うどんこ病耐性エンドウの品種一覧
タグ名: うどんこ病耐性エンドウ
病害耐性 • 6品種で使用中
うどんこ病耐性について
うどんこ病耐性エンドウ
うどんこ病とは
うどんこ病は、糸状菌(カビ)の一種である Erysiphe pisi を主な病原菌とするエンドウの重要病害です。その名の通り、葉や茎の表面にうどん粉をまぶしたような白い粉状のカビが広がるのが特徴的な症状です。発病初期は葉の一部にわずかな白い斑点が現れる程度ですが、病勢が進むと葉全体、さらに茎や莢にまで白いカビが広がり、光合成が著しく阻害されます。
うどんこ病は他の多くの糸状菌病害とは異なり、比較的乾燥した条件でも発生しやすいという特徴を持っています。発病適温は20〜25℃前後で、晴天が続き昼夜の温度差が大きい条件下で発生が助長されます。エンドウの栽培期間(秋まき春どり、春まき初夏どり)と発病適温が重なる時期が多いため、うどんこ病はエンドウ栽培における最も身近な病害の一つです。
まず押さえておきたいのが、うどんこ病は一度発生すると急速に蔓延しやすい病害であるという点です。白い胞子は風によって容易に飛散し、周囲の株や隣接する圃場にも短期間で感染が拡大します。また、気孔からではなく葉の表面から直接侵入するため、葉面が乾いた状態でも感染が成立します。この特性が、他のカビ病に比べてうどんこ病の防除が難しい要因の一つです。
重症化すると葉が黄変・枯死し、莢の肥大が不十分になるため、実エンドウやスナップエンドウでは収量と品質に大きな影響を及ぼします。サヤエンドウにおいても、莢に白カビが付着すると商品価値が著しく低下します。
うどんこ病耐性の仕組み
エンドウにおけるうどんこ病耐性は、遺伝的な抵抗性遺伝子によって制御されています。代表的な耐性遺伝子として er1、er2 などが知られており、これらの遺伝子を持つ品種は、うどんこ病菌の感染に対して高い抵抗性を示します。耐性品種では、菌糸の侵入や増殖が抑制されるため、白いカビの形成が軽微に留まるか、ほぼ認められません。
種苗メーカーのカタログでは「うどんこ病耐病性」「うどんこ病に強い」「Pm耐性」などの表記で耐性の有無が示されています。エンドウのうどんこ病耐性は他の作物と比較して遺伝的な解明が進んでおり、耐性遺伝子を明確に組み込んだ品種が複数育成されています。
意外と知られていないのですが、うどんこ病菌にもレース(病原型)の分化が存在します。耐性遺伝子の種類によって対応できるレースが異なるため、特定の耐性遺伝子を持つ品種が地域によっては十分な耐性を発揮しない可能性も理論的には存在します。ただし、日本国内のエンドウ栽培において、現時点で耐性品種の耐性が広範に崩壊しているという報告は限定的であり、耐性品種は概ね高い防除効果を発揮しています。
耐性品種であっても、極端な多発条件下では軽微な発病が見られることがあります。「耐性がある」とは「発病しにくい」特性を意味し、すべての環境条件で完全に発病を抑えることを保証するものではないことを理解しておく必要があります。
歴史と豆知識
うどんこ病は世界各地のエンドウ栽培地域で古くから知られた病害であり、エンドウの生産を制約する主要な病害の一つとして長い歴史があります。うどんこ病耐性エンドウの育種は、国際的にも重要な研究テーマとして取り組まれてきました。
エンドウのうどんこ病耐性遺伝子の研究は比較的早くから進められ、er1 遺伝子は1940年代にはすでに報告されていました。その後、er2 など複数の耐性遺伝子が同定され、これらを品種改良に活用した耐性品種の育成が世界各地で進められてきました。日本においても、国内の栽培条件に適した耐性品種の開発が進められています。
これ、実はエンドウ栽培でかなり重要なポイントです。うどんこ病は、エンドウ栽培において最も発生頻度の高い病害であり、特に栽培後期(収穫期が近づく時期)に急速に蔓延する傾向があります。収穫直前の薬剤散布は残留農薬の観点から制約があるため、栽培後期のうどんこ病対策は品種の耐病性に大きく依存する部分があります。耐性品種の導入は、収穫期の品質と安全性を両立させるうえで非常に合理的なアプローチです。
なお、うどんこ病菌は生きた植物体の上でのみ増殖する「絶対寄生菌」であり、枯れた残渣の上では長期間生存できません。しかし、近隣の宿主植物(エンドウや他のマメ科作物)が存在する限り、胞子の飛散による再感染が続くため、地域全体での発生を抑えるのは簡単ではありません。
うどんこ病耐性の限界と注意点
うどんこ病耐性品種を導入する際には、以下の点に注意が必要です。
レースの変異リスクは、長期的な観点からは考慮すべき課題です。現時点では日本国内で耐性崩壊の大規模な報告は限定的ですが、耐性品種の広範な普及が進むと、将来的に耐性を打破するレースが出現する可能性は否定できません。耐性品種への過度の依存を避け、総合的な防除体系を維持しておくことが望ましいです。
耐性品種の選択肢は、エンドウの用途(実エンドウ、サヤエンドウ、スナップエンドウ)によって異なります。うどんこ病耐性を持つ品種は増えていますが、すべての用途・作型に対応する品種が揃っているとは限りません。目的とする用途に合った品種の中から耐性品種を選定する必要があります。
うどんこ病耐性を持つ品種であっても、他の重要病害(つる割病、褐紋病、立枯病など)への耐性を兼ね備えているとは限りません。複数の病害が発生するリスクのある圃場では、うどんこ病耐性だけでなく、他の病害への耐性や総合的な栽培特性を確認したうえで品種を選定することが重要です。
また、耐性品種であっても基本的な栽培管理を怠れば、うどんこ病以外の病害や生育不良が発生する可能性は当然あります。品種の耐病性は防除手段の一つであり、適切な栽培管理との組み合わせが安定生産の前提条件です。
防除のポイント
うどんこ病の防除は、耐性品種の利用を中心に、耕種的防除と化学的防除を組み合わせて行います。
通気性の確保は、うどんこ病に限らず多くの病害の防除に有効です。エンドウは蔓性の品種が多く、生育が進むと株が密集して通気性が悪化しやすい傾向があります。支柱やネットへの適切な誘引、不要な側枝の除去によって、株間の風通しを改善することが発病抑制に寄与します。
窒素過多の回避も重要なポイントです。窒素の過剰施用は茎葉の過繁茂を招き、通気性の悪化と軟弱な組織の形成につながります。軟弱な組織はうどんこ病菌の侵入を受けやすいため、適正な施肥管理が耐病性を引き出す基盤となります。
ここからが実際の栽培で差がつくところです。エンドウのうどんこ病は、栽培の終盤に急激に蔓延するケースが多いです。耐性品種を導入していない場合、初期防除の徹底が鍵を握ります。発病を確認したら直ちに薬剤散布を行い、病勢の拡大を抑制します。発病してからでは治療効果は限定的であるため、発病が予測される時期(気温が上昇し始める4〜5月頃)に入ったら、予防的な散布を開始することが効果的です。
罹病した葉や茎の除去も蔓延防止に有効です。発病初期に罹病部位を速やかに除去し、圃場外に持ち出すことで、感染源となる胞子の量を減らすことができます。
連作回避は、うどんこ病だけでなくエンドウの土壌病害(つる割病など)の防除にも有効であり、マメ科以外の作物と3〜5年の輪作体系を組むことが推奨されています。
※農薬の使用にあたっては、必ず最新の農薬登録情報を確認し、ラベルの記載内容に従ってください。
品種選びのコツ
うどんこ病耐性エンドウの品種選びでは、以下のポイントを確認することが重要です。
- 用途の適合: 実エンドウ、サヤエンドウ、スナップエンドウのいずれの用途に使うのかを明確にし、用途に合った品種の中から耐性品種を選定する
- 耐性のレベル: 品種によってうどんこ病耐性の程度は異なる。高度な耐性を持つ品種と、中程度の耐性を持つ品種がある
- 作型への適合: 秋まき春どり、春まき初夏どりなど、栽培する作型に適した品種を選ぶ。作型によってうどんこ病のリスクが異なるため、リスクの高い作型ほど耐性品種の意義が大きい
- 他の病害への耐性: つる割病や褐紋病など、エンドウの他の重要病害への耐性を併せ持つ品種であれば、総合的な病害リスクの軽減が期待できる
- 収量性と品質: うどんこ病耐性に加えて、莢の品質(色・形・大きさ)、食味、収量性を総合的に検討する
- 草勢と草丈: 蔓性の高さや草勢の強さが、栽培管理の難易度に影響する。自分の栽培体系で管理しやすい品種を選ぶ
産地によって事情が異なるので一概には言えませんが、うどんこ病の発生が常態化している地域や、薬剤散布の回数を減らしたい生産者にとって、耐性品種の導入は合理的な選択です。家庭菜園においても、薬剤散布に頼らずに栽培したいという声に応える品種として、うどんこ病耐性品種は有力な選択肢です。
まとめ
うどんこ病は、エンドウ栽培において最も発生頻度の高い病害の一つであり、栽培後期に急速に蔓延して収量と品質に大きな影響を及ぼします。耐性品種の導入は、うどんこ病防除の基盤として非常に有効な手段であり、特に収穫期の品質維持と薬剤散布の削減に大きな効果を発揮します。
品種選びにあたっては、うどんこ病耐性のレベルに加え、用途(実エンドウ・サヤエンドウ・スナップエンドウ)への適合性、作型への適合性、他の病害への耐性、収量性と莢の品質を総合的に判断することが重要です。耐性品種であっても通気性の確保や適正施肥などの基本的な栽培管理との組み合わせにより、安定したエンドウ生産を実現することができます。
タグ情報
基本情報
- タグ名
- うどんこ病耐性エンドウ
- 種別
- 病害耐性
使用状況
- 関連品種数
- 6品種
- 関連作物数
- 1作物
- 関連メーカー数
- 4社
関連品種(6品種)
エンドウ (6品種)
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