢の低下は果実品質(糖度・果実サイズ)の低下につながるため、長期間にわたり草勢を維持するための施肥管理と摘花管理が経営成績を大きく左右します。
観光農園においては、通常のイチゴ狩りシーズン(1月〜5月)に加えて夏秋期のイチゴ狩りを提供できることは大きな差別化要因です。夏休み期間中のイチゴ狩りは家族連れの集客に効果的で、閑散期の収入確保につながります。
また、家庭菜園向けの苗としても四季なり品種は人気があります。プランター栽培で春から秋まで収穫を楽しめるため、園芸店やホームセンターでの需要も安定しています。
適した品種の特徴
四季なり品種を選ぶ際に注目すべき特性がいくつかあります。
花芽の連続性は、四季なり品種の最も重要な特性です。品種によって花芽分化の連続性に差があり、夏季の高温期でも安定して花芽を分化し続ける品種と、30℃以上の高温条件で花芽分化が停滞する品種があります。夏秋どりを安定させるためには、高温期でも花芽の連続性が途切れにくい品種を選ぶことが重要です。
果実品質については、四季なり品種は一季なり品種と比較して糖度がやや低い傾向がありましたが、近年の品種改良により食味が大幅に改善されています。特に糖度と酸味のバランスが良い品種は、生食用としても業務用としても評価が高くなっています。
果実の硬さ(果肉硬度)は、夏秋期の出荷で特に重要な特性です。気温が高い時期は果実が軟化しやすいため、果肉が硬く日持ちの良い品種が流通面で有利です。ケーキのデコレーション用途では、カットしても果肉が崩れない硬さが求められます。
耐暑性は、夏秋どりの成否を決定づける特性です。夏季の高温条件下でも生育が安定し、花粉の稔性が維持される品種が望ましいです。耐暑性が不十分な品種は、夏季に受粉不良による奇形果が多発し、秀品率が大幅に低下します。
収量性については、四季なり品種は一季なり品種に比べて1株あたりの総収量が少ない傾向があります。これは花芽分化と果実発育が同時に進行するため、個々の果実への養分配分が分散されることに起因します。品種選びでは、果実サイズと収量のバランスを見極めることがポイントです。
栽培のポイント
四季なりイチゴの栽培体系は、一季なり品種とは大きく異なります。
苗の準備では、四季なり品種は親株からのランナー増殖が一季なり品種より少ない傾向があり、苗の確保に計画的な取り組みが求められます。近年は種子繁殖型の四季なり品種(「よつぼし」等)も登場しており、苗の確保が容易になるケースも出てきています。
定植時期は、夏秋どりの場合は3月〜4月の春定植が一般的です。高冷地(標高600m以上)での栽培が多く、夏季の冷涼な気候を活かして品質の良いイチゴを生産します。平坦地での夏秋どりは、高温対策(遮光ネット、細霧冷房等)が不可欠です。
温度管理は、四季なり品種の栽培で最も注意が必要な管理項目です。生育適温は15〜25℃で、30℃以上の高温が続くと花芽分化が停滞し、受粉不良や果実品質の低下が起こります。夏季の高温対策として、遮光率30〜50%程度の遮光資材の利用や、夜間の換気による夜温低下が重要です。
施肥管理では、長期間にわたる連続収穫を支えるための安定的な養分供給が求められます。液肥による追肥を1〜2週間ごとに行い、窒素・カリウムを中心に草勢を維持します。草勢が低下すると果実が小粒化し、糖度も低下するため、株の生育状態を観察しながらきめ細かな施肥調整を行います。
意外と知られていないのですが、四季なり品種では摘花管理が収量と品質のバランスを取るうえで極めて重要です。全ての花を着果させると果実が小粒化するため、株の草勢に応じて花房あたりの着果数を制限します。特に夏季の高温期は草勢が低下しやすいため、思い切った摘花が果実品質の維持に効果的です。
病害虫対策では、夏秋期に発生しやすいハダニ類・アザミウマ類への対応が重要です。高温乾燥条件で増殖するハダニは、四季なりイチゴの最大の害虫と言えます。天敵利用(チリカブリダニ等)を組み合わせた総合的な防除体系の構築が望ましいです。
品種選びのコツ
四季なりイチゴの品種選びでは、栽培条件と販売先に合わせた品種選定が重要です。
業務用(ケーキ用)を主な販売先とする場合は、果実の硬さと形状の揃いを重視します。パティシエが求めるイチゴは、カットしても果肉が崩れず、円錐形で大きさが揃っていることが条件です。果皮の色が鮮やかで、光沢のある品種が外観面で有利です。
直売所・観光農園での販売を重視する場合は、糖度と食味を最優先します。消費者は見た目と甘さで購入を決めることが多いため、糖度が高く食味に優れた品種が販売に有利です。観光農園では、株の草姿がコンパクトで果実が見えやすい品種が摘み取りやすく好まれます。
産地によって事情が異なるので一概には言えませんが、四季なり品種の選定で最も重要なのは、自分の栽培地域の夏季の気温条件と品種の耐暑性の適合性です。同じ品種でも、高冷地と平坦地では収量・品質に大きな差が出ます。試作を通じて、自分の圃場条件での品種の実力を確認することが不可欠です。
種子繁殖型品種(「よつぼし」等)は、苗の確保が容易で均一な苗が得られるメリットがありますが、栄養繁殖型品種と比べて品種の選択肢がまだ限られています。今後の品種開発の進展に注目が必要です。
市場動向とこれから
四季なりイチゴ(夏秋イチゴ)の市場は、着実に拡大しています。国産の夏秋イチゴへの需要は洋菓子業界を中心に堅調であり、生産量の増加が求められている状況です。
生産地域としては、北海道、東北、長野県などの冷涼地が中心ですが、高設栽培や環境制御技術の発達により、平坦地での夏秋どり栽培への挑戦も広がりつつあります。スマート農業技術の導入による温湿度管理の自動化は、四季なり品種の栽培管理を効率化する可能性を持っています。
品種育成の面では、耐暑性と食味の両立が最も重要な育種目標です。近年は国内の種苗メーカーや公的研究機関から、食味に優れた四季なり品種が相次いで発表されており、「夏秋イチゴは味が落ちる」というイメージは急速に変わりつつあります。
種子繁殖型品種の開発も注目すべきトレンドです。従来の四季なり品種はランナーによる栄養繁殖が主流でしたが、種子から育てる品種の登場により、苗の確保コストの削減と病害フリー苗の利用が可能になっています。
今後の展望としては、夏秋期のイチゴ需要が引き続き拡大する中で、四季なり品種の品質改良と栽培技術の高度化がさらに進むと見込まれます。特に、高糖度と耐暑性を高いレベルで両立させた品種の開発、そして環境制御技術と組み合わせた周年生産体系の確立が、今後の四季なりイチゴの発展を左右する重要なテーマです。
まとめ
四季なりイチゴは、日長条件にかかわらず花芽を連続的に分化し、夏秋期にイチゴを収穫・出荷できる品種群です。一季なり品種では対応できない6月〜11月の端境期に国産イチゴを供給できることが最大の価値であり、業務用・直売所・観光農園などの販売チャネルで安定した需要があります。
品種選びにあたっては、花芽の連続性・耐暑性・果実品質・収量性を総合的に評価し、栽培地域の気候条件と販売先に合った品種を選定することが重要です。栽培管理では、夏季の高温対策、長期収穫を支える施肥管理、草勢に応じた摘花管理が品質と収量の安定に直結します。一季なり品種とは異なる栽培体系であることを理解し、品種特性に合わせた管理を実践することが成功の鍵です。
タグ情報
基本情報
- タグ名
- 四季なりイチゴ
- 種別
- 対象作物
使用状況
- 関連品種数
- 12品種
- 関連作物数
- 1作物
- 関連メーカー数
- 4社
関連品種(12品種)
イチゴ (12品種)
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