農業におけるEC計とは？おすすめ商品と価格相場【徹底解説】

EC計（電気伝導度計）とは

EC計とは、水や培養液、土壌に含まれる「電気伝導度（EC）」を数値化する機器です。
EC値は、液体や土壌にどれだけのイオン（肥料成分）が溶け込んでいるかを示すもので、農業における肥料管理や養液管理の基本指標になります。
作物は肥料を直接吸収するのではなく、水に溶けたイオンの形で養分を取り込みます。そのため、EC計を使って養液や土壌水分のイオン濃度をチェックすることは、作物にとって「食べやすいご飯を用意する」ことに例えることができます。

施設園芸や水耕栽培ではもちろん、土耕栽培でも肥料の適正濃度を管理するためにEC計は欠かせない存在です。最近ではスマート農業機器としてIoTやデータロガーと連携するタイプも増えており、農業経営の効率化にも直結しています。

農業でEC計が必要な理由

EC計は単なる測定器ではなく、収量や品質を左右する「農業の必須ツール」です。具体的なメリットは以下の通りです。

• 肥料の適正管理
  EC値が高すぎると「塩害」が発生し、根が傷んで枯死の原因になります。逆に低すぎると養分不足で生育不良に。EC計は肥料管理のバランスをとるために不可欠です。

• 品質向上
  トマトやイチゴなど果菜類では、EC管理によって糖度や酸味のバランスを調整可能。高付加価値な農産物を安定して生産するために役立ちます。

• コスト削減
  肥料を「入れすぎない」「足りなくしない」ことはコスト削減と直結。過剰施肥による肥料代の浪費を防ぐと同時に、地下水汚染など環境負荷も軽減します。

• 病気予防
  根圏環境を整えることで根腐れや土壌病害のリスクを減らせます。EC値のモニタリングは、病気発生の予兆管理にもなります。

EC計の種類と特徴

農業用のEC計にはいくつかのタイプがあり、用途や栽培スタイルによって選び方が変わります。

1. ポータブル型（携帯用ペンタイプ）
   • コンパクトで軽量。圃場やハウス内で手軽に測定可能。
   • 液肥管理や水耕栽培でのスポットチェックに最適。
2. 据置型（連続測定タイプ）
   • ハウス内の養液槽や潅水システムに設置。
   • 常にモニタリングし、異常をすぐに発見できる。IoTと連携してデータを蓄積するモデルも。
3. 土壌センサー型
   • 土に直接差し込むことでEC・pHをリアルタイムに計測可能。
   • 土耕栽培の肥料管理や現場の見える化に強力。
4. マルチ計測型（EC+pH+温度）
   • pHや温度も同時に測定可能な高機能モデル。
   • 研究や本格的な施設園芸でよく採用される。

EC計の価格相場とコスト感

農業用EC計は用途や精度によって価格が大きく変わります。

• 入門モデル（携帯用ペンタイプ）：5,000〜15,000円
  → 初心者や家庭菜園、水耕栽培の小規模利用に最適。

• 中級モデル（高精度・pH兼用）：20,000〜40,000円
  → 農家や研究利用におすすめ。コストと機能のバランスが良い。

• 業務用モデル（据置型・データロガー対応）：50,000〜100,000円以上
  → 大規模ハウスや法人農業で必須。連続測定・IoT連携で省力化。

価格相場を把握することで、自分の栽培規模や目的に合ったEC計を選びやすくなります。