西洋種ホウレンソウの品種一覧

タグ名: 西洋種ホウレンソウ

対象作物 • 7品種で使用中

西洋種について

西洋種ホウレンソウ

西洋種ホウレンソウとは

西洋種ホウレンソウとは、ヨーロッパを中心に発展したホウレンソウの系統に由来する品種群です。東洋種ホウレンソウと対比される分類であり、葉の形態や生育特性、食味特性において明確な違いがあります。

西洋種の外観上の最大の特徴は、葉が丸みを帯びた形状をしていることです。東洋種の葉が切れ込み(欠刻)の深い剣葉型であるのに対し、西洋種は葉縁が滑らかで、卵形〜楕円形の丸葉を持っています。葉の表面はやや厚みがあり、光沢がある品種が多い傾向です。草姿は開帳性(葉が横に広がるタイプ)のものが多く見られます。

まず押さえておきたいのが、現在国内で栽培されているホウレンソウ品種の多くは、純粋な西洋種や東洋種ではなく、両者を交配した「交配種(交雑種)」であるという点です。しかし、品種の性質として「西洋種寄り」の特性を持つ品種は依然として多く、西洋種の特徴を理解しておくことは品種選びにおいて重要です。

西洋種の最大の栽培上の長所は、とう立ちが遅い(晩抽性が高い)ことです。東洋種が長日条件に非常に敏感でとう立ちしやすいのに対し、西洋種は長日・高温条件への感応性が鈍く、春〜夏の栽培に対応しやすい特性を持っています。このため、春まき〜夏まき栽培には西洋種系の品種が使われることが多くなっています。

消費者・市場ニーズ

西洋種ホウレンソウは、その丸葉の外観から、消費者にとって「柔らかそう」「食べやすそう」という印象を与える傾向があります。

食味の面では、東洋種と比較してシュウ酸含量がやや多い傾向がありますが、品種改良によってシュウ酸含量が低減された品種も増えています。加熱調理時の食感は、東洋種よりもやや柔らかく、お浸しにするとしっとりとした仕上がりになります。

市場での流通形態としては、束売り(根付きの束ね売り)が主流ですが、近年はカット野菜やパッケージサラダの素材としての利用も増えています。西洋種の丸い葉形は、カット加工時の作業効率が良く、加工業者からの需要が安定しています。

ここからが実際の栽培で差がつくところです。西洋種系の品種は、東洋種系と比較して葉の厚みがあるぶん、日持ちが良い傾向にあります。流通段階での品質低下が少なく、棚持ちが良いことは、量販店との取引において有利な特性です。

業務用市場では、冷凍ホウレンソウの原料としても西洋種系の品種が多く使われています。葉が厚く均一な形状であるため、加工適性に優れているためです。

価格面では、西洋種系の品種が特別に高い単価で取引されるわけではなく、一般的なホウレンソウと同等の価格帯で流通しています。ただし、春〜夏の端境期に出荷できる点での価格メリットがあります。

栽培上の注意

西洋種ホウレンソウの栽培では、その長所と短所を理解したうえでの管理が求められます。

最大の長所である晩抽性を活かし、春〜夏の栽培に用いるのが基本的な使い方です。3月〜7月の播種に対応できる品種が多く、東洋種では対応が難しい長日期の栽培を可能にします。

一方で、西洋種には耐寒性がやや弱いという特性があります。東洋種が冬季の低温に強く、露地でも越冬が可能であるのに対し、西洋種は低温下で生育が停滞しやすく、霜害を受けやすい傾向があります。このため、冬季の栽培には不向きなケースがあります。

病害虫への対応では、べと病への耐性が品種選びの重要なポイントです。ホウレンソウのべと病菌には多数のレースが存在し、最新のレースに対応した品種を選ぶことが防除の基本です。西洋種系の品種は耐病性育種が比較的進んでいるものが多いですが、品種ごとのレース対応は必ず確認する必要があります。

施肥管理では、西洋種は東洋種と比較して窒素の吸収が旺盛な品種が多い傾向があります。適正な施肥量を守り、窒素の過剰施用を避けることが、シュウ酸含量の抑制と品質の安定化につながります。

意外と知られていないのですが、西洋種系の品種は種子が丸粒(ラウンド種子)であることが多く、東洋種の角のある種子(刺種子)とは形態が異なります。丸粒種子は機械播種への適性が高く、コーティング種子の加工にも適しているため、大規模経営での播種作業の効率化に寄与しています。

関連品種の傾向

純粋な西洋種品種は、国内の種苗カタログでは徐々に減少傾向にありますが、西洋種の特性を強く引き継いだ交配種は多数育成されています。

品種の傾向として、西洋種寄りの品種は全般的に晩抽性が高く、春〜夏の栽培に適したものが多い傾向があります。葉色は淡緑色〜中緑色が主流で、東洋種系の濃緑色品種と比べるとやや明るい色合いの品種が多いです。

葉の厚みは比較的あるものが多く、加熱調理後の食感がしっかりしている点が特徴です。ただし、東洋種系のような「アク」のある独特の風味は弱い傾向にあり、食味の好みは分かれるところです。

草姿は開帳性のものが多く、東洋種系の立性品種と比較すると収穫・調製作業にやや手間がかかるケースがあります。ただし、近年は半立性や立性の西洋種寄り品種も育成されており、作業効率の面での改良が進んでいます。

近年の品種開発では、西洋種の晩抽性と東洋種の食味・外観品質を組み合わせた品種が主流であり、「純粋な西洋種」として栽培する場面は限定的になりつつあります。しかし、品種の特性を理解するうえで、西洋種の基本的な性質を知っておくことは有用です。

品種選びのコツ

西洋種系のホウレンソウ品種を選ぶ際には、以下の観点を総合的に検討することが重要です。

  • 晩抽性のレベル: 栽培時期の日長条件に合った晩抽性を持つ品種を選ぶ
  • べと病耐性(レース対応): 最新のレースに対応した品種を選定する
  • 葉色: 消費者の嗜好や出荷先の要求に合った葉色の品種を選ぶ。淡緑色が好まれる場合と濃緑色が好まれる場合がある
  • 草姿: 立性〜半立性の品種は収穫・調製の作業効率が高い
  • 食味: シュウ酸含量の少ない品種はえぐみが穏やかで、消費者の評価が高い傾向にある
  • 耐暑性: 夏季の栽培を計画する場合は、高温下での生育安定性を確認する

品種リレーの設計においては、西洋種系品種の適作期を正確に把握し、東洋種系品種や交配種との切り替え時期を明確にすることが、周年を通じた品質の安定化につながります。

市場動向とこれから

西洋種系ホウレンソウは、国内のホウレンソウ品種育成において重要な遺伝資源としての位置を維持しています。純粋な西洋種品種の栽培面積は限定的ですが、西洋種由来の晩抽性遺伝子は現在の主力品種の多くに組み込まれており、ホウレンソウの周年栽培を支える重要な遺伝的基盤となっています。

産地によって事情が異なるので一概には言えませんが、今後もホウレンソウの品種改良において西洋種の特性は重要な役割を担い続けると見込まれます。特に、気候変動に伴う夏季の高温化への対応として、西洋種由来の晩抽性・耐暑性の遺伝子は、今後の品種開発においても不可欠な要素です。

消費面では、加工用途(冷凍ホウレンソウ、カット野菜)でのホウレンソウ需要が拡大傾向にあり、加工適性に優れた西洋種系品種の役割は引き続き重要です。また、サラダ用途でのホウレンソウ需要の拡大に伴い、シュウ酸含量が少なく生食に適した西洋種系品種への関心も高まっています。

まとめ

西洋種ホウレンソウは、丸い葉形と高い晩抽性を特徴とする品種群であり、春〜夏の長日期の栽培に適した特性を持っています。東洋種と比較してとう立ちしにくく、加工適性や日持ちに優れる一方、耐寒性がやや弱く、冬季の栽培には不向きな面があります。

品種選びでは、栽培時期に合った晩抽性レベルとべと病耐性(レース対応)を確認し、葉色や草姿、食味特性を総合的に検討することがポイントです。現在のホウレンソウ品種の多くは西洋種と東洋種の交配種であるため、「西洋種寄り」の特性を理解しておくことが品種の特性把握に役立ちます。

タグ情報

基本情報

タグ名
西洋種ホウレンソウ
種別
対象作物

使用状況

関連品種数
7品種
関連作物数
1作物
関連メーカー数
5社

関連品種(7品種)

ホウレンソウ (7品種)

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7
関連品種数
1
関連作物数
5
関連メーカー数
0
関連農業資材数

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