栽培環境・条件

耐暑性のシュンギク品種一覧 全10種類

耐暑性シュンギク 耐暑性シュンギクとは 耐暑性シュンギクとは、夏から秋にかけての高温期においても、とう立ち(抽苔)を起こしにくく、安定した生育・収穫が期待できるシュンギク品種の総称です。 シュンギク(春菊、Glebionis coronar

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耐暑性について

耐暑性シュンギク

耐暑性シュンギクとは

耐暑性シュンギクとは、夏から秋にかけての高温期においても、とう立ち(抽苔)を起こしにくく、安定した生育・収穫が期待できるシュンギク品種の総称です。

シュンギク(春菊、Glebionis coronaria)は本来、冷涼な気候を好む作物です。発芽適温は15〜20℃程度であり、生育適温は10〜25℃の範囲とされています。気温が高くなると植物体がストレスを受け、栄養生長から生殖生長への切り替え(とう立ち)が促進されます。とう立ちが始まると、茎が急激に伸長して硬くなり、葉が小さくなるとともに食味が落ちます。このため、一般的なシュンギク品種では夏期(6〜8月)の栽培が困難になります。

耐暑性品種は、こうした高温条件下でのとう立ちの進行を抑制する性質(晩抽性)と、高温に対する生育の安定性を兼ね備えた品種です。ただし「耐暑性がある」といっても、品種によってその程度には差があります。産地や品種によって「高温でも30℃以上で栽培可能」なものもあれば、「通常品種よりやや高い温度まで耐える」程度のものもあり、一律の基準があるわけではありません。

耐暑性の仕組みとメカニズム

シュンギクの耐暑性に関連する主な要因として、光周期反応と気温反応の2つが挙げられます。

シュンギクはある種の長日性(長日条件になると花芽形成が促進される性質)を持つとされており、日が長くなる夏期に花芽形成が促進される傾向があります。耐暑性品種の多くは、この日長と高温に対する花芽形成の感応性が低く設計されており、夏の長日・高温条件下でも栄養生長を維持しやすい性質を持ちます。

意外と知られていないのですが、シュンギクの「とう立ちしやすさ」は気温だけでなく、日長・積算温度・土壌水分など複数の要因が複合的に絡み合っています。高温対策として遮光ネットを使って温度を下げるとともに、均一な灌水で根域の温度を安定させることが、耐暑性品種を活かす栽培のポイントです。夏期の栽培環境を整えることで、品種の耐暑ポテンシャルを最大限に引き出すことができます。

耐暑性シュンギクのメリット

耐暑性品種を導入する最大のメリットは、出荷時期の拡大です。

通常品種では難しい夏期(6〜9月)の作型に対応できるため、シュンギクの品薄期に出荷を継続できます。一般的に夏場はシュンギクの市場入荷量が減少するため、安定して出荷できる産地・生産者は希少性が高まります。価格面でも、需給が締まる時期に出荷できれば単価が高くなる傾向があります。

また、周年または長期間の出荷体制を構築したい産地にとって、耐暑性品種は欠かせないパーツです。秋冬作の株張り型品種を主力としながら、夏秋作には耐暑性品種を組み合わせることで、年間を通じた出荷スケジュールの設計が可能になります。

消費者・実需者の観点からも、年間を通じてシュンギクを安定調達できることは、業務用利用者(食品加工・外食等)にとって大きなメリットです。「夏はシュンギクが手に入らない」という課題を解消できる産地は、取引先からの評価が高まります。

栽培のポイント

耐暑性シュンギクを高温期に栽培する場合、品種の特性を最大限に活かすための環境整備が重要です。

播種・定植については、夏作であれば5〜7月の播種が中心になります。高温期の発芽率低下を防ぐため、播種前に土壌をしっかり灌水して地温を下げることが有効です。発芽後も、気温が極端に高い日中は遮光ネット(遮光率30〜50%程度)を利用して葉焼けや高温障害を防ぎます。

ここからが実際の栽培で差がつくところです。耐暑性品種を使っていても、土壌水分の不足(乾燥ストレス)が重なると、とう立ちの促進につながることがあります。夏期は蒸散量が多く、土壌水分の消耗が速いため、灌水の頻度と量を通常より増やす管理が必要です。点滴灌水やマルチによる地温上昇の抑制も、耐暑性品種の能力を引き出す環境整備として有効です。

栽植密度については、高温期は通気性の確保が病害予防にもつながるため、夏作では密植を避けて株間を標準より広めに取ることが望ましいです。

病害虫については、高温多湿期には斑点病・灰色かび病・アブラムシ類の発生リスクが高まります。株間を広げて通気性を確保し、罹病葉の早期除去と発生初期の防除が品質を守るうえで重要です。

品種選びのコツ

耐暑性シュンギクの品種を選ぶ際は、以下の観点を確認することが有効です。

  • 耐暑・晩抽の強さの程度: カタログに「高温期の作付けに適する」「夏秋作向き」等の記載を確認する。品種によって耐暑の程度に差があるため、試作での確認が重要
  • 栽培タイプ: 夏期は株張り型よりも短期間で収穫できる品種が管理しやすい場合がある。生育日数の短い品種を選ぶことで、高温ストレスにさらされる期間を短縮できる
  • 病害耐性: 夏期に多発しやすい病害への耐性を持つ品種を選ぶと、防除負担を軽減できる
  • 香りと食味: 高温期に収穫したシュンギクは食味が変わることがある。品種の高温時の食味特性を試作で確認しておくと安心
  • 地域適性: 産地の夏期気温・日照条件に適した品種を選ぶ。カタログの適地情報や種苗メーカーへの問い合わせが参考になる

市場動向とこれから

シュンギクの国内消費は秋冬(鍋料理シーズン)に集中する傾向があり、夏期の流通量は相対的に少ない状況が続いています。しかし近年は、施設栽培の発展や耐暑性品種の普及により、夏期のシュンギク生産が広がりつつあります。

外食産業・食品加工業界では、食材の安定調達への需要が高まっており、「季節を問わず安定供給できる産地」への評価が上昇しています。耐暑性シュンギクは、こうした周年安定調達の需要に応えられる品目として、産地の新たな武器になり得ます。

また、管理された施設(ガラス室・ビニールハウス)内での周年栽培や、水耕・養液栽培との組み合わせによる夏期生産も研究・実証が進んでいます。耐暑性品種と施設技術の組み合わせが、シュンギクの周年安定生産モデルを構築するカギになると考えられています。

まとめ

耐暑性シュンギクは、夏から秋の高温期にとう立ちを抑制して安定した生育・収穫ができるシュンギクの品種群です。シュンギクの弱点である「夏は作れない」という課題を克服するための重要な選択肢であり、出荷期間の拡大・周年供給体制の構築に貢献します。

品種の耐暑性を最大限に発揮させるためには、品種特性に合った栽培環境の整備(遮光・灌水・密度管理)が不可欠です。品種選びでは耐暑の程度・生育日数・病害耐性を総合的に確認し、必ず試作で自産地への適性を確かめてから本格導入することが成功への近道です。

ミノリスの品種ページでは、耐暑性シュンギクタグが付いた品種の一覧を確認できます。夏作向けの品種選びにご活用ください。

10品種 表示中
たつなみ春菊

たつなみ春菊

中原採種場株式会社

低温伸長性があり、揃い抜群の中太葉系!! ■特性 ・本種は従来の博多改良中葉春菊を更に改良した極早生豊産種。 ・特に低温伸長性があり揃い、収量、品質を改良した理想の中太葉種。 ・草姿は旺盛で耐暑・耐寒性に強く、ハウスの抜き取り出荷には最高の特性を発揮する。 ・耐病性は、芯枯病、炭ソ病、ベト病に強く作り易い。

ふくすけ春菊

ふくすけ春菊

中原採種場株式会社

晩抽性で揃いの良い、丸葉系おたふく春菊!! ■特性 ・耐暑、耐寒性があり、淡緑色で極大葉の抽苔の遅い丸葉系おたふく春菊。 ・草姿は半立性で、葉は厚肉でやわらかく、香気に富み、市場性の高い良品が多収できる。 ・生育は旺盛で、側枝の発生力は強く、栽培はいたって容易で、露地とハウスで周年出荷が可能。 ・根つきの束ね出荷及び摘とり出荷に好適。

フレッシュサラダ春菊

フレッシュサラダ春菊

山陽種苗株式会社

やわらかな大葉春菊 サラダに最適!! ほんのり甘味!! ■【アパッチSコート】 PVP品種登録第23417号 アクが少ないので小さなお子様も食べていただけます。 水耕での利用も可能。 ■特性 ・葉は淡緑色でアクが少なく、甘味があるのでサラダでもおいしい。 ・葉幅広く、ゆるやかな切れ込みがある大葉春菊。 ・草姿はやや立性で株張りよくボリュームがある。 ・生育は中程度。抽苔は中〜やや早いので適期収穫を心掛ける。 ■栽培のポイント ・耐暑・耐寒性は強くないので適期播種を心掛ける。 ・好光性種子なので覆土は薄くして、発芽が揃うまでは乾燥に注意する。 ・冬季は、ハウス栽培とし、被覆資材を利用し保温を行う。 春菊のアパッチSコート種子 ★春菊の種子の果皮を取り除いた種子(ネーキッド)を種子消毒し、薄いペレットコート加工(アパッチSコート)したものです。 ★従来の生種子に比べると、発芽率が高く一斉発芽するメリットがあります。 ■【適した栽培型】 ・発芽率が高くなった分、播種機(ごんべえ等)やシーダーテープの利用ができ、間引き作業等の農作業の省力化が可能です。 ・一斉発芽しますので水耕栽培での利用にも向いています。

博多改良中葉春菊(4号)

博多改良中葉春菊(4号)

中原採種場株式会社

市場性高い極太葉系!! ■特性 ・ハウスから露地栽培で収量の多い伸長タイプの代表種。 ・揃い、収量、品質、耐病性を改良した理想の中葉種。 ・葉色は淡緑色の光沢強い、大葉に近い中葉で、強勢多収の品種である。 ・ハウス栽培から露地栽培と周年に良く、耐寒、耐暑性で、伸長力は強力で、ハウスの抜とり出荷には最高の良質多収を発揮する。 ・耐病性は夏に発生し易い炭ソ病に強く作り易い。

大葉春菊

大葉春菊

タキイ種苗株式会社

肉厚で香りと食味のよい大葉種! ■特長 ・耐暑・耐寒性にすぐれ、栽培容易で長期間収穫できる大葉種。 ・葉は大葉で切れ込みが少なく、葉肉は厚くてやわらかで、香りと食味がよい。 ・シュンギク特有のえぐみが少なく、生食も可能。 ■栽培の要点 ・均一な土づくりと適度な潅水で、一斉発芽を心掛ける。 ・条間20〜25cmで条まきし、本葉5枚までに株間15〜20cm間隔とする。 ・肥料は元肥主体とするが、摘みとり栽培では収穫の度に追肥を行う。 ・春まきは抽苔するので、早めに収穫する。

華江

華江

トキタ種苗株式会社

高温期栽培でも微量要素欠乏など出にくい栽培容易な品種 ■特性 草姿は立性で、首のしまり、尻張りともに優れたボリューム間のある品種です。耐暑性があり、高温期の栽培でも節間伸張や、微量要素の欠乏症状が出難いなど非常に栽培容易な品種です。 ■播き時期 高温期の5から9月が伸びすぎず播種適期です。低温期の播種は草丈が低くなります。 ■播種方法 栽培は育苗トレーやペーパーポットで育苗し定植します。直播では株揃いが悪くなるため育苗定植の方が良いでしょう。7〜9月上旬には遮光材で被覆することは良品生産上有効です。 ■植え付け 地温の上がり易い砂質畑での栽培は避けた方が良いでしょう。有機質に富んだ乾燥し難い畑が適地です。 ■土壌条件 条間30cm、株間20cmの1畝4条植えが良いでしょう。乾燥の激しい時期のため地温低下を目的に、白黒ダブルのマルチに定植すると好結果が得られます。 ■肥料 高温時の栽培で、肥料の分解が早い時期でもあり、多肥での栽培は禁物です。なんぷ病の発生も心配されます。窒素、燐酸、加里共に1平方メートル当たり各5g以内の少量施肥としてください。高温時で石灰欠乏症の出易い時期でもあり、苦土石灰を100g程度合わせて施用してください。 ■収穫 収穫は、草丈が25cm程度で、尻張りの直径が7〜8cmの小さめで根元からハサミで収穫してください。肥料切れで葉のつやが無いものは、新鮮味がなく食味も落ちます。 ■料理 中華料理には無くてはならない野菜ですが、和食でも小松菜の代用としたり、お浸し、油いため等用途はいろいろあります。

おたふく春菊

おたふく春菊

中原採種場株式会社

厚肉で揃いの良い晩抽品種!! ■特性 ・葉は淡緑色の極大葉で欠刻浅く、外観は金せん花の葉に似て良く揃う。 ・厚肉柔軟で香気に富む。 ・草姿は半立性で、揃いがよく出荷調整が楽である。 ・生育は初期より旺盛で、側枝の分枝性も高く、市場性の高い荷姿となる。 ・耐暑、耐寒性が強くハウスの周年栽培に最適。

博多改良中葉春菊(村田系)

博多改良中葉春菊(村田系)

中原採種場株式会社

伸長力の強い中太葉シュンギク!! ■特性 ・ハウスや露地栽培で収量の多い伸長タイプ。 ・草勢は旺盛で耐暑、耐寒性に強く、ハウスの抜き取り出荷には最高の特性を発揮する早生豊産種。 ・葉色は淡緑色の光沢の強い、大葉と中葉の中間の中太葉種。 ・耐病性は、芯枯病、炭ソ病、ベト病にかなり強く作り易い。

大葉春菊

大葉春菊

中原採種場株式会社

草勢強健、耐暑、耐寒性の強い早生種!! ■特性 ・本種は草勢強健、耐暑、耐寒性にすぐれ年中栽培出来る早生種。 ・葉は大型で柔らかく淡緑色を帯び、葉面は多少波状的で刻は浅い。 ・香気も高く、浸し物、合え物、テンプラ等に食味抜群である。 ・生育旺盛で下部の葉柄より多くの側枝を出し、横に拡がり長期間収穫出来る。

大葉春菊F

大葉春菊F

山陽種苗株式会社

多収型のおたふく系春菊 ■特性 ・広島近郊で栽培されていた系統の大葉春菊。 ・葉は切れ込みの少ない大葉で、秋〜早春播きに適している。 ■栽培のポイント ・冬場の播種はやや広めにし、光を充分に当てるようにする。 ・耐暑性はないので春播きの栽培では、日中高温にならないよう換気に注意する。 春菊のアパッチコート種子 ★春菊の種子の果皮を取り除いた種子(ネーキッド)を種子消毒し、薄いペレットコート加工(アパッチコート)したものです。 ★従来の生種子に比べると、発芽率が高く一斉発芽するメリットがあります。 ■【適した栽培型】 ・発芽率が高くなった分、播種機(ごんべえ等)やシーダーテープの利用ができ、間引き作業等の農作業の省力化が可能です。 ・一斉発芽しますので水耕栽培での利用にも向いています。

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