栽培環境・条件

低温伸長性のあるトマト台木のトマト台木品種一覧 全5種類

低温伸長性のあるトマト台木 低温伸長性とは 低温伸長性(ていおんしんちょうせい)とは、低温条件下においても根が正常に伸長・活動できる能力のことです。トマト台木においては、冬から春にかけての低温期でも根が萎縮せず、水分や肥料を安定して吸収し続

低温伸長性のあるトマト台木について

低温伸長性のあるトマト台木

低温伸長性とは

低温伸長性(ていおんしんちょうせい)とは、低温条件下においても根が正常に伸長・活動できる能力のことです。トマト台木においては、冬から春にかけての低温期でも根が萎縮せず、水分や肥料を安定して吸収し続けられる特性を指します。

トマトの根は低温に弱く、地温が一定以下になると根の伸長が著しく低下します。一般的な目安として、トマトの根の活性は地温15℃以下になると低下し始め、10℃を下回ると吸水・吸肥力が著しく落ちるとされています。施設栽培の冬期においては、ハウス内気温を維持するための暖房を行っても、培地や土壌の温度(地温)はそれより低くなりやすく、根の活性が問題になることがあります。

低温伸長性のある台木は、この低温下でも根がしっかりと伸び続け、地上部への養水分供給を維持できます。その結果、低温期においても草勢の落ちない安定した生育が確保でき、低段での着果不良や生育停滞を防ぐことができます。

品種カタログでは「低温伸長性あり」「低温期の根活性が高い」「厳寒期に特性を発揮」などの表記で示されることが多い特性です(メーカーによっては「伸張性」と表記されることもありますが、同じ特性を指しています)。越冬栽培や促成栽培における台木選びの重要な確認項目の一つです。

低温伸長性がある台木のメリット

低温伸長性のある台木の最大のメリットは、冬春の低温期における草勢の安定です。促成栽培や越冬栽培では、厳寒期に草勢が極端に落ちることで着果率の低下・果実肥大不足・ 空洞果の発生などが起きやすくなります。低温伸長性の高い台木を使うことで、こうした低温期のトラブルを軽減することが期待できます。

低温期の肥料吸収能力の維持も重要なメリットです。根の活性が低下すると、追肥をしても植物体への養分転流が滞り、葉色が薄くなる・花房のそろいが悪くなるなどの症状が出ます。低温伸長性のある台木は根が活動し続けるため、肥料の効きが安定し、草勢と着果のバランスを保ちやすくなります。

越冬栽培では、12月〜2月の厳寒期に収穫を維持できるかどうかが産地の競争力に直結します。低温伸長性のある台木は、こうした厳しい条件下での安定生産を支える基盤となります。

品質面でも低温伸長性は重要です。低温期に根の活性が低下すると、果実へのカルシウム吸収が不十分になり、尻腐れ(ブロッサムエンドロット)が発生しやすくなります。低温伸長性のある台木は根からのカルシウム吸収が安定するため、生理障害の発生を抑える効果も期待できます。

適した栽培体系と地域

低温伸長性のある台木が特に重要になるのは、以下のような栽培体系や地域です。

促成栽培は、加温施設を使って冬期に栽培・出荷する作型です。10月〜11月に定植し、12月から翌年5月ごろまで収穫を続けるタイプの促成栽培では、厳寒期の生育維持が最重要課題となります。低温伸長性のある台木の選択は促成栽培の土台です。

越冬長期多段どり栽培は、夏から秋に定植し、翌年の春夏まで1年以上栽培を続ける作型です。厳寒期をまたいで長期間栽培する場合、台木の低温伸長性がシーズンを通じた収量に大きく影響します。

積雪寒冷地や内陸部の産地では、外気温が氷点下になる時期でも施設内で栽培を続ける必要があります。こうした地域では低温伸長性のある台木の選択がより重要です。

ここからが実際の栽培で差がつくところです。養液栽培(ロックウール栽培・水耕栽培)においても低温伸長性は重要な特性です。養液栽培では培養液の温度が地温に相当しますが、冬期の培養液温度の低下は根の活性低下に直結します。養液栽培用に低温伸長性を高めた台木品種も開発されており、栽培方式に合わせた台木選びが求められます。

低温期の栽培管理のポイント

低温伸長性のある台木を選ぶことは重要ですが、それだけに頼らず低温期の管理を丁寧に行うことが安定生産への近道です。

地温管理は低温期の根活性を維持する最も基本的な対策です。ハウス内気温を確保するとともに、マルチ資材による地温確保が効果的です。透明マルチは黒マルチと比べて太陽光による地温上昇効果が高く、低温期の地温維持に向いています。また、温湯灌水(ぬるま湯程度の水を使った灌水)を行うことで地温の急激な低下を防ぐ方法もあります。

灌水量の調整も重要です。低温期は根の吸水力が低下するため、灌水量を過多にすると土壌が過湿になり、根腐れや病害のリスクが高まります。低温伸長性のある台木でも、地温・土壌水分の状態を確認しながら適切な灌水量を管理することが必要です。

褐色根腐病(コルキールート)は低温多湿条件で発生しやすい土壌病害です。低温期の栽培では、低温伸長性とともに褐色根腐病への耐病性も兼ね備えた台木の選択が、安定生産の観点から有利になります。カタログでは褐色根腐病耐病性(K)の評価も合わせて確認することが重要です。

産地によって事情が異なるので一概には言えませんが、暖地や施設内の地温が安定している環境では低温伸長性よりも他の特性(耐病性・草勢)を優先した台木選びが合理的なケースもあります。圃場の地温の実測データを取っておくことが、台木選びの判断材料になります。

品種選びのコツ

低温伸長性のある台木を選ぶ際の確認ポイントを整理します。

第一に、低温伸長性の有無とその程度です。品種カタログに「低温伸張性あり」「厳寒期対応」などの表記があるかを確認してください。一般的に、「越冬栽培向き」「促成栽培向き」と記載されている台木には低温伸長性が考慮されていることが多いです。

第二に、褐色根腐病(コルキールート:K)への耐病性です。低温多湿条件で発生しやすい褐色根腐病に対する耐病性を持つ台木は、低温期の安定生産に特に有利です。耐病性評価で「K」が高いものを選ぶことが基本です。

第三に、草勢のタイプです。低温伸長性が高い台木の中でも、前半から草勢が強いタイプと後半にかけて強くなるタイプがあります。促成栽培では定植直後の低温期から草勢を維持したい場合、前半の草勢評価も重要な確認項目です。

第四に、接ぎ木の親和性です。台木にはTm-2型とTm-1型があり、穂木(品種)のToMV耐性型と台木の型が不適合だと、ToMV感染時に耐性が正常に機能せず株が枯死するリスクがあります。低温伸長性のある台木を選ぶ際も、穂木のToMV耐病性タイプと台木の型が一致しているかを必ず確認してください。

市場動向とこれから

国内のトマト産地では、年間を通じた安定供給体制の整備が課題となっており、特に冬期の生産安定に向けた技術開発が続いています。低温伸長性のある台木は、この冬期安定生産を支える要素の一つとして育種・普及が進んでいます。

意外と知られていないのですが、地球温暖化の進行により、季節ごとの気温変動が大きくなっているという報告があります。暖冬でも一時的な寒波による地温低下が起きやすくなっており、低温伸長性は「厳寒地だけの問題」ではなく、暖地の産地でも無視できなくなりつつあります。

また、施設栽培の省エネ化の観点から、暖房費を抑えるためにハウス内気温をできるだけ低く保つ管理が求められるケースもあります。そうした条件でも根が活動できる低温伸長性の高い台木への関心は、コスト削減の視点からも高まっています。

まとめ

低温伸長性のあるトマト台木は、冬春の低温期でも根が安定して伸長・活動し、養水分吸収を維持できる台木カテゴリです。促成栽培・越冬長期多段どり栽培において草勢の安定と着果の維持に寄与し、特に厳寒期の安定生産を支える重要な特性です。

低温期の栽培では、台木の低温伸長性に加えて、地温管理・灌水量の調整・褐色根腐病への対策を組み合わせた総合的なアプローチが必要です。台木選びの際は、低温伸長性とともに耐病性のバランスも確認し、作型・圃場条件・穂木の型に合った台木を選んでください。

低温伸長性のあるトマト台木が付いた品種の一覧は、ミノリスのタグページからご確認いただけます。促成栽培や越冬栽培における台木選びの参考にお役立てください。

5品種 表示中
スパイク-セブン

スパイク-セブン

愛三種苗株式会社

(Tm-2型) ■ポイント 越冬栽培で厳寒期に特性を発揮する低温伸張性の有る台木 生理障害になりにくく、品質を保ちながら栽培できる。 ■耐病性一覧 <10段階評価 1:弱い⇔10:強い> 萎ちょう病F(R1) ◎ 萎ちょう病F(R2) ◎ 萎ちょう病F(R3) ◎ 根腐萎ちょう病F(J3) ◎ 褐色根腐病(K) 8 半身萎ちょう病(V) ◎ 青枯病(B) 5 ネマトーダ(N) 〇 根域 深 根の太さ 太+細 草勢 前半6 後半9

フルアーマーがんばる根

フルアーマーがんばる根

愛三種苗株式会社

(Tm-2型) ■ポイント ・青枯病、かいよう病に対して非常に強い耐病性を持ち、かつ半身萎ちょう病レース2(V2)にも抵抗性を有する台木。 ・低温伸張性があり、初期成育はやや強め。夏秋栽培の早い定植や長期作の栽培にも向く。後半にかけてスタミナの維持が可能で、収量性に優れ果実品質も良い。 ・根は中間域に張り、根量は多くなる。追肥や灌水の反応は良く、萎れに対する草勢の回復も早い。 ■耐病性一覧 <10段階評価 1:弱い⇔10:強い> 萎ちょう病F(R1) ◎ 萎ちょう病F(R2) ◎ 萎ちょう病F(R3) ◎ 根腐萎ちょう病F(J3) ◎ 褐色根腐病(K) 8 半身萎ちょう病(V) ◎+ 青枯病(B) 9 ネマトーダ(N) 〇 根域 中 根の太さ 中 草勢 前半5 後半8

スパイク-K助

スパイク-K助

愛三種苗株式会社

(Tm-2型) ■ポイント ・特に低温期に発生する褐色根腐病(K)に強い耐病性を持ち、萎ちょう病レース3にも抵抗性を有し広く使っていただける台木。 ・低温伸張性があり、夏秋、促成栽培等で高評価。 ■耐病性一覧 <10段階評価 1:弱い⇔10:強い> 萎ちょう病F(R1) ◎ 萎ちょう病F(R2) ◎ 萎ちょう病F(R3) ◎ 根腐萎ちょう病F(J3) ◎ 褐色根腐病(K) 9 半身萎ちょう病(V) ◎ 青枯病(B) 6 ネマトーダ(N) 〇 根域 深 根の太さ 中 草勢 前半5 後半8

サイドカー

サイドカー

株式会社むさしのタネ

養水分の吸収バランス◎ 複合耐病性台木 【特性】 〇広く複合耐病性を持つ。 〇草勢強化や品質安定に使用できる。 〇初期から根張りがよく、低温伸長性もあり、オールシーズン利用できる。 〇根域が広いため、養水分をしっかり与えた方がよい穂木と相性が抜群。 〇着果負担に強く、安定生産に寄与。 【接木の親和性】 〇Tm-2型またはTm-2a型品種専用台木 【病害虫抵抗性】 〇ToMV(Tm-2)、萎凋病(R1、R2、R3)、根腐萎凋病( J3)、半身萎凋病(R1、R2)抵抗性 〇青枯病、褐色根腐病耐病性 〇ネマ耐虫性

スパイク-23

スパイク-23

愛三種苗株式会社

愛三トマト台木の中でも、草勢の強くなる品種です。特に低温栽培で威力を発揮します。 ・越冬栽培で強草勢を狙う方 ・ロックウール栽培にも適する

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