房どりトマト

果実・収量特性 • 9品種で使用中

房どりトマトについて

房どりトマトとは

房どりトマトは、果実を房ごと収穫・出荷するトマトです。ミニトマト(直径2〜3cm)から中玉トマト(直径4〜6cm)まで、房ごとに切り取るため、房の形や色の揃い、果実数が重要になります。房には8〜15粒程度が付くことが多い。見映えが良く、贈答や高級スーパー、飲食店でも扱われやすい。房単位で規格化しやすく、ロスも抑えやすい出荷形態です。

市場では「見た目の美しさ」と「規格の統一感」で差別化しやすく、カラーミックスや詰め合わせ、ギフト箱にも使われます。生食用が中心ですが、房ごと加工(低温ローストなど)するケースも。直売から量販、ECまで、訴求ポイントが明確で訴えやすい作物なんです。


房どりトマトの魅力

  • 見た目のインパクト
    房ごとに出荷するため、色や形の揃いが一目で伝わる。カラーミックスなら差別化もしやすい。

  • 規格化しやすい
    房単位で選別・計量できるので、作業がシンプルで歩留まりも読みやすい。業務用でも扱いやすい。

  • 贈答・ギフト向け
    パッケージに入れやすい形状で、高級感を出しやすい。季節の贈り物や企業ギフトにも重宝。

  • 色のバリエーション
    赤・黄・オレンジ・チョコ系など、房ごとに色を揃えやすく、ミックスパックの展開もしやすい。

  • 輸送性と日持ち
    果実が房に付いたままのため、個別に転がらず傷みにくい。梱包・運搬のロスも減らせます。

  • 外食での使いやすさ
    房ごとカット・盛り付けでき、見映えが良い。前菜やメインの付け合わせに適しています。


主な用途

  • 生食用(家庭・外食)
    サラダや前菜に房ごと使う。カットせず盛り付けられるため、外食でも扱いやすい。ビュッフェやワンプレートにも向く。

  • ギフト・プレミアムライン
    房の美しさと色揃いで高級感を出す。箱詰めや詰め合わせ、季節の贈り物としても動きやすいです。

  • 業務用パック
    房単位で規格化しやすく、納品・在庫管理がしやすい。レストランやホテル向けに人気。

  • カラーミックス展開
    赤・黄・オレンジなど複数色を組み合わせたパック。ECや直売所で差別化の核になりやすい。

  • 加工・半加工
    房ごとセミドライや低温ローストに。規格外を加工向けに回す二段構えも有効。


栽培のポイント

房どりトマトは「房としての品質」を意識した設計が重要です。個果だけでなく、房の形・果実数・色の揃いを管理します。

  • 施設栽培(ハウス・温室)
    ・着果調整で房ごとの果実数を揃える(8〜12粒程度が目安)。花房ごとに摘花・摘果を丁寧に
    ・房の色揃いを優先するため、着色管理(温度・日射・着果負荷)を均一化
    ・養液栽培ではECを上げ気味にし、灌水リズムで味を乗せる。昼夜較差で糖度を確保
    ・湿度・換気管理で灰色かび病やうどんこ病を防ぐ。葉かび病への耐病性も重要です

  • 露地栽培
    ・雨除けやマルチで水分変動を緩和し、房ごとの裂果を抑制
    ・着果過多を避け、房のバランスを保つ。カルシウム欠乏による尻腐れを防ぐ潅水管理
    ・高温期は日焼けや着色ムラに注意。房ごとの品質を揃えるため、摘葉と遮光を調整

  • 作型・地域適応
    ・冬春作は日射確保と加温コストの見極め。夏秋作は高温障害とコナジラミ対策を優先
    ・長期どりなら、葉かび・ToMV・根腐等の耐病性と、草勢維持のしやすさを重視

  • 病害虫と管理の注意点
    ・TYLCV地帯は防虫ネット・苗健全化・天敵導入の組み合わせ。初期密度を上げないこと
    ・コナジラミ、ハダニ、アザミウマは早期発見・早期防除。房が密になりやすいため巡回点検を
    ・房ごとの品質を揃えるため、着果・着色・摘葉のタイミングを標準化。作業日を固定して安定運用に


品種選びのコツ

房どりトマトは「房としての見た目と味」が評価されるため、個果だけでなく房全体のバランスを重視します。

  1. 房の形と果実数
    房ごとに果実数が揃いやすいか、房の形が美しいか。8〜12粒程度で安定して着果する系統が理想。

  2. 色の揃いと着色
    房ごとに色が揃うか、着色ムラが少ないか。カラーミックス展開なら、各色の着色タイミングが近いと管理しやすい。

  3. 味・食味
    糖度8度以上を狙えるか、酸味とのバランスはどうか。房ごとでも味が落ちないか確認。

  4. 耐病性パッケージ
    葉かび・うどんこ・ToMV・萎凋病・根腐など。長期どり・多段採りほど耐病性の差が歩留まりに直結します。

  5. 輸送性と日持ち
    房から果実が落ちにくいか、房ごとの裂果が少ないか。梱包・運搬でのロスを抑えるため重要。

  6. 収量性と作業性
    房ごとの可販率、選別のしやすさ、誘引・摘葉の手間。作業標準化に向く設計かどうか。

  • 例:直売・ECのギフト強化
    → 房の形が美しく、果実数が8〜10粒で安定。糖度8度以上を狙える赤系。着色ムラが少ない系統を優先。
  • 例:外食・業務用のカラーミックス
    → 赤・黄・オレンジの3色で、各色の房の形と果実数を揃える。着色タイミングが近く、管理を統一しやすい品種組み合わせ。
  • 例:量販向けの安定供給
    → 房ごとの品質が揃いやすく、耐病性が高く長期どりが可能。輸送性と日持ちに優れた系統を選定。

市場とこれから

家庭の“見た目の良さ”と“使いやすさ”、外食の“盛り付けの美しさ”が追い風で、房どりトマトの需要は底堅いです。特に、

  • 房ごとの色揃いと規格化による歩留まりの良さ
  • カラーミックスや詰め合わせでの差別化
  • ギフト・プレミアムラインでの訴求
  • 外食での扱いやすさと見映えの良さ
    が強み。今後は、
  • 糖度8度以上の安定ライン+房の美しさの両立
  • 規格外を房ごと加工(セミドライ・ロースト)に回す“二毛作”設計
  • IPMや環境制御の取り組みを可視化したブランド化
  • 輸出向けの梱包・物流設計とトレーサビリティ
    が伸び筋です。

まとめ

房どりトマトは、房ごとの見映えと規格化のしやすさで、贈答・外食・量販まで幅広く使える作物です。成功のポイントは、房の形・果実数・色の揃いを管理し、味(糖度8度以上)と輸送性を両立させること。品種選びでは、個果だけでなく房全体のバランス、耐病性、作業性を総合評価しましょう。販売先のニーズに合わせて、色の構成やサイズ、味の方向性を設計すれば、差別化と安定出荷を同時に実現できます。
次は、房どりトマトの具体的な品種一覧を見比べて、用途別の最適解を絞り込みましょう。現場で再現できる選択が、収益とリピートにつながっていきます。

タグ情報

基本情報

タグ名
房どりトマト
種別
果実・収量特性

使用状況

関連品種数
9品種
関連作物数
2作物
関連メーカー数
6社

関連品種(9品種)

ミニトマト (6品種)

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統計情報

9
関連品種数
2
関連作物数
6
関連メーカー数
0
関連農業資材数

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