早生シュンギク
熟期・収穫時期 • 6品種で使用中
早生について
早生シュンギク
早生シュンギクとは
早生シュンギクとは、播種から収穫開始までの日数が比較的短い品種群を指す熟期区分の一つです。シュンギクの生育速度は品種によって異なりますが、早生品種は播種後おおむね30〜40日程度で最初の収穫が可能になるものが多く、中生品種と比較して5〜10日程度早く収穫を開始できます。
シュンギクは葉菜類の中でも栽培期間が比較的短い作物ですが、早生品種はさらにこの期間を短縮できるため、回転率を重視する栽培体系に適しています。特に、株立ち型のシュンギクでは、わき芽の発生が早く、摘み取り収穫の開始が早い品種が早生に分類される傾向にあります。
早生品種は、秋冬期の需要期に合わせた作付けや、周年栽培における回転率の向上を目的として利用されます。鍋物シーズンの11月〜2月にかけての出荷を計画する場合、早生品種を活用することで播種から出荷までのサイクルを効率化できます。
ただし、「早生」の定義は栽培型(抜き取り型か摘み取り型か)によっても意味合いが変わります。抜き取り型では株ごと収穫するため播種から一度の収穫までの日数が指標になりますが、摘み取り型では最初のわき芽収穫までの日数に加え、その後の再生速度も含めて評価される場合があります。
この特性の魅力
早生シュンギクの最大の魅力は、栽培回転率の向上による面積当たりの生産効率の改善です。同じ面積のハウスや露地圃場で、年間の作付け回数を1回多く確保できる可能性があり、これは経営面で大きなメリットです。
まず押さえておきたいのが、シュンギクの市場価格は季節変動が大きいという点です。鍋物需要が高まる秋冬期は高値で推移し、夏場は需要減により価格が低下する傾向があります。早生品種を使って秋冬期に多くの出荷回数を確保することで、高値期の販売機会を最大化できます。
施設栽培においては、早生品種の短い栽培サイクルが暖房費の削減にもつながります。栽培期間が短いほど、ハウスを加温する期間が短縮されるため、冬場のエネルギーコスト面で有利に働く場合があります。
一方で、デメリットも認識しておく必要があります。早生品種は生育が旺盛な分、高温期にはとう立ち(抽台)が早まるリスクがあります。シュンギクは長日条件と高温によってとう立ちが促進される作物であり、早生品種では中生品種と比べてとう立ちまでの期間が短くなる傾向が見られることがあります。春〜夏の栽培では、品種のとう立ち特性を十分に確認する必要があります。
また、生育が速い分、収穫適期の判断にシビアさが求められます。収穫が遅れると葉が硬くなり、食味や食感が低下する場合があるため、こまめな見回りと適期の収穫が重要です。
適した作型と地域
早生シュンギクが特に活きるのは、秋冬期のハウス栽培や露地栽培です。9月〜11月に播種し、10月〜翌年2月にかけて収穫する作型では、早生品種を使うことで鍋物シーズンの需要ピークに合わせた出荷が実現しやすくなります。
施設栽培では、周年栽培の体系の中で早生品種の回転率の良さが活きます。特に、秋冬期に3〜4回の栽培サイクルを回す多回転型の栽培体系では、早生品種が適しています。無加温ハウスやトンネル栽培との組み合わせも有効です。
露地栽培においても、春播きや秋播きの早どりを目的として早生品種が利用されます。ただし、露地栽培では気温の変動が大きいため、栽培期間は施設栽培よりばらつきが出やすく、早生品種の生育日数も天候によって変動する点を考慮する必要があります。
地域的には、シュンギクの主産地である千葉県、大阪府、茨城県、福岡県などでは、作型や出荷計画に応じた品種選択が行われています。寒冷地では冬季の低温による生育遅延を見込んで早生品種を選ぶケースがある一方、温暖地では春先のとう立ちリスクを考慮して品種を選ぶ必要があります。
栽培のポイント
早生シュンギクの栽培では、早い生育スピードを活かしつつ、品質を維持する管理が重要です。
播種は、均一な発芽を得るために覆土の厚さと灌水管理に注意します。シュンギクの種子は好光性であるため、覆土は薄め(3〜5mm程度)に設定します。発芽適温は15〜20度であり、高温期や低温期の播種では温度管理に配慮が必要です。
ここからが実際の栽培で差がつくところです。早生品種は生育が速い分、間引きのタイミングが遅れると株が徒長しやすくなります。本葉2〜3枚時と5〜6枚時の2回に分けて間引きを行い、適正な株間(抜き取り型で5〜8cm、摘み取り型で15〜20cm)を確保することが重要です。
施肥管理では、シュンギクは比較的肥料吸収が穏やかな作物ですが、早生品種は生育スピードが速い分、肥切れを起こさないよう注意が必要です。基肥を中心とした施肥設計とし、摘み取り栽培の場合は各収穫後に追肥を行って再生を促進します。
温度管理は品質に直結します。シュンギクの生育適温は15〜20度であり、低温下では生育が著しく遅れ、高温下ではとう立ちのリスクが高まります。冬季のハウス栽培では、最低気温が5度を下回らないよう保温し、換気による温度調節を行います。
病害虫対策としては、べと病と灰色かび病が冬季の施設栽培で問題となりやすい病害です。換気管理による多湿の防止が予防の基本です。害虫ではアブラムシ類の防除が重要で、発生初期の対応が被害を最小限に抑えるポイントです。
品種選びのコツ
早生シュンギクの品種選びでは、栽培型と出荷先に合った品種を選ぶことが基本です。
- 栽培型との適合: 抜き取り型(株ごと収穫)向きか、摘み取り型(わき芽を順次収穫)向きかを確認します
- 葉型: 大葉種(中葉種)は葉肉が厚く市場での評価が高い傾向にあります。細葉種は香りが強いのが特徴です
- とう立ちの遅さ: 早生品種の中でも、とう立ちまでの日数に差があります。春まで栽培を続ける場合は晩抽性も考慮します
- 香りの強さ: シュンギクは独特の香りが持ち味ですが、消費者によって好みが分かれます。販売先のニーズに合った香りの程度を持つ品種を選びます
- 耐寒性: 冬季栽培では、低温下での生育力と葉色の維持が重要な選定基準です
意外と知られていないのですが、シュンギクの食味は品種間で差が大きい作物です。同じ早生品種でも、葉の厚さや柔らかさ、苦みの少なさに違いがあります。直売所向けの場合は、実際に試食して食味を確認することが品種選びの精度を高めます。
試作時には、2〜3品種を同条件で栽培し、生育の早さ・収量・葉の品質・とう立ちのタイミングを比較することが品種選定の基本です。
市場動向とこれから
早生シュンギクは、鍋物需要を中心とした秋冬期の出荷体制を支える品種群として、安定した需要があります。特に、10月〜12月の需要ピーク時に合わせた出荷を計画する産地では、早生品種が重要な位置を占めています。
品種育成の面では、早生性と品質の両立が育種の重要な方向性です。生育が早いだけでなく、葉肉が厚く食味に優れた品種の開発が進められています。また、とう立ちの遅さと早生性を両立させることも、種苗メーカーの重要な育種課題となっています。
産地によって事情が異なるので一概には言えませんが、近年はサラダ用として生食できるシュンギクへの関心が高まっており、苦みが少なく柔らかい葉質の品種が注目されています。早生品種においても、こうした新しい消費ニーズに対応した品種の開発が進むと考えられます。
今後の展望としては、労働力不足への対応として、収穫作業の効率化に適した草姿を持つ早生品種の需要が高まると予想されます。株立ちが良く、一斉に生育が揃う品種は収穫作業の効率化に寄与します。
まとめ
早生シュンギクは、播種から収穫開始までの日数が短く、栽培回転率の向上に貢献する品種群です。秋冬期の鍋物需要に合わせた出荷体制の構築や、施設栽培での多回転型栽培に適しています。
品種選びにあたっては、栽培型(抜き取り型・摘み取り型)との適合に加え、葉型、とう立ちの遅さ、食味、耐寒性を総合的に評価することが重要です。栽培面では、適正な株間の確保、施肥管理による肥切れの防止、温度管理によるとう立ちの抑制が安定した品質と収量の確保につながります。
タグ情報
基本情報
- タグ名
- 早生シュンギク
- 種別
- 熟期・収穫時期
使用状況
- 関連品種数
- 6品種
- 関連作物数
- 1作物
- 関連メーカー数
- 3社
関連品種(6品種)
シュンギク (6品種)
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