べと病耐性エダマメの品種一覧

タグ名: べと病耐性エダマメ

病害耐性 • 2品種で使用中

べと病耐性について

べと病耐性エダマメ

べと病とは

べと病は、卵菌類(Peronospora manshurica)によって引き起こされるエダマメ(大豆)の重要病害です。卵菌類は一般的な糸状菌(カビ)とは分類学上異なるグループに属しますが、防除の考え方はカビ病に準じます。

主な症状としては、葉の表面に不整形の淡黄色〜黄緑色の病斑が現れ、葉の裏面には灰白色〜灰紫色のカビ状の胞子層が形成されます。この裏面のカビ状の外観が「べとべとした」印象を与えることが、病名の由来とされています。

感染が進行すると、病斑が拡大して葉全体が黄変・枯死し、光合成能力が著しく低下します。莢の充実不良や粒の肥大不足を引き起こし、収量と品質の両方に影響を及ぼします。特に、枝豆として若莢を出荷する場合は、外観品質が重視されるため、葉の病斑による光合成低下だけでなく、莢への直接的な被害も問題になります。

べと病は冷涼・多湿な条件で発生しやすく、梅雨時期や秋雨の時期に被害が拡大する傾向があります。露地栽培が主体のエダマメにとって、気象条件に左右されやすい病害の一つです。

べと病耐性の区分

エダマメにおけるべと病耐性は、品種によって程度が異なります。種苗メーカーの品種カタログでは、「べと病に強い」「べと病耐病性」などの表記で耐性の有無が示されていますが、トマトのTYLCV耐病性のようにHR(高度耐病性)・IR(中程度耐病性)の国際基準で明確に区分されているケースは多くありません。

品種選びで見落としがちなのが、この耐病性表記のあいまいさです。「べと病に強い」と記載されていても、その強さの程度は品種によって異なります。一部の品種では圃場レベルでの試験データに基づいて耐病性が評価されていますが、菌のレースや発生条件によって効果が変動することがあります。

べと病菌にはレース(系統)が存在することが知られており、大豆のべと病菌については複数のレースが報告されています。特定のレースに対して耐性を持つ品種であっても、別のレースが優勢な地域では十分な効果を発揮しない可能性があります。産地によって事情が異なるので一概には言えませんが、地域で発生しているべと病菌のレース情報を把握しておくことが、品種選びの精度を高めます。

歴史と豆知識

大豆のべと病は、世界各地の大豆栽培地域で発生が報告されている古くから知られた病害です。特に北米や南米の大豆主産地では経済的な被害が大きく、耐病性品種の育成が積極的に進められてきました。

日本においても、大豆栽培の歴史とともにべと病の発生記録は古くからあります。ただし、エダマメ(青果用大豆)としての品種改良においてべと病耐性が重視されるようになったのは比較的近年のことです。従来のエダマメ育種では、食味(甘み・香り・食感)や外観品質(莢色・粒の大きさ)が主要な選抜基準であり、耐病性は副次的な位置づけでした。

近年、エダマメの作付面積拡大や連作の増加に伴い、べと病の発生頻度が高まったことで、耐病性を備えた品種への需要が高まっています。特に、枝豆専用品種の育種においてべと病耐性を組み込む取り組みが各種苗メーカーで進んでいます。

豆知識として、べと病菌は種子伝染することが知られています。感染した種子から菌が次作に持ち込まれるリスクがあるため、種子の選別と健全な種子の使用が予防策の一つです。また、べと病菌の卵胞子は土壌中で長期間生存することができ、連作圃場ではリスクが蓄積する傾向があります。

べと病耐性の限界と注意点

べと病耐性品種を導入しても、それだけで完全にべと病を防げるわけではありません。以下の点に注意が必要です。

レースの変異による耐性崩壊のリスクがあります。べと病菌は遺伝的な多様性を持ち、新しいレースが出現する可能性があります。現在の耐性品種が対応していないレースが発生した場合、耐病性の効果が低下することがあります。

環境条件による発病リスクの変動も重要です。冷涼・多湿条件が長期間続く年は、耐病性品種であっても発病することがあります。特に、梅雨が長引く年や秋雨が早い年は注意が必要です。

連作による菌密度の上昇も見落とせないポイントです。べと病菌の卵胞子は土壌中で数年間生存するため、同一圃場でエダマメや大豆を連作すると、土壌中の菌密度が徐々に高まります。耐病性品種であっても、高い菌密度の条件下では発病リスクが上昇します。

品種の耐病性だけに頼るのではなく、輪作・排水管理・適期防除を組み合わせた総合的な防除体系を構築することが重要です。

防除のポイント

べと病の防除は、耐病性品種の利用を軸に、耕種的防除・化学的防除を組み合わせて行います。

耕種的防除として最も基本的なのは輪作です。エダマメの連作を避け、イネ科作物や根菜類などと3年以上の間隔でローテーションを組むことで、土壌中のべと病菌密度を低下させることが期待できます。

排水管理も重要な防除手段です。べと病菌は多湿条件で胞子の飛散・感染が活発になるため、圃場の排水性を高めることが発病リスクの低減につながります。暗渠排水や明渠の整備、高畝栽培の採用が有効です。

栽植密度の適正化も見逃せません。過密な栽植は株間の通気性を悪化させ、多湿環境を作り出します。品種に合った栽植密度を守ることで、葉面の乾きやすい環境を維持できます。

化学的防除については、エダマメ(えだまめ)に登録のある殺菌剤を発生初期に散布することが効果的です。予防的な散布が基本であり、発病後の治療効果は限定的です。散布タイミングは、発生が予想される時期(梅雨入り前後、秋雨の時期)に合わせて計画します。

※農薬の使用にあたっては、必ず最新の農薬登録情報を確認し、ラベルの記載内容に従ってください。

現場の声

エダマメ産地では、べと病対策に関してさまざまな実践事例が蓄積されています。

梅雨時期のべと病被害に悩まされていた産地では、耐病性品種への切り替えと併せて排水改善工事を実施したところ、被害面積が大幅に減少したという報告があります。品種の耐病性だけでなく、圃場環境の改善が相乗効果を発揮した事例です。

連作圃場でべと病が多発していたケースでは、輪作体系を見直し、水稲との2年ローテーションに切り替えたことで、べと病の発生が顕著に減ったという事例も報告されています。水稲の湛水期間がべと病菌の卵胞子の生存に不利に働いたと考えられています。

栽培現場では、「耐病性品種を入れたから安心」と防除を怠ると、別の病害(たとえば紫斑病や炭疽病)の被害が表面化するケースもあります。べと病耐性品種の導入はあくまで総合防除の一要素であり、圃場全体の病害管理を見直す良い機会として捉えることが大切です。

まとめ

べと病は、冷涼・多湿条件で発生するエダマメの重要病害であり、収量と品質の両方に影響を及ぼします。耐病性品種の導入は有効な対策の一つですが、耐病性の程度は品種によって異なり、レースの変異や環境条件によって効果が変動する可能性があります。

品種選びにあたっては、べと病耐性の表記を確認するとともに、地域で発生しているレース情報も可能な限り把握しておくことがポイントです。輪作、排水管理、適正な栽植密度、適期の薬剤防除を組み合わせた総合的な防除体系を構築することで、安定したエダマメ生産につなげることができます。

タグ情報

基本情報

タグ名
べと病耐性エダマメ
種別
病害耐性

使用状況

関連品種数
2品種
関連作物数
1作物
関連メーカー数
2社

関連品種(2品種)

エダマメ (2品種)

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統計情報

2
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1
関連作物数
2
関連メーカー数
0
関連農業資材数

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種別 病害耐性